本日のテーマ
本日は、2024関西大学ラグビー 春季トーナメント3回戦 関西学院大学 vs 天理大学の試合を解説していきます。
LIVE中継をして頂いた週間ひがしおおさか(公式)の皆様、誠に感謝致します。
YouTubeで見られる事及びLIVEで試合を見られるのは非常に嬉しいです。
今季の関西学院大学はFWのサイズが大きく、天理大学相手に接点で優位に進める事が出来ています。
Scrumに置いては体格差を上手く活かせていませんが、何本かペナライズ出来ています。
Scrumを起点にトライを重ねられる力があるので、決勝戦が非常に楽しみです。
対する天理大学は、少し厳しい結果となりました。
データを集計したわけではありませんが、1stタックルを外される回数が昨年より多かった印象です。
逆に仕留められた時は、その後のDFも上手くいっています。
Scrumもまだ発展途上の雰囲気が伝わってきました。
秋に向けて着実にいい準備を続けて欲しいですね。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
関西学院大学 43-28 天理大学
関西学院大学 319kg / 826kg
天理大学 296kg / 796kg
1st Scrum 10:07~
気になる1st Scrumは10:07~です。
天理大学陣ゴール前5m付近、天理大学ボールのScrumです。
1本目は、バインドの段階で天理大学1番佐々木選手が仕掛け過ぎて組み直しとなりました。
関西学院大学は少し緩めの扇の形のセットアップでした。
角度が緩いというよりは、フロントロー及びバック5の密着度が緩い印象です。
隙間があるセットアップのため、密着度が生まれにくいです。
体格差を活かしきれなかった要因の1つです。
バインドの際も3番市川選手が↗️に張っているため、内側に圧力を掛けたい様子です。
対する天理大学は6番上ノ坊選手が1番佐々木選手に対して通常より角度を付けてセットしています。
昨年もそうでしたが、フロントローの密着度を高めてコンパクトなScrumを構築しようとしていました。
バインドの段階で、天理大学1番佐々木選手が先行して圧力を掛けられています。
そこまでは良かったのですが、スロットを内側へズラされており、左肩が先行する形で体重が掛かりました。
関西学院大学3番市川選手もバインドまでは良かったのですが、足を下げる際に置きたい位置に置けず圧力を受けたため、姿勢が崩れています。
前後の開き幅が大きく、足を動かす距離が大きい事が影響しています。
セットアップの段階で1歩内側、前後の足幅を1歩縮められたら綺麗に組み合えます。
2本目は組み合った後、Scrumが崩れたため組み直しとなりました。
1本目と比べて関西学院大学のセットアップ時の密着度が高まりました。
このセットアップを1st Scrumから出来ると良かったですね。
対する天理大学は1番佐々木選手がバインドの段階で左足が半歩外側に流れています。
スプリットでセットしていますが、右足の膝の向きが外側を向いて開いているため、左足に体重が掛かります。
そのため、足を下げる際に外側に対する圧力が強くなり、真っ直ぐでは無く外側に足が流れます。
また、バインドが上手く取れなかったため、組み合う前から左腕が下向きに下がっています。
この状態で身体を支えられるのは鍛え上げられた証拠なのですが、関西学院大学3番市川選手も頭が下がっていたため、組み合った後にすぐ崩れました。
大きな怪我に繋がらず良かったです。
3本目もお互いの間合いが合わず組み直しとなりました。
前の2本と違ったのは、天理大学がセットアップの段階で半歩左側にズラしています。
関西学院大学のスロットで組んでいたところを、自分達の間合いに戻しましたね。
ヒットでも天理大学が優位に立てており、セットアップの変更が良い影響を与えています。
また、関西学院大学3番市川選手が外側に向いているため、8人で組むよりも目の前相手を押す事に意識が向いている事がわかります。
内側に割りに行くセットアップの状態で、外側からくる圧力に対抗しようとしたため、対応が後手に回りヒットで受ける結果となりました。
4本目も同様に崩れた結果、関西学院大学がコラプシングの反則を取られました。
ヒットで優位に立つも、バインドの段階から頭が下向きになっており、Scrumを崩した要因と判断されました。
最初の2本のように、自分達のセットアップが出来ていれば良かったですね。
天理大学はベストな形では無いにしろ、自陣脱出のきっかけを得られたため、結果として良かったです。
Best Scrum 39:52~
気になるBest Scrumは39:52~です。
天理大学陣10m上、関西学院大学ボールのScrumです。
1本目は組み合った後、Scrumが崩れたため組み直しとなりました。
今回注目したいのはスロットの重要性です。
丁度5mラインの線がある場所なので、解説しやすいです。
1本目、お互いのHOの右足を見てみると、白線のすぐ側に置いている事が分かります。
この間合いは、1番側がアングルを付けて相手を押し切りやすく、天理大学が優位な間合いとなります。
関西学院大学は、バインド時からプレッシャーを受けており、組み合った後に先に姿勢が崩れています。
組み合った後、押し切れる感触はあまり無かったです。
対する2本目、こちらも組み合った後Scrumが崩れましたが、天理大学がコラプシングの反則を取られています。
組み合った後、ヒットで関西学院大学が前に出ている事や天理大学1番佐々木選手の身体が折れる形で崩れた事が判断要因となりました。
今回その状況が作れた要因の一つとしてに、スロットをズラせた事が挙げられます。
2本目の立ち位置を見てみると、白線からお互い半歩離れてセットしてます。
そうする事で、3番がHOに対して近くなり、圧力を掛けやすくなります。
天理大学も関西学院大学も3番が内側に入り込む組み方です。
ただ、関西学院大学は1番側の立ち位置がHOと揃っており、面で天理大学3番を捉える事が出来ます。
対して天理大学は1番側が半歩後ろに下がっているため、段差が出来ています。
その上で、関西学院大学3番がバインドの段階で右足を半歩内側に畳んでいます。
その結果、段差に入り込む事が出来て前に出ました。
このようにスロットをズラされると、上手く組み合う事が出来ず、Scrumのバランスが崩れます。
特に1番側は内側にズラされてしまうと、左肩が先行してしまい、アングルかイリーガルホイールの反則を取られる原因となります。
自分が組みやすい間合い、チームが組みやすい間合いを意識して組みたいですね。
勿論、レフリーの判定から映像を見て分析した結果で、管理人の推測した話に過ぎません。
ですが、何故その判定をされたのか、どのような経緯でその状況に至ったのかを考える事は物凄く大事です。
引き続きScrum Love Clubでは、Scrumを客観的に分析する事、論理的に伝える事を目標にScrumReviewを書きます。
終わりに
本日は、2024関西大学ラグビー 春季トーナメント3回戦 関西学院大学 vs 天理大学の試合を解説しました。
Scrum Love Club関西ラグビーも開幕しました。
昨年の戦績をひっくり返す結果となりました。
関西学院大学はこの調子で決勝戦も勝ち切って欲しいですね。
天理大学は秋に向けて一段といい準備をして欲しいです。
今季は関東、関西の面白そうな試合を中心に更新していきます。
私事で恐縮なのですが、5月より関東のある大学でオンラインScrumコーチをしています。
それと並行しながら、ScrumReviewを更新しています。
今までより更に更新頻度が遅れるかも知れませんが、気長に待って頂けると嬉しいです。
皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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