試合結果
リコーブラックラムズ東京 67-22 三重ホンダヒート
BR東京 331kg / 874kg
三重H 329kg / 883kg
1st Scrum 0:38~
BR東京陣22m付近、三重HボールのScrumです。
組み合った後、殆ど動かずボールアウトとなりました。
1st Scrumで優劣が付きませんでしたが、両チーム共に、昨シーズンと比べて格段にScrumが良くなっています。
セットアップから見ていきましょう。
BR東京は、1番津村選手はHO大内選手と真横になる位置でバインドしています。
このセットアップは、帝京大学時代から変わらないです。
3番パディー・ライアン選手は、自由度高く組むため、少し緩めのバインドでした。
フロントローの立ち位置は揃っており、HOが上手くコントロールする形です。
6番は緩め・7番はそれと比べると少し鋭角に角度をつけてセットしており、扇の形のセットアップという事が分かります。
全体的な寄せ方も上手なので、綺麗なセットアップでした。
対して三重Hは、HO 肥田選手を中心にフロントローの胸のラインを合わせる事を意識しています。
特に、3番 星野選手が綺麗に胸を張ってセットしており、凄く参考になります。
気持ちが早まったのか、重心が少し前側に傾いていたのが気になります。
バック5は真っ直ぐセット、静岡BR戦で見せた通常よりもスレンダーな形のセットアップでした。
バインドからヒットまで殆ど動かずボールアウトとなります。
実は、セットアップの段階で、BR東京が半歩右側へセットする位置をズラしていました。
そのため、三重Hに対してほぼ真正面で組み合う位置にセット出来ています。
三重Hは、BR東京 3番パディー・ライアン選手を1番 藤井選手とHO肥田選手で挟み込みながら、3番星野選手がBR東京 1番津村選手と勝負できる位置に置きたいです。
対策されたとは言え、組み合った後にしっかりと組み合えており、非常に精度の高いScrumでした。
Pickup Scrum 18:19~
三重H陣10m-22m、BR東京ボールのScrumです。
このScrumから三重Hが優勢になる場面が増えています。
欲を言えば、このScrumの優勢を試合結果に繋げられたら良かったですね。
1st Scrumと比較すると、BR東京は1番津村選手が右肩を隠して、アングル気味にセットしています。
通常であれば、HOと同じ立ち位置・方向を向いてセットしている事が多いです。
三重H側が内側に入ってくる事を警戒して、セットアップを変えたと推測しています。
両フランカーの角度も緩やかになっており、ほぼ真っ直ぐセットしています。
その影響か、フロントロー全体の密着感が少し緩まった印象を受けました。
逆に三重Hは、1st Scrumと比べてフロントローの密着感を強めた印象です。
フランカーがスレンダーにセットするため、フロントローが膨れてしまうとFW全体のバランスが悪くなるため、凄く良い修正でした。
バインドは三重Hが先手を取って圧力を掛けています。
ヒットはBR東京優勢でした。
バック5の膝の伸び具合を見ても、バインドで圧力を受けたとは思えないぐらい綺麗に伸び切っています。
この伸び具合は素晴らしいですね。
ただ、真っ直ぐコンパクト組み合った三重Hと比較すると、少し浮き上がっています。
そのため、組み合った後に足を詰めきれていません。
対して三重Hは、ヒットの伸びは小さいものの、前に圧力を掛け続けられる位置に足があります。
組み合った後、BR東京が浮き上がった所を見逃さず、三重H 3番星野選手を中心に前に出て、コラプシングの反則を獲得しました。
両チーム良い所が多かったScrumで、見ていて非常にワクワクしました。
Best Scrum 38:12~
BR東京陣ゴール前5m、BR東京ボールのScrumです。
BR東京が16点リードしている状況、三重Hとしては後半に向けて点差を縮めたい場面でした。
組み合った後、三重Hが真っ直ぐ圧力を掛けてScrumを押し切り、BR東京のノックフォワードの反則を誘いました。
ゴール前のScrum、たとえ相手ボールでも押せばチャンスになります。
正確な数値までは分かりませんが、三重Hのセットアップの位置がPickup Scrumと比べても左側にズレています。
というよりは、三重Hのセットアップからよりスレンダーになった感覚です。
バック5のヒットの方向は真っ直ぐ、膝の動きは斜め下に動いており、良いヒットをしながら組んだ瞬間の圧力を高めています。
BR東京としては真っ直ぐ組んだとしても、自分達の内側から圧力を受けてScrumを押された感覚なのかなと感じます。
ヒットもPickup Scrumと比べると、あまり前に出れなかったです。
前半の終盤、疲れが出てくる時間帯で精度高く組める三重Hは素晴らしいですね。
この数シーズン、セットアップに対する異常な拘りが強くなっていると感じます。
勿論、自分達でコントロール出来る範囲でな話なので、蔑ろには出来ません。
ただ、セットアップだけではScrumは強くなれません。
やっぱりLIVEで組む経験、肌で感じる感覚を養う必要があります。
ここは避けて通れないのかなと感じたScrumでした。
終わりに
BR東京は、今シーズンも持ち前のAT力を武器にPO進出目前まで迫りました。
ただ、Scrumに関しては、パディー・ライアン選手の後任者、誰が3番を担ってScrumを引っ張るのか不透明に感じます。
BR東京のプレースタイルに合うフロントローが揃えば、更に上を目指せるチームです。
SNSを見ても、会場の雰囲気作りやスタッフの方の雰囲気など凄く好きです。
来シーズンもワクワクするラグビーを楽しみにしています。
D1昇格後も入替戦が続く三重H、Scrumを起点に残留を決めて欲しいです。
来シーズン斎藤 展士Scrumコーチが居るか分かりませんが、D1でこのScrumを見たいです。
Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。
読者の皆さんがScrumを理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
引き続きScrum Love Club及び管理人を宜しくお願い致します。
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