試合結果
埼玉パナソニックワイルドナイツ 24-28 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
埼玉WK 345kg / 923kg
S東京ベイ 349kg / 903kg
1st Scrum 7:52〜
埼玉WK陣10m付近、埼玉WKボールのScrumです。
1本目は間合いが合わず組み直し、2本目は組み合った後、殆ど動かずにボールアウトとなりました。
非常に精度の高いScrumであり、安定している事が分かります。
そして、準決勝に進んだチームのうち、BL東京以外は合計体重が900kgを超えています。
これは1つの指標になるのかなと考えています。
セットアップから見ていきましょう。
埼玉WKは、フロントローが密着して隙間を少なくしています。
その上で、HO坂手選手が右肩を前に出す形でバインドしています。
相手HOが頭を置くスペースを狭くする事で、窮屈さを感じさせる事が出来ます。
また、間合いも前へ詰めており、低くコンパクトに組み合いたいと予想されます。
稲垣選手のバインドする位置も、相手3番の股関節の付け根付近であり、絶妙な位置に置かれています。
バック5は、両フランカーが角度を付けてセットしています。
左右差があるか分かりませんが、よりフロントローの密着感を高めたい意図が伺えます。
今季は堀江選手が引退した事もあり、よりスクラムに比重を置いてきた印象です。
対してS東京ベイは、フロントローが自由度高く組めるように、無理やり寄る事なくセットしています。
一概には言えませんが、日本のスクラムはFW8人が纏まる・海外のスクラムは1人1人が強みを出して構築する、こんなイメージで捉えて貰えば良いかなと考えてます。
S東京ベイのフロントローは、自分主導で前に出られる選手が多く、無理に合わせるよりも組みやすい位置にセットする方が強みが出やすいです。
そして、シーズン通して間合いを遠くしています。(静岡BR戦で間合いが近いスクラムを避けてました)
ヒットスピードを高めて、組み合った後の重圧で押し切りたい意図が伺えます。
というのが、今回のスタートメンバーの組み方です。
リザーブの海士選手・江良選手が入ると、低さとコンパクトを意識したスクラムになるため、対戦相手としては凄くやり辛いですね。
ヒットはS東京ベイ優勢でした。
No.8マキシ選手主導で、ビリヤードの球を突くように真っ直ぐ前に圧力を掛けています。
重たいチームがここまで鋭く真っ直ぐ前に出てくると、相手チームとしてはたまったもんじゃ無いですね。
流石の埼玉WKも、ヒットして跳ね返されるほど圧力を受けています。
ただ、足の位置は動かさず、バック5が全身を使って圧力を吸収しており、S東京ベイの感覚よりも前に進めていません。
このヒットで前に出れないのは、お互い精度の高いスクラムを組んでいる証拠です。
その後、拮抗した状態が続き、ボールアウトの寸前でスクラムが崩れましたが反則はありませんでした。
Best Scrum 75:27〜
埼玉WK陣ハーフライン付近、埼玉WKボールのスクラムです。
組み合った後、S東京ベイがヒットの勢いそのまま押し切り反則を誘いました。
結果的に、この反則からペナルティーゴールに繋がり、S東京ベイが勝利しました。
両チーム共に、試合終盤とは思えないセットアップでした。
埼玉WKは、胸の位置を合わせる事で、身長差による影響を無くしています。
HO佐藤選手と比べて、両PRが10㎝程高いのでお尻がズレるのは仕方ない部分が大きいです。
バック5の膝の角度は変わらず90°前後、ヒットスピードで勝つというよりは、組み合った後に安定出来るようにしています。
対してS東京ベイは、お尻の位置を合わせる事で、バック5が押しやすい体勢を整えています。
S東京ベイは、ヒットスピードで勝ちたいので、バック5のヒットタイミングがズレないよう調整しています。
膝の角度は90°より鈍角で、ヒットの際に最大限伸びきりたい思惑が伺えます。
ヒットの主導となるNo.8マキシ選手のみ90°で、頭よりもお尻を浮かせてセットしており、ヒットスピードを重視している事が分かります。
特筆すべきは、HO 江良選手の低さですね。
クラウチの段階で、1人だけ顔が見えるぐらい低くなっており、身体の小ささを活かした組み方をしています。
ヒットは、S東京ベイが優勢でした。
バック5の膝の伸び具合を見るも、違いが明らかに分かります。
埼玉WKのセットアップが扇に対して、S東京ベイは真っ直ぐ向いているため、より前への推進力に差が出ます。
その上、S東京ベイHO 江良選手及び3番為房選手が内側に圧力を掛けており、埼玉WKがヒットで大きく後ろに下がる結果となりました。
セットアップの際、S東京ベイ側がスロットをズラしたのに対して、埼玉WK側もスロットを調整しています。
管理人の予想が正しければ、スロット自体は揃っているため、フロントローの立ち位置の違いで、今回のヒットの結果が生まれました。
埼玉WK 佐藤選手と比べて、S東京ベイ 江良選手の背中が寄っており、肩の分だけ両PRが寄るスペースが生まれます。
大学時代、後輩に背中の可動域が凄く広い選手がいました。
一緒に組めた回数は少なかったものの、セットアップから凄く居心地が良かった事を思い出しました。
結果的に、ヒットで優勢だったS東京ベイが勢いそのまま押し切り、反則を獲得しました。
その後、PGを決めて3点追加、24-28でS東京ベイが勝利しています。
スクラムは、ラグビーにおけるプレーの一つでしかありません。
ただ、試合結果が大きく変わるプレーだと感じてくれたら幸いです。
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