京都産業大学 vs 天理大学

大学ラグビー
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試合結果

京都産業大学 15-47 天理大学

京都産業大学 320kg / 829kg

天理大学 315kg / 824kg

1st Scrum 0:24〜

天理大学陣10m-22m、京都産業大学ボールのスクラムです。

組み合った後、スクラムが崩れて京都産業大学がコラプシングの反則を取られました。

組み合った後に、京都産業大学3番の身体が後ろに下がりながら崩れたため、反則を取られたと考えます。

セットアップから見ていきます。

京都産業大学は伝統の3番オーバー。

取り入れるチームが少なく中、変わらずエースナンバー3番を軸としたスクラムです。

ただ、フロントローの立ち位置を見ると、全員が揃っているように見えました。

段差が出来るリスクはありますが、3番が1歩前に出て押し切るスクラムの方が良いのかなと感じます。

1番はアングル気味にセット、それに合わせてフランカーも角度をつけてセットしていました。

相手1番の左足に圧力が集まるような形です。

バック5も含めて、クラウチの段階でスクラムが組める体勢を整えていました。

対して天理大学は、HOがハの字のようにバインドして密着感を出しています。

1番はHOと同じ位置にセット、3番は半歩前にセットしているように見えます。

フランカーは、左右差があるもののPRに対して角度をつけてセットしていました。

こちらも、クラウチの段階でスクラムが組める姿勢を整えています。

ちなみに、リーグ戦1位の東海大学も似たようなセットアップをしており、個人的には大学選手権で対戦して欲しいなと考えています。

バインドは天理大学優勢、天理大学1番森選手がバインドしてから動かないので、相対的に京都産業大学3番川口選手が後ろに下がっています。

この段階で、天理大学が低く密着してセットしているのに対して、京都産業大学は姿勢が高くなり、セットアップから崩れている印象を受けました。

殆ど重さも変わらないため、バインド時の優位性がそのままヒットに現れたと考えています。

Pickup Scrum 30:45〜

京都産業大学陣ゴール前5m、京都産業大学ボールのスクラムです。

天理大学の密着スクラムに対して、京都産業大学が対応したスクラムを取り上げます。

組み合った後、スクラムが崩れて天理大学3番がアングルを取られました。

このスクラム、『天理大学3番が内側に入った』より『京都産業大学1番が天理大学3番を内側に押し入れた』と言う方が表現が合っています。

1st Scrumと同様に、京都産業大学は3番を軸にしていますが、それぞれの対面を自身の右側に動くように圧力を掛けています。

最近の3番の傾向として、1番・HOの間にアプローチして割りに行くスクラムが多いです。

ただ、相手が密着して組んでくる場合、割れる隙間が無く、押し切れない/カウンターを喰らう事も多いです。

このスクラムの京都産業大学は、密着してくる天理大学に対して、3番は1番を外側に弾く/1番は3番を1時半の方向へ押し込む形に見えました。

そう考えた理由として、京都産業大学1番が組み合った後に外側へ開いています。

それに合わせて、フランカーも外側に割れており、天理大学3番は外側から刺される感覚を覚えたでしょう。

天理大学1番は、自分は互角に組み合えているが、3番側から押し込まれるように自身の左足へ圧力が掛かり、結果として崩れてしまったと考えます。

密着感があるスクラムは、前後の圧力に物凄く強いです。

なら、角度を変えた圧力に対してはどうか。

3番外張り、イン組、1番のアングル、1番・HOの挟み込み等々

天理大学の密着スクラムに対して、どう対応するか。

京都産業大学の3番オーバーハンドで、今回のように1番側へ圧力を集めてきた場合どうするか。

特定のチームに関わっていないからこそ、理論の組み立てが捗ります。

Pickup Scrum 41:02〜

京都産業大学陣22m上、天理大学ボールのスクラムです。

今度は、京都産業大学3番オーバーに対して、天理大学が組み勝ったスクラムを取り上げます。

間合いは1歩以上遠い。スロットは見る限り通常ですが、天理大学が気持ち左側にズラしているように見えます。

天理大学3番は、京都産業大学1番を感じつつもHO側にアプローチしています。

バインドは外側1時の方向、身体と腕の高さが異なるため、肘が天井を向いています。

1番・HOは、京都産業大学3番を挟み込むようにセットしていました。

京都産業大学HOは、真っ直ぐセットしていますが相手がいません。

両チーム、バック5の伸びは同じぐらい良かったです。

組み合う直前、お互いのフロントローが沈み込んだため、全体が低くなっています。

京都産業大学3番が右肘を絞った際、さらに下向きへ圧力が掛かり、スクラムが崩れたと考えています。

オーバーハンドなので、構造上は3番が1歩前に飛び出ています。

組み合う時も、少しの差ですが先に京都産業大学3番が組み合うのも分かります。

なので、その少しの差を狙って、天理大学が1番・HOで挟み込むように京都産業大学3番を抑え込んだと考えています。

Best Scrum 22:20〜

天理大学陣10m付近、天理大学ボールのスクラムです。

組み合った後、京都産業大学が押し切り、天理大学がコラプシングの反則を取られました。

ヒットで京都産業大学が優勢だったものの、天理大学が凌ぎ切るかなと予想した矢先の出来事でした。

セットアップは、鏡合わせように似ていました。

1番側のフランカーが角度をつけてセット、お互い3番を軸にスクラムを構築したい意図が考えられます。

気になったのは、2点。

1st Scrumと比べて間合いが近い事、スロットが通常と比べて半歩右側にあった事です。

間合いが近い分、ヒットの勢いは小さくなりますが、ヒットの優劣がハッキリ現れます。

今回の場合、センターラインを先に超えているのが京都産業大学、オーバーハンドの分だけ3番が1番最初にヒットしていました。

少し遅れて京都産業大学の残り7人が面で出ています。

スロットが右側にズレていた点は、天理大学1番を崩すためだと考えています。

1番森選手は、管理人一押しでセットアップからボールアウトまで非常に低く組める選手です。

足首が柔らかいため、足裏全部を付けながらスクラムを組めます。

バインド時の動きも小さく、ブレが少ないです。

ある一定値を圧力を掛けて押されると、今回のように崩される場面があります。

その一定値が他の選手よりも高いのですが、今回は押し切られましたね。

京都産業大学3番が前に出る(天理大学1番が下がる)→HO・3番が引っ張られる→天理大学3番が京都産業大学1番に差し込まれる→さらに京都産業大学3番が前に出る

こんな流れで、天理大学が低く耐えていた所を京都産業大学が崩しました。

今季対抗戦・リーグ戦も見ましたが、両カテゴリーと比較しても、天理大学のスクラムは物凄く精度が高いです。

それを押し切る京都産業大学のスクラムなので、凄く圧力が掛かったことがわかります。

試合中のコリジョンもそうですが、この2チームは関西リーグの中でも別格です。

京都産業大学は対抗戦5位慶應義塾大学、天理大学は対抗戦3位と関東学院大学の勝者と対戦します。

対抗戦・リーグ戦共に強豪ばかりですが、両チームしっかり勝ち切って正月超え・大学選手権制覇を目指してほしいですね。

楽しみにしてきます。

『スクラムをシンプルに分かりやすく』

日頃からScrumLoveClubをご覧頂きありがとうございます。

今後も精力的に活動しますので、引き続き宜しくお願い致します。

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