静岡ブルーレヴズ vs コベルコ神戸スティーラーズ(後編)

LeagueOne
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試合結果

静岡ブルーレヴズ 20-35 コベルコ神戸スティーラーズ

静岡BR 342kg / 904kg

神戸S 330kg / 901kg

NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONEより

13th Scrum 52:30〜

静岡BR 1番河田選手→茂原選手

    HO 日野選手→作田選手

神戸S 3番山下選手→渡邉選手

静岡BR陣10m-22m、神戸Sボールの Scrumです。

ヒットは神戸S優勢、組み合った後に静岡BRが盛り返す形となりました。

前半と比べると間合いは1歩近くなり、スロットが左側にズレています。

静岡BR側が意図的にズラしており、神戸S 3番が身体を被せてくるセットに対して、組みやすい位置にセットしたい意図が伺えます。

また、静岡BR 河田選手から茂原選手に交代しており、対面との体重差が小さくなります。

茂原選手は、真っ直ぐセットして、HOと密着して組めます。

バインドの張り方も凄く綺麗ですし、肘を伸ばしても圧力に耐えられるよう、腕を上向きにしています。

足が追い付かず、伸び切ったり崩れる場面もありますが、凄く良い選手です。

対して、交代して入った神戸S 渡邉選手も出場機会は少ないものの、実力ある選手です。

山下選手と同じような形でセットしており、首の取り合いが激しいです。

今回はお互いScrumの内側に入り込みながら、浮き上がったため前に出られずボールアウトとなりました。

両チーム足元が滑りやすい状況の中、足の位置を動かさず全身で圧力を吸収して、拮抗を保っていました。

ここら辺の圧力の掛かり方や足の動かし方は、対人じゃ無いと経験出来ない部分です。

14th Scrum 54:43〜

神戸S陣22m、神戸Sボールの Scrumです。

組み合った後、Scrumが崩れて神戸S 3番側のコラプシングを取られました。

13thと比べても間合いが詰まっており、静岡BRが組みたい Scrumの間合いでした。

セットアップもフランカーの角度が緩くなっており、前への推進力を高めています。

バインド時も静岡BRが先手を取れており、重さを先に乗せられています。

組む前から静岡BR優勢でしたが、ヒットも面で優位性を取れており、文句なしの反則だなと感じました。

前半の印象のままだと、静岡BRの反則を取られる可能性もありますが、流石古瀬レフリーでした。

この試合凄く面白かったのは、古瀬レフリーの判断軸が明確だったからです。

15th Scrum 57:16〜

静岡BR陣22m上、神戸Sボールの Scrumです。

組み合った後、静岡BRが圧力を掛けるも押し切れずボールアウトとなりました。

静岡BRとしては、スロットを更に半歩左へズラしてきた印象です。

外張りの Scrumに変えており、スロットをズラして通常のScrumに戻したかったのかなと感じてます。

ただ、映像を見る限りはズラしすぎた感覚です。

スロットをズラす=神戸S側も組みやすいスロットになるため、神戸S 3番渡邉選手も外側へ張りやすくなります。

お互いやり辛さが解消されて、神戸S側も綺麗な Scrumを形成しています。

静岡BR 1番茂原選手が前に出てきた際も、殆ど足を下げずに対応出来ています。

ヒットでも劣勢、組み合った後の腕の位置を見ても圧力を受けて後ろに下がってもおかしく無い状況です。

これは技術云々では無く、自分の役割を果たす事に注力した結果だと考えてます。

1stジャージは、そういう重みのあるです。

16th Scrum 64:19〜

静岡BR 3番ショーン選手→稲場選手

神戸S 1番高尾選手→カウヴァカ選手

   HO 北出選手→松岡選手

静岡BR陣ゴール前5m付近、静岡BRボールのScrumです。

組み合った後、Scrumが崩れて神戸Sがコラプシングの反則を取られました。

バック5の膝の角度を見る限り、静岡BRが前に圧力を掛けられているのに対して、神戸Sはその圧力に耐えている印象です。

両チーム共に下向きへ圧力が掛かっていますが、神戸Sが先に崩した若しくは組み合う前から頭が下がっていたのかなと考えてます。

逆側の映像がないので推測の域を超えませんが、1番側が崩れてコラプシングを取られるよくあるScrumでした。

17th Scrum 67:29〜

1本目は崩れて組み直し、2本目は静岡BRがヒットで前に出るもアーリープッシュの反則を取られました。

静岡BRはフロントローの密着感を意識するため、HO 作田選手が背中を使って寄せています。

フロントローが寄る事で、ロックも押しやすくなり、より前への推進力が高まります。

また、茂原選手と作田選手で神戸S 3番渡邉選手を挟み込むように組んでおり、組み合った瞬間に静岡BRから見て左側にScrumが動いています。

3番稲場選手も内側へ圧力を掛けており、全体の圧力を神戸S 3番側へ集めるようにしています。

その影響で、神戸S側は下がりやすくなり、1本目はヒットの後に後ろへ下がりながら崩れています。

コラプシングでも良かったかなと感じますが、判断が難しい場面です。

2本目は、静岡BRがヒットで優勢でしたが、ボール投入を敢えて遅らせる事で、アーリープッシュを誘いました。

ルール上、安定してからボールを投入する必要があるため、ルールに則って待っただけです。

ただ、 Scrumが劣勢なので、焦ってボール投入をしてもおかしく無い状況です。

ここで待てる、落ち着いた判断を出来るのは、ベテランならではじゃ無いかなと考えます。

静岡BRとしては、自分達が優勢の Scrumで反則を取られてしまった事、点数と時間帯を考えると凄く精神的にキツかったです。

18th Scrum 74:17〜

静岡BR陣22m内、神戸SボールのScrumです。

組み合った後、Scrumが崩れて静岡BR 1番側がコラプシングの反則を取られました。

後半の終盤、苦しい時間帯でしたが、神戸Sが凄く良いScrumを組んでいました。

HOが足を抜くタイミングは一緒だっだものの、バック5の伸び具合に差がありました。

神戸Sがヒットの段階で、明らかにセンターラインを超えており、面で前に出られているため、静岡BRがコラプシングを取られました。

16thでは、静岡BRが神戸S 3番側に圧力を集めていましたが、17thでは神戸Sが静岡BR 1番側に圧力を集めています。

渡邉選手、久しぶりの試合でしたが凄く良い働きをしましたね。

腐らずコツコツやり切った成果が、この Scrumに繋がったのかなと考えてます。

結果的に、この試合を決定付けるScrumとなりました。

19th Scrum 76:34〜

神戸S陣10m-22m、静岡BRボールのScrumです。

組み合った後、Scrumが崩れましたが、どちらも優劣が付いておらず、反則無くボールアウトとなりました。

この辺の判断も明確で、センターラインを超えずに崩れたため反則無し、分かりやすいですね。

感覚的には、静岡BR優勢でしょうが反則を貰えるまで押し切れていませんでした。

ヒット時の伸びも、静岡BRの方が良かったです。

Scrumって難しいですね。

20th Scrum 79:16〜

これがこの試合最後のScrumです。

神戸S陣10m付近、静岡BRボールのScrumです。

特段反則も無く、ボールアウトとなりました。

どちらも精度高くScrumを組めており、最後崩れはしたものの、POに相応しい Scrumのやり合いでした。

それまでは、スロット・間合いなど解説出来る部分がありますが、最後は真っ向勝負意地と意地のぶつかり合いです。

最後まで楽しませてくれた両チームに感謝致します。

Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。

読者の皆さんがScrumを理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。

引き続きScrum Love Club及び管理人を宜しくお願い致します。

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