本日のテーマ
本日は、関東大学ラグビー春季大会 明治大学 vs 帝京大学の試合を解説していきます。
Scrumに拘りを持つ両チームの対戦でした。
FWで優位に立った帝京大学でしたが、上手く得点に結び付かなかった試合展開でしたね。
Scrumで優位に立てる状況なら、Scrumでペナライズ→line-outモール→トライに繋がるのが理想です。
その部分は秋までに改善して欲しいです。
明治大学は早稲田大学でプレッシャーを受けたScrumでしたが、少し改善してきましたね。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
帝京大学 24-24 明治大学
帝京大学 332kg / 869kg
明治大学 333kg / 838kg
1st Scrum 0:36~
気になる1st Scrumは0:36~です。
明治大学陣22m内、帝京大学ボールのScrumです。
両チーム、セットアップは扇の形でした。
1番側の方が3番側と比べて角度がついており、外側に割れやすい1番側を重点的にフォローしている事が分かります。
特に、面白いのが帝京大学のセットアップです。
多くのチームがフランカーの角度で密着度を調整するのですが、帝京大学はフロントローも扇の形に広がってセットしています。
そうする事で上半身の密着度が高まり、より組み合った時の圧力やコントロールが出来ます。
デメリットとしては、フロントローの身体の向きが傾いてしまう/フロントロー同士のお尻の位置が広くなりロックが押しにくくなる事が挙げられます。
このセットアップが効果的なのか気になるところです。
1本目は間合いが合わず組み直しとなりました。
この試合通して感じたのですが、お互いのセットする位置が通常よりも1歩以上遠かったんですよね。
そのため、バインドする際に前に行かざる負えない状況であり、どちらかが前に詰まってしまう事が良くありました。
ツイートした最後のScrumなんか明らかに間合いが遠過ぎます。
あの間合いで組もうとするとお互いが1m近くヒットの段階で前に出てぶつかるしかありません。
意図的にしていたのか、何も考えずにこの間合いで組み合っていたのかは分かりません。
2本目は組み合ったあとすぐにScrumが崩れたため、明治大学がコラプシングの反則を取られました。
2本目も同様に間合いが遠かったですね。
ただ、予想よりもフロントローの間合いが詰まっており、前のめりにセットしている事が分かります。
フランカーが引いてない事を考えると、バインドするまでフロントローの密着とロックの支えで自立していると考えられます。
オーソドックスなセットアップはセットした位置から真っ直ぐ下ろす事です。
LeagueOneのチームと比べても遜色ないFWの帝京大学ならではのセットアップですね。
バインドの段階で、帝京大学3番松原選手が半歩内側に、対する明治大学1番田代選手が半歩外側にズレています。
明治大学3番山口選手側も帝京大学1番平井選手に外側から圧力を受けています。
その影響でHO 西野選手に圧力が集まり、組み合った段階で崩れてしまいました。
最初から下向きに圧力が掛かっているので、綺麗な形とは言えませんが、組み合う前の姿勢・組み合ったあとの圧力は素晴らしかったですね。
バック5の密着度も帝京大学が上回っており、フロントローに対する押しが真っ直ぐ伝わる状態になっています。
フロントローの仕事は後ろから来た圧力を100%相手に伝える事です。
帝京大学のフロントローに、その仕事を遂行しようとする姿勢が見られました。
欲を言えば、ヒットの段階でNo.8ダウナカマカマ選手が1テンポ遅れており、圧力が薄れています。
両肩付けてセットしていない事が原因なので、ここは改善して欲しいですね。
せっかくの重たいFW力が半減してしまいます。
明治大学は、セットアップの段階で帝京大学と平行になるまで低くなる事、その上でバインドの段階に良い姿勢を取って後ろの押しを貰う事が重要になります。
先週の早稲田大学から改善が進んだScrum、秋に向けて頑張って欲しいですね。
Best Scrum 62:27~
気になるBest Scrumは62:27~です。
明治大学陣ゴール前5m、帝京大学ボールのScrumです。
組み合ったあと、帝京大学が押し切りトライを重ねました。
FWで優位に立ちながらも得点に結び付かず苦しい状況でしたが、何とか取り切りましたね。
1st Scrumと比べて間合いを詰めてきた明治大学に対して、半歩後ろに下がった帝京大学でした。
ここから帝京大学が意図的に間合いを取っている事が分かります。
前後の間合いは取りますが、左右のスロットは意図的にズラしていない模様です。
足の位置ではなく、フロントローの身体の向きで押す方向をコントロールしています。
映像を見て頂いたら分かるのですが、帝京大学1番とHOが↗️の方向を向いているのに対して、3番は↖️の方向を向いています。
極端に角度を付けている訳ではありませんが、真っ直ぐ組み合う相手と比べて、組み合った後の圧力の掛かり方が変わってきます。
特に、明治大学HOに対する圧力が通常より高まるため、Scrumを真ん中から崩される感覚です。
組み合った後は力の方向を変えて真っ直ぐにしています。
対抗するのであれば、明治大学は1番とHOで相手3番を挟み込む、その上で3番は相手1番とHOに対して真っ直ぐ圧力を掛ける事かなと考えています。
また、帝京大学HOと3番のバインドが緩いため、その間を割りに行くのが良いかなと感じました。
帝京大学は、3番の自由度が高いScrumを選択しているため、裏を返すと孤立しやすくなります。
京都産業大学もセットアップは違いますが、3番が自由度高くScrumを組んでいます。
あくまで理論上ですが、孤立した部分を狙えると対抗出来ます。
今回の場合は、明治大学1番金選手がセットアップの段階で半歩後ろに下がっており、挟み込める余裕がありません。
3番山口選手はバインドの段階で右足が1歩外側に流れており、膝が内側を向いています。
組み合ったあと、足の位置を戻して立て直しましたが、そのまま押し切られる形となりました。
戻した際の姿勢は物凄く綺麗でした。
ただ、戻した際に右半身が下がってしまい、↗️に対する圧力が薄れています。
もし、戻した位置に最初から足を置けていたらまともに組み合えました。
非常に勿体無いScrumです。
終わりに
本日は、関東大学ラグビー春季大会 明治大学 vs 帝京大学の試合を解説しました。
今季は関東、関西の面白そうな試合を中心に更新していきます。
読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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