試合結果
静岡ブルーレヴズ 44 vs 14 三重ホンダヒート
静岡BR 317kg / 858kg
三重H 330kg / 876kg
今回の試合、時間帯によって静岡BRの圧力を掛ける方向が変わっています。
そこも意識しながらScrum Reviewを見て頂けると幸いです。
20:57〜 静岡BR ↖️方向
静岡BR陣22m内、三重HボールのScrumです。
組み合った後、安定したScrumを継続してボールアウトとなりました。
このScrumは、三重H1番鶴川選手の低さが光ったシーンでした。
セットアップのスピードは静岡BRが優勢だったため、ヒット時は静岡BRが優勢だと推測されます。
実際、ヒットスピード及びヒット時の圧力は静岡BRが優勢でした。
ただ、組み合った後は三重Hが良い低さで耐え切りました。
静岡BRのコンパクトなScrumに対して、三重Hもセットアップの位置をHOを中心に寄せています。
バック5の身体の位置も通常より半歩内側にあるため、密度の濃い圧力に対しても対抗できたと考えています。
その上、1番鶴川選手が静岡BR3番よりも肩1枚分下の位置で組めており、圧力を抑え込む事が出来ていました。
34:23〜 静岡BR ↖️方向
静岡BR陣ゴール前5m、静岡BRボールのScrumです。
先程のScrumよりも三重Hのバック5の立ち位置が分かりやすいため、取り上げました。
フロントローの密着度は勿論の事、バック5の身体も隙間なく寄っている事が分かります。
スロットをズラして優位に進める場合、フランカーは角度をつけてセットする事が多いです。
角度をつける事で、フロントローの密着度を高く保つ事が出来て、組み合った際の圧力を高める事が出来ます。
対して今回の三重のScrumは、真逆のセットアップだと言えます。
バック5がフロントローのように密着する事で、フロントローのお尻が外側へ割れやすくなる反面、前への推進力が高まります。
三重HはFW総体重で勝っており、ゴール前5mの状況と上手く噛み合っていました。
個人的には、このセットアップの方が好きなので、今後取り入れて見たいです。
引き続き静岡BRが↖️に圧力を集めているため、三重Hが左側へズレる形となり、ボールアウトとなりました。
61:30〜 静岡BR ↖️
静岡BRゴール前5m、静岡BRボールのScrumです。
組み合った後、タッチライン側へScrumが流れて、静岡BRがアングルの反則を取られました。
判定としては、静岡BRが組み合った後まともにコンテストせず、Scrum全体を故意に動かしたと判断されています。
このScrum判定が難しい所ですが、ヒットの段階で三重Hが少し優勢だった事が静岡BRの反則に繋がったと考えられます。
この試合一貫して、三重Hは↗️に対して圧力を掛けており、静岡BRが↖️に圧力を掛けている所に上手く噛み合っていました。
今回でいえば、お互いタッチライン側へ圧力を集めている結果、Scrumが流れています。
↗️に圧力を集めつつ、ヒットで前に出た後に↖️へ圧力を掛ければ成立するのですが、最初の段階で上手く圧力を止められています。
前半と比べて少し密着度が薄くなりましたが、良い形で組めた三重Hでした。
66:50〜 静岡BR↗️
静岡BRゴール前22m内、静岡BRボールのScrumです。
組み合った後、静岡BRが押し切りコラプシングの反則を獲得しました。
このScrumから静岡BRの圧力を掛ける方向が変わっており、三重Hが崩される事になります。
それまで↖️に圧力を掛けており、レフリングとの兼ね合いで上手く進められてなかったため、圧力を掛ける方向を↗️に変更しました。
これ文字で書くと物凄く簡単に見えるのですが、
①自チームに対するScrumの判定と感触が合ってない事が分かる
②試合中にFW全体で意思統一出来る
③圧力を掛ける方向を変更、遂行出来る
この条件が揃ってないと、成り立たない話です。
この辺が静岡BRの凄さだなと考えていて、選手達が試合の中で修正して遂行出来る力が身に付いている証拠です。
練習ではコーチが外から見てフィードバックをしたり、映像を見て確認する事が出来ます。
試合中はそれが難しいため、細かい点は先週自身で修正する事になります。
1番側は通常より角度をつけてセットしていますし、3番側も内側ではなく、外側へ圧力を掛ける事を意識しています。
その前のScrumでアングルの反則を取られた事から修正したのかなと推測します。
その後、68:25〜・78:07〜・79:30〜のScrumで静岡BRらしい力強いScrumを見せて勝ち切りました。
小手先の対策ではなく、しっかり対策を練ってきた三重Hでしたが、最後の20分は圧倒されましたね。
昨シーズンよりも好調な両チーム、POでの再戦を期待しています。
Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。
読者の皆さんがScrumを理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
引き続きScrum Love Club及び管理人を宜しくお願い致します。
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