本日のテーマ
本日は、NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24 D1 第15節 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 三重ホンダヒート の試合を解説していきます。
ホーム最終戦で勝ち星が欲しい昨年度王者S東京ベイと入替戦に向けて勝ち星が欲しい今期昇格組の三重Hの1戦でした。
調子を上げてきたS東京ベイに対して前半リードして折り返しました。
Scrumでプレッシャーを掛けてましたし、DFの立っている人数も今シーズンの他の試合と比べて多かった印象です。
後半は疲れがあらわれた影響かS東京ベイのATについていく事が出来ず、点差を放されてしまいました。
最終節の結果次第で対戦相手が変わるため、少しでも上の順位を目指してほしいですね。
対するS東京ベイは今期の退団選手が発表されており、来シーズンに向けて準備を進めている段階です。
王座奪還に向けて頑張って欲しいですね。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
三重ホンダヒート 24 vs 61 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
三重ホンダヒート 348kg / 898kg
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 338kg / 877kg
1st Scrum 2:02〜
気になる1st Scrumは2:02〜です。
S東京ベイ陣10m上、三重HボールのScrumです。
1本目は組み合った後、三重H 3番側が崩れたため、組み直しとなりました。
芝が浅い影響か、足を動かした後の踏ん張りが効かず、足を滑らせてScrumを崩したと考えています。
S東京ベイはマークス選手・江良選手を怪我で欠く状況、第10節以来にエラスマス選手がスタートで出場しました。
今シーズンは今試合を含めて7試合、THE CROSS-BORDER RUGBY 2024にも出場しています。
対する三重Hは開幕戦からチームを引っ張ってきた李選手に代わり、ベテラン金井選手がスタートで登場しました。
経験値の差が出たのか、ヒットは三重Hが優勢でした。
HOの選手はブレーキフットといって、レフリーのセットコールがあるまで片方どちらかの足を前に出しています。
HOは前に出している足を下げてヒットするのですが、下げるタイミングが金井選手の方がワンテンポ早かったですね。
フロントローを使って上手く自立しており、両足に体重を乗せていたのかなと推測しています。
前足に体重を乗せすぎると、ヒットの際に足を下げられなかったり、前に動いてしまって反則を取られます。
逆に、足を下げるのが遅れると今回のS東京ベイの様にヒットで受ける形となります。
重心の掛け方やタイミングは自分の感覚を養う必要があります。
バック5の膝の伸びも優勢だったため、重さで勝る三重Hが有利に運ぶ形となりました。
2本目もヒットで三重Hが優勢でしたね。
1本目と比べると、足を下げるタイミング近かったのですが、三重Hが半歩内側にズラしていた影響もあり前に出る事が出来ました。
S東京ベイ側は海士選手が172cm、エラスマス選手が184cm、オペティ・ヘル選手が190cmと身長差があるため、どうしても前後の段差が生まれます。
その隙間に対して三重H 3番星野選手が割り込んでおり、先行して前に出る形となりました。
ただ、足の運びが大股になってしまったため、ヒット後は低さで勝る海士選手に押し返される事となりました。
1番鶴川選手側はオペティ・ヘル選手を上手く攻略出来ず、外側に流れる形で前に出たため、Scrum全体が時計回りに回転してしまいました。
そのため、ボールがSOから遠い位置に移動してしまった上、相手フランカーがハーフに近い位置に移動出来る状況になります。
三重Hが右側にATを仕掛けようとしているため、S東京ベイ側はDFしやすくなりましたね。
Scrumの優劣は勿論、押す方向や回転方向を変える事で、その後のAT展開が有利になります。
ただ『Scrumが回転した』で終わらず、『Scrumが回転したことによりAT(若しくはDF)にこんな影響が出た』が分かるとラグビーがもっと楽しくなります。
細かいところですが、理解出来ると楽しい場面です。
Best Scrum 9:17〜
気になるBest Scrumは9:17〜です。
ハーフライン上(三重Hからみて右側15mライン付近)、三重HボールのScrumです。
組み合った後、三重Hが左側に力を流しながら前に出たため、S東京ベイがイリーガルホイールの反則を取られました。
昨年王者S東京ベイに対して入替戦昇格組の三重Hが14点リードで迎えた状況です。
前半の終盤まで三重Hリードで進められたのは、このScrumがあるからだと考えています。
1st Scrumと同様にお互い遠めにセットしており、ヒットスピードと重さで勝る三重Hが有利な状況です。
セットアップの段階からHO金井選手が1/4歩分足を左側に動かしており、頭の位置をズラして自分たちが有利に組みたい事が分かります。
3番 星野選手もバインドの段階で右肘を外側に張りつつ、右足を半歩内側に動かしています。
そうする事で相手1番の左足に圧力を掛けつつ、HOとの間を狙えます。
また、1番側のフランカーも角度をつけてセットしており、フロントローのまとまりが高まっています。
ヒットしてからの足の運びも11時の方向に動かしており、上手く力の方向をズラせています。
1st Scrumでもお伝えしましたが、S東京ベイは身長差の影響からフロントローの立ち位置に段差が生まれます。
三重Hが11時の方向に力を掛ける事で、S東京ベイHO・3番が両サイドから圧力を受ける事になり、コントロールが難しくなります。
左側に圧力をズラしつつ前に出る事で、Scrumが時計回りに回転し、イリーガルホイールを獲得できました。
判定が難しい場面ですが、自チームの身体が正対した状態で11時の方向に力を掛けて前に出ている上、相手チームの身体が傾きながらScrumが回転したため、反則を貰えたのかなと考えます。
もし、わざと1番側が外側に足を踏み出し、3番側が内側を向いて11時の方向に圧力を掛けたなら三重H側が反則を取られています。
三重Hはセットアップから一貫してコンパクトに組めています。
入替戦に向けて手応えを掴めたScrumだったかなと考えます。
まとめ
本日は、NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24 D1 第15節 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 三重ホンダヒートの試合を解説しました。
Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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