本日のテーマ
本日は、関東大学対抗戦Aグループ 第2節 慶應義塾大学 vs 筑波大学の試合を解説していきます。
対抗戦屈指の好カードです。
管理人も春、夏合宿と両チームの試合を見てきたので、楽しみにしていました。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
慶應義塾大学 12-34 筑波大学
慶應義塾大学 315kg / 827kg
筑波大学 312kg / 799kg
1st Scrum 1:17~
気になる1st Scrumは1:17~です。
慶應義塾大学陣10m上、慶應義塾大学ボールのScrumです。
1本目は組み合った後、両チーム圧力を掛け合った結果、身体が上がってしまったため組み直しとなりました。
セットアップから見ていきましょう。
慶應義塾大学は、8人真っ直ぐのオーソドックスなセットアップでした。
フロントローの肩の位置、胸の高さ、お尻の位置が揃っており、綺麗でした。
HO 中山選手の寄せ方も非常に綺麗でした。
ただ、PRが肩を出す際に、身体が横方向へ動いており、抜き切れていない印象です。
密着度が高い状態だと、肩を前に出した方が抜きやすくなります。
横方向だと、思ったよりも動けず肩が隠れやすくなります。
そして、肩が隠れてしまうと、組み合った際に段差が出来てしまい、相手がその段差に入り込んで来ます。
ほんの少しの差ですが、この差で押し切れるかが変わるので重視しています。
フロントローがセットしてからロックが頭を入れ、バック5全員が膝をつくセットアップでした。
対する筑波大学は、1番側だけフランカーが角度を付けてセットしていました。
こちらは、HO 前川選手が両PRの肩を出す形で肩を抜いています。
背中の寄り具合、柔軟性がとても良かったですね。
あの位置に腕を置いても背中が寄り切っており、日頃から柔軟性を養っている事が分かります。
今年の対抗戦は良いHOが多いです。
欲を言えば、1番二重選手の肩を握り拳1個分出したかったです。
敢えて隠している可能性もあるので、何とも言えないです。
慶應義塾大学と違ったのは、フロントローが両足を揃えた状態で姿勢を作り、そこからロックが頭を入れていました。
そうする事でロックから肩を当てる位置が明確になります。
軸足が動くので姿勢が崩れる可能性はありますが、前後の密着度は高くなるため芯を捉えやすいです。
バインドは、重さで勝る慶應義塾大学が少し優勢でした。
ただ、少し前に動き過ぎたかなと感じています。
筑波大学があまり前に掛けない事も影響してますが、バインド時に掛け過ぎると姿勢が崩れて、その後のヒットに影響してきます。
今回は、バインドの勢いのままヒットに繋げられていました。
筑波大学は、バインドであまり掛けない・ヒットも出れなかったため、間合いをもう1歩詰めた方が組みやすいのかなと考えてます。
組み合った後は、両チーム圧力を掛けましたが、力が分散しました。
ヒットで慶應義塾大学が前に出たのですが、筑波大学が足の位置を動かさず、股関節で圧力を吸収しています。
そのため、より密度が濃いScrumとなっています。
これが出来るチームってあまり無いんですよね。
よくあるのが、ヒットで受けてしまって、足を下げて余計に不利な状況へ陥る事です。
上手く力を吸収出来れば、相手が崩れた場面で状況をひっくり返す事が出来ます。
ただ、今回は筑波大学も反撃に出た際に個々で前に出ようとしたため、隙間が生まれて双方押し切る事が出来ませんでした。
この舵取りまで上手く出来たら、どちらかが押し切れたかなと考えています。
股関節を使うScrumは、ヒットで勝てた状況でも有効です。
足を動かさず伸び切る事で、姿勢を崩しながら無理に前へ出ずとも、圧力を掛ける事が出来ます。
Japan vs Englandの試合で、Japanがこのような組み方をしていた記憶があります。
伸び切り過ぎるとScrumが崩れてしまうため、一定値伸び切ったら足を詰める必要はあります。
組み直し2本目は、組み合った後Scrumが崩れて筑波大学がコラプシングの反則を取られました。
1st Scrumと比べて、低さがあり良い形でヒット出来たかなと感じてました。
ただ、組み合った段階で1番 二重選手の頭が下がっており、下方向へ圧力が掛かった結果崩れました。
レフリーが筑波大学1番・慶應義塾大学3番側に立っていた事もあり、先に崩した筑波大学が反則を取られる結果となりました。
反対側の3番 茨木選手側は、ヒットの段階で相手1番を外に弾いて、HOの間に身体を入れられていました。
左足だけが下がり、身体が傾いていましたが、組み合えていれば、良い形で圧力を掛けられていました。
非常に勿体無かったです。
Best Scrum 31:30~
気になるBest Scrumは31:30~です。
慶應義塾大学陣22m内、慶應義塾大学ボールのScrumです。
組み合った後、慶應義塾大学がプレッシャーを掛けようとしましたが、筑波大学が耐え切りました。
その後、筑波大学が3番側を主導に前へ圧力を掛け、イリーガルホイールの反則を獲得しました。
このScrumは非常に良かったですね。
相手の圧力を耐え切った上で、纏まりながら前に出られているため、好きな形です。
1st Scrumでも感じましたが、3番 茨木選手は相手の間を割るのが上手いですね。
1st Scrumと比べて右膝も低く出来ており、分厚い胴体を地面と平行に出来ています。
1番からすると、相手3番の身体が上にあるため、地面と平行にされると重たい板のように感じます。
良いセットアップでした。
プロフィールを見ると1年生で、プレーの特徴に『強いスクラム』と書いてました。
非常に期待しています。
HO 前川選手の舵取りも良かったですね。
3番 茨木選手が相手の間を割れていて優勢な事を確認して、1番 二重選手が相手3番を内側へ追いやりながら前に出た事を感じてから前に圧力を掛けています。
自分は3番 茨木選手から離れないように、そして1番 二重選手が自分から離れないようにバインドしています。
どちらかが孤立してしまうと、仕留め切れずにScrumが回転してしまいます。
だからこそ、仕留め切れた点が素晴らしいです。
対する慶應義塾大学はバインドで先手を取って、相手に圧力を掛けられていました。
ただ、セットアップの段階でズレが生じており、3番吉村選手のヒットのタイミングがワンテンポ遅れています。
そして、組み合った後の映像を見る限り、筑波大学1番 二重選手に対する外側の圧力が小さいです。
その上で、組み合った後にフロントローが分裂しています。
重さがあるのは慶應義塾大学でしたが、組み合った後のまとまり、力の掛け方で筑波大学が上手だったため、押し切られる形となりました。
今年の筑波大学楽しみですね。
慶應義塾大学もまだまだ伸びそうです。
終わりに
本日は、関東大学対抗戦Aグループ 第2節 慶應義塾大学 vs 筑波大学の試合を解説しました。
引き続きScrum Love Clubでは、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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