本日のテーマ
本日はNTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE2023-2024 D1 PO決勝戦 埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 東芝ブレイブルーパス東京の試合を解説していきます。
BL東京14季ぶりの優勝おめでとうございます。
接点無双を掲げて臨んだ今シーズン、レギュラーシーズンの借りを返しましたね。
リーチ・マイケル選手の胴上げが面白かったです。
そして、埼玉WK 堀江選手・内田選手現役生活お疲れ様でした。
日本ラグビー界にとって欠かせない存在だった2人が引退されるのは、時代の移り変わりを感じます。
来シーズンこそ、レギュラーシーズン1位通過・PO優勝を目指してほしいですね。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
埼玉パナソニックワイルドナイツ 20-24 東芝ブレイブルーパス東京
埼玉パナソニックワイルドナイツ 326kg / 888kg
東芝ブレイブルーパス東京 315kg / 866kg
1st Scrum 7:55〜
気になる1st Scrumは7:55〜です。
埼玉WK陣22m上、埼玉WKボールのScrumです。
組み合った後、BL東京がプレッシャーを掛けるもT.Oまで辿り着かずボールアウトとなりました。
BL東京は1st Scrumから仕掛けてきましたね。
重たい埼玉WKに対して、4番側ジェイコブ・ピアス選手がクラウチの段階で両足を揃えて膝を浮かしています。
また、5番側ワーナー・ディアンズ選手も両膝を地面につけた状態からバインドで膝を浮かせるオーソドックスなやり方に変えています。
私の記憶では、BL東京のセットアップは両ロックが片膝を付いた状態でセットし、バインドの段階で足を動かすものでした。
しかも、角度を付けずに相手に対して真っ直ぐセットしており、正面突破を狙ってる事が分かります。
以前、Twitterでやり取りする中で今期のBL東京はセットアップを色々模索してる話を聞いてたので、面白く感じていました。
セットアップはいつも同じ位置/タイミングで行うのが原則です。
その原則を破って相手に対して対応出来るBL東京の底力に感心していました。
対する埼玉WKは左右のフランカーが違う角度を付けてセットする組み方でした。
シーズン途中から台頭してきたダニエル・ペレズ選手が外側に割れ難い事を考慮して、1番側の角度を緩めているのかなと考えています。
メンバーがあまり変わらない埼玉WKですが、少しずつ若い力が伸びてきている事を感じています。
ヒットはBL東京優勢でした。
特に3番側小鍛冶選手が先行して前に出られており、良い形で組み合えたのかなと考えてます。
埼玉WK1番ペレズ選手は真っ直ぐ足を下げていたため、ここまで食い込まれるのは意外でした。
映像を再度確認すると、セットアップの段階で小鍛冶選手が体全体をHO 原田選手側に半歩寄せてからバインドをしています。
逆に、埼玉WKペレズ選手はHO 坂手選手をバインドしてから左足を一歩外側に踏み出しています。
この時点で、お互いの立ち位置がズレていたため、組み合った際に小鍛冶選手が埼玉WK 1番とHOの間に入り込めたのかなと考えています。
また、HOのバインドもお互い違っていました。
埼玉WK 坂手選手は両腕を下ろした状態でバインドをしています。
そうする事で両PRの肩を前が出やすくなり、自由度高く組む事ができます。
坂手選手自身は胸を張りやすくなるため、相手に対して下向きに押さえ込む圧力を作れます。
対するBL東京 原田選手は両腕を横に広げてバインドをしています。
そうする事で密着度が高まり、相手に間を割られにくくなります。
ヒットした瞬間に点ではなく、面で当たれる事が特徴となります。
組みやすい方を取り入れて貰ったら良いのですが、今回の場合はフロントロー/バック5の密着度で優勢だったBL東京が前に出ました。
ただ、押す際に少し大股で右足から前に出てしまったため、途中で小鍛冶選手が孤立する結果となりました。
先行して前に出ていた事もありますが、プレッシャーを掛けて行きたい気持ちが少し昂り過ぎたのかなと感じました。
あのまま、3番側に原田選手・木村選手が寄り切ればT.Oの可能性が高かったと考えています。
そう上手く事を運ばせてくれないのが、埼玉WKの強さなんですけどね。
先制点を取られた状況、Scrumでの先制パンチとしてはBL東京が一歩優勢でした。
Best Scrum 80:21〜
気になるBest Scrumは80:21〜です。
ハーフライン付近BL東京陣、BL東京ボールのScrumです。
埼玉WKが4点差で追う状況、組み合った後埼玉WKが押し切りコラプシングの反則を獲得しました。
堀江選手のLeagueOne最後、有終の美を飾る Scrumでしたね。
1st Scrumと比べて扇の形を緩やかにした埼玉WKでした。
フロントローの組み合わせに応じて組み方を変えているのかもしれません。
だから、リザーブメンバーを総替えしているのかなと考えてます。
対するBL東京はメンバーが変わっても綺麗なセットアップでしたね。
ただ、バインドの段階から全体的に後ろへ動いており、相当圧力を受けている事が分かります。
ヒットも埼玉WKが優勢でしたね。
真っ直ぐ当たったBL東京に対して、埼玉WKは膝を斜め下にスライドしながら低く鋭く当たっています。
そうする事で↘️に圧力が掛かりやすくなり、相手の体勢を崩しながら自分達も低くなる事が出来ます。
感覚的に分かると思いますが、この組み方は重たいチームと相性が良いです。
そのため、重たい埼玉WKの圧力に対して、BL東京が耐え切れずScrumを崩してしまったと考えています。
決してBL東京が弱かったわけではありません。
むしろ、今シーズンここまで圧倒されるBL東京の試合を見た記憶がありません。
今回は堀江選手、埼玉WKFWの意地が見せた綺麗なScrumだったと考えています。
まとめ
本日はNTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE2023-2024 D1 PO決勝戦 埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 東芝ブレイブルーパス東京の試合を解説しました。
なんだかんだで長い事社会人ラグビーを見てますが、東芝がここまで優勝して無かったのかと感じました。
前回の優勝時は受験期だったのであまり記憶にありません。
ただ、2007年のマイクロソフトカップ決勝で東芝が14-13でサントリーを破った試合は今でも覚えています。
その時の観客数は23,067人でした。
今回はその2倍以上、56,486人の方が来場しています。
その試合の空気感、熱は現地に行かないと分かりません。
現地観戦された方が羨ましいです。
自分は長らく現地に行ってないので、子育てが落ち着いたら行きたいですね。
最後になりましたが、今シーズンもScrumReviewを読んで頂き、ありがとうございました。
来シーズンは定期的に更新します。
今後は大学ラグビーやテストマッチの更新が主となります。
Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。
読者の皆さんがScrumを理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
引き続きScrum Love Club及び管理人を宜しくお願い致します。
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