試合結果
東芝ブレイブルーパス東京 31-3 コベルコ神戸スティーラーズ
BL東京 326kg / 877kg
神戸S 330kg / 901kg
1st Scrum 4:23〜
神戸S陣ハーフライン付近、神戸Sボールのスクラムです。
1本目はスクラムが崩れたため組み直し、2本目は安定して組み合ってボールアウトとなりました。
セットアップから見ていきましょう。
BL東京は、セットした位置から1歩前・斜め左下に半歩動かしています。
BL東京 1番木村選手と神戸S 山下選手は15kg差あるため、HO 原田選手と協力しながら組みたい意図が伺えます。
また、HO 原田選手が通常よりも背中を寄せて低くなっています。
背中を寄せる事で両PRを寄せながら、自分自身も胸を張る事が出来るため、凄く大切です。
バック5は真っ直ぐ、ズラしたスロットから真っ直ぐ前に圧力を掛けると予想出来ます。
対して、神戸SはHO 北出選手セットした位置から半歩後ろに下がっています。
先週の静岡BR戦も、上から押さえ付ける形で組んでおり、間合いを取り、ヒット時の重さを高めたい意図が伺えます。
また、3番 山下選手が半歩前にセットしていました。
元々身体の大きい山下選手が前に立つ事で、BL東京 1番木村選手との間合いだけが狭くなり、より前へ圧力を掛けやすくなります。
その上、頭を置く位置が1番の右肩なので、バインドする段階で前に出にくくしています。
山下選手の出身大学、京都産業大学伝統のオーバーハンドスクラムを彷彿させるセットアップでした。
オーバーハンドと比べて、3番の自由度は少なくなりますが、孤立せずに纏まったスクラムが組めます。
バック5は、3番側のフランカーのみ角度を付けており、山下選手主導で相手1番を弾いた後に内側へ圧力を掛けると予想出来ます。
1本目は、レフリーのコールとヒットのタイミングが合わず崩れました。
2本目は、少しBL東京が優勢でした。
組み合った段階では互角、バック5の膝の伸び具合も同じぐらい良かったです。
違いは、組み合った後にBL東京 3番タウファ・ラトゥ選手が半歩踏み出しています。
そうする事で、神戸S 1番高尾選手の身体が窮屈になり、姿勢を崩す事が出来ます。
この半歩が凄く大事で、ここで踏み出せるとその後有利に働きます。
最近、膝の角度は120°〜140°及び140°〜160°が垂直方向の力がピークになる事を知りました。
ただ、フロントローは伸び切ると崩れてしまう可能性があり、90°付近をキープしたい所です。
対して、バック5は膝を伸ばし切っても問題ないため、ヒット後は上記の角度の範囲で伸縮すると良さそうです。
そこを踏まえて1st Scrumを見てみると、バック5は両方Good、フロントローの勝負でBL東京が優勢になる事が分かるかなと思います。
ボール供給には影響しておらず、綺麗に組み合ったScrumでした。
Best Scrum 42:11〜
神戸S陣ゴール前5m、BL東京ボールのScrumです。
組み合った後、BL東京が圧力を掛けて前に出ました。
その後のATでBL東京が追加点を取得、後半の流れを掴んだScrumと言えます。
映像が遠かったため、セットアップの細かい部分は分かりませんでした。
ヒットは神戸Sが少し優勢、ハーフタイムでリフレッシュ出来た影響で、1st Scrumのような重さを実現出来ていたように感じます。
ただ、組み合った後に内側へ仕掛けるタイミングが早かったですね。
今シーズンの組み方を見ていると、左肩を下・右肩を上にして身体を捻る事で、1番とHOの間を割りに行くScrumが多かったです。
山下選手に対して小柄な1番、それも外側に割れやすい1番なら凄く有効的で、シーズン中もうまく行くシーンが見られました。
BL東京 木村選手も例外ではなく、シーズンを通して、外側に割れるシーンが幾つかありました。
ただ今回に関しては、組み合った後も左足の位置は変わらず、真っ直ぐ前にアプローチ出来ています。
山下選手の組み方だと、相手1番を外側に弾く前提なので、弾けなかった際は捲られる形で圧力を受けます。
その結果、神戸S側が少し後ろに下がりながらボールアウトとなりました。
今回、BL東京が優勢だったため、神戸Sが良くなかったように思った方いるかも知れません。
そんな事は断じてなくて、今季神戸Sが準決勝まで進んだのは、スクラムが良くなったからです。
今回取り上げるか迷った61:10〜を筆頭に、凄く良いスクラムが増えてきました。
フロントローの選手層・怪我を考えると、不安要素は残りますが、来季も上位に食い込んでくると予想しています。
関西勢初のPO進出、決勝進出とはなりませんでしたが、素晴らしい試合を見せてくれました。
3位決定戦が残っているため、しっかりと勝ち切って欲しいですね。
Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。
読者の皆さんがScrumを理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
引き続きScrum Love Club及び管理人を宜しくお願い致します。
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