本日のテーマ
本日は、関東大学ラグビー春季大会 東洋大学 vs 日本大学の試合を解説していきます。
意地と意地のぶつかり合いを見ているような面白いScrumでした。
東洋大学は対抗戦グループに負け越していますが、リーグ戦相手に全勝しました。
少しずつチーム力がついて来ている証拠であり、秋の飛躍が期待されます。
対する日本大学は、立教大学戦以外全て7点差以内の勝敗です。
ここを勝ち切れるように、秋頑張って欲しいですね。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
東洋大学 31-24 日本大学
東洋大学 319kg / 806kg
日本大学 299kg / 802kg
1st Scrum 1:50~
気になる1st Scrumは1:50~です。
ハーフライン付近、日本大学ボールScrumです。
組み合った後、日本大学が3番主導で前に出ながらScrumが崩れたため、東洋大学がコラプシングの反則を取られました。
1st Scrumから仕掛けて来ましたね。
少し間合いが遠かったですが、上手く対応してペナライズすることが出来ました。
まずは、セットアップを見ていきましょう。
東洋大学は扇の形でした。
平面の映像なので角度までは分かりませんが、通常の扇と捉えました。
フランカーが先行して膝を上げるセットアップですが、少し姿勢がルーズでしたね。
PRを寄せる/バインド時に相手に体重を掛ける、どちらにしても強い姿勢を保っておく方が良いですね。
組み合った後にどれだけ自分の押しを100%フロントローに伝えられるかが大事です。
対する日本大学は低くフロントローからNo.8に掛けて背中のラインが平行に揃っています。
東洋大学よりも頭半分低くセット出来ており、その後のScrumを優位に進められる予感がします。
この映像だけでお酒が飲めるほど綺麗なセットアップでした。
バインドは東洋大学が先手を取りました。
ただ、そこまで大きく張っておらず、内側に圧力を掛けたかった雰囲気が感じ取れます。
東洋大学3番石川選手、バインドの段階で物凄く良い姿勢を保っています。
欲を言えば、バインドで先手を取った段階で握り拳2個ほど前に掛けたかったですね。
今のセットアップだとお尻が膝よりも後ろにあります。
膝を0地点とすると、マイナス地点からヒットしなければならず、バインドで先手を取ったメリットが掻き消されてしまいます。
ここら辺の塩梅は難しいのですが、自分で良い位置を見つけて欲しいですね。
日本大学は先手を取られたものの、自分達の姿勢を崩さず、むしろより低くなる事が出来ています。
こちらは、1番中野選手が良い姿勢を保てています。
自立したセットアップを心掛けており、身体を上手くコントロール出来ています。
また、腕を伸ばした時にこの低さを保てる体幹の強さは一朝一夕で身につくものではありません。
朝スクラムに象徴されるように、凄く鍛錬を積んできている事が分かります。
組み合った後は、少し上下に動くもその場から動かないScrumでした。
こういうやり合いを期待していました。
期待通りでよだれが出そうなぐらい嬉しかったですね。
画面手前は互角でしたが、画面奥側の東洋大学1番小川選手と日本大学3番江藤選手の勝敗の影響が流れて来ましたね。
日本大学はHOと3番で相手HOを挟み込むように圧力を掛けてくるため、東洋大学HO小泉選手がその圧力を右側に流してしまうと、3番石川選手にも大きく影響して来ます。
今回の場合、日本大学3番江藤選手から来た圧力に耐えようと、右足で踏ん張った結果スリップしてしましました。
ドミネートされた後の映像を見ると、やはり日本大学3番江藤選手が画面手前側に流れるようにScrumが崩れています。
また、映像だけでは分かりませんが、HO西岡選手のバランス感覚が素晴らしいですね。
1番と3番どちらが優位なのか、どのくらい優勢なのか、相手の圧力など感覚的に分かってそうです。
羨ましいですね。
ここら辺の感覚は管理人も研究中であり、現役選手と話しながら言語化に努めています。
同じ3番主導の帝京大学や京都産業大学とは組み方が違うため、研究する楽しみが増えました。
Best Scrum 64:32~
気になるBest Scrumは64:32~です。
日本大学陣10m付近、東洋大学ボールScrumです。
組み合った後、お互いプレッシャーを掛け合い殆ど動きませんでした。
その後、耐え凌いだ日本大学が再度圧力を掛けて、東洋大学がヘッドアップの反則を取られました。
コンタクトの付け直し、ウォーターブレイクを挟んで仕切り直しとなった場面です。
東洋大学は4番山岡選手→ウーストハイゼン選手、5番植田選手→20番チャニングス選手、6番ルナ選手→栗原選手とFW合計体重が77kg増加しています。
特に、ロック陣合計で60kg増えており、推進力が向上していました。
対する日本大学は後半始めから6番セレヴィ選手から柴田選手に交代しており、16kg減となっています。
数値だけ見ると東洋大学 883kg / 日本大学 786kgとほぼ100kgの差が出ています。
単純に考えると1st Scrumから東洋大学にPRが1人追加されて、9対8で組み合っている感覚です。
セットアップを確認すると、日本大学6番側が角度をつけてセットしている事が分かります。
1番側はどうしても外側にお尻が割れやすいため、理に適ったセットアップでした。
ヒットは東洋大学優勢でした。
バインドの際、日本大学のバック5の動くタイミングがズレており、その影響がヒットタイミングのズレに繋がったのかなと感じました。
東洋大学は早い段階でヒット出来る体勢を整えており、タイミングも揃っています。
そのため、重たい東洋大学が優位に立てる状況でした。
ただ、結果は、既にお伝えした通り、重さで勝る東洋大学が反則を取られています。
組み合った後、東洋大学1番小川選手が日本大学3番依藤選手の懐に潜りすぎた事、その結果HO小泉選手と隙間が生まれた事が要因です。
ヒットで東洋大学が優勢と書きましたが、比率で言うと、東洋大学5.2対日本大学4.8の少しの差です。
ヒットで完全に相手の姿勢を崩し切れている訳では無いため、無理やり押そうとするとカウンターを喰らいます。
今回の場合、組み合った後に日本大学3番依藤選手が右足を内側に折り畳んでいます。
そのため、外側に対する圧力は薄れますが、内側に対する圧力を強める事が出来ます。
その間、東洋大学1番小川選手はヒットで勝てているため、自ら前に出ようとプレッシャーを掛けに行きます。
その瞬間、日本大学3番依藤選手が空いた1番とHOの間に左肩で圧力を掛けています。
というのも、右肩は下を撮られていますが、左肩は東洋大学HO小泉選手の下を取れています。
HO同士を見ても、日本大学HO西岡選手が下を取れています。
その上、今回は東洋大学ボールのScrumだったため、フッキングの要素が絡んできます。
圧力を受けて反則を取られたのは、フッキングしてから前に出たタイミングです。
映像から読み取れませんでしたが、フッキングする際に少し浮いてしまい、その体勢のまま前に出たと考えています。
そのため、自分より低い位置にいる日本大学HO・3番の両方から圧力を受ける形となり、身体が浮いてしまったため、反則を取られました。
本職がHOでは無いので詳しい事は分かりませんが、四方八方から圧力がくるため、身体のコントロールが難しいです。
今回はHO 小泉選手が取られましたが、チーム全体の課題として受け止めるべきでしょう。
Scrumって体重も重要ですが、それ以外の要素も複雑に絡み合っています。
この映像を見て、改めてScrumって本当楽しいなと感じました。
『どの年代の選手も高い精度でScrumが組める』
将来、そんなお手伝いが出来ればと想像してワクワクした管理人でした。
終わりに
本日は、関東大学ラグビー春季大会 東洋大学 vs 日本大学の試合を解説しました。
いよいよ日本代表のテストマッチが始まりますね。
大学生からも複数選出されており、大学ラグビーのレベルの高さを伺えます。
管理人としては、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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