試合結果
コベルコ神戸スティーラーズ – クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
コベルコ神戸スティーラーズ 336kg / 866kg
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 319kg / 902kg
1st Scrum 05:11〜
ハーフライン付近(神戸S陣)、S東京ベイボールのスクラムです。
組み合った後、S東京ベイが1番紙森選手側へスライドしながら前に出るも、神戸Sがスライドに合わせる形で移動したため、押し切れずボールアウトとなりました。
セットアップからヒットまで、もっと言えばボール投入後までS東京ベイが優勢でしたが、神戸Sが上手く耐え切りました。
3番山下選手の身体が真っ直ぐ出来ていた事に加えて、1番高尾選手が切られずS東京ベイ3番為房選手にコミットし続けられた事が要因です。
セットアップから見ていきます。
S東京ベイのセットアップで印象的だったのは、3点です。
- スロットを1歩左にズラしている
- 両PRがバインドしてからHOがバインドしている
- 3番為房選手が左足を前に出している
1は、神戸S山下選手を挟み込むためだと考えられます。
日本代表経験もあるベテランなので、1人で勝負するのでは無く、ダブルチームで対応するためです。
2は、江良選手の低さをより活かすためなのかなと感じました。
セットする段階から見ていくと、HO江良選手がセットした位置に、両PRが合わせる形でセットしていました。
両PRが先にバインドをする事で、外→内に圧力を掛ける事が出来るため、HO江良選手がスクラムの内部に閉じ込められます。
閉じ込める際は、両PRがHO江良選手よりも1歩前に立っています。
その状態から、HO江良選手が肩を抜いて前に出てくるため、両PRよりも更に一段低くセットできます。
同じHOでも、Malcolm Marx選手には無い芸当で面白みを感じます。
3は、お尻の位置を合わせる+身体を真っ直ぐにするためだと考えています。
通常のスプリットの場合、3番は右足が前に来るため、右のお尻が前に出やすくなります。
そうすると、身体が内側を向きやすくなり、神戸S側に反撃の機会を与えてしまいます。
だから、1番側にスライドするものの、3番は真っ直ぐ組む事で、優位に進めたいと考えられます。
バック5は、1番側のフランカーのみ角度をつけてセット、他は真っ直ぐになっており、セットアップの意図と相違なくセットできています。
対して神戸Sで気になったのは2点です。
- セットの際に間合いを1歩遠くとっている
- 1番がHOに対して 1歩前に立っている
1は、相対的に重たいため、ヒットで勢いをつけて相手を崩したい意図が考えられます。
間合いを詰められると、その分だけヒット時の勢いが小さくなり、重さの優位性を活かしにくいです。
ヒットスピードは速く無いですが、距離と重さで重たいスクラムを組みます。
2は、S東京ベイが1番側にスライドするスクラムを組む傾向が強いためです。
スライドしてきた際、神戸S1番が後ろに下がっていると、S東京ベイ3番についていけずスクラムが時計回りに回転して反則を取られます。
そこを防ぐために、1歩前に立たせて組み合える状況を作っています。
ヒットは、スピードで勝ったS東京ベイがセンターラインを超えています。
ただ、その後は1番側にスライドした所を神戸Sに捕えられており、押し切れずボールアウトとなりました。
両チームスクラムに拘っており、勝ち星を重ねてきた要因もスクラムです。
セットアップだけ見ても、決勝戦に相応しいスクラムでした。
13:16〜のスクラム以降は、神戸Sがスロットを合わせています。
S東京ベイの圧力に押し込まれそうになりますが、ガッチリ受け止めて耐え切っていました。
前半終えた管理人のコメント
これがPickup Scrum、Best Scrumに繋がるとは、正直僕も思っていませんでした。
Pickup Scrum 49:11〜
ハーフライン付近(神戸S陣)、S東京ベイボールのスクラムです。
組み合った後、神戸Sが圧力をかけて前に出ました。
後半最初のスクラムで、具選手が見せてくれました。
このスクラムから神戸Sに流れが変わったなと感じました。
あくまで結果論ですが、前半劣勢だったスクラムでペナルティを獲得するまで優劣を覆すと、レフリーの印象も変わります。
セットアップから見ていきます。
前半と比べて、神戸Sが間合いを詰めてきていました。
3番が組みたい間合いに合わせるのが、神戸Sのスクラムなのかもしれないです。
具選手は、相手1番とHOの間を割りに行くスクラムが得意なのが特徴です。
セットアップの時は、1番とHOの間に頭を置いて、丁度頭がぶつかるぐらいの間合いでセットします。
バインドは腕を真っ直ぐにして相手1番の腎臓付近をバインドします。
組み合った瞬間に肘を曲げて腕を絞る事で、相手1番が外側に開きやすくなり、空いた隙間に身体を入れて前に出る形です。
対してS東京ベイ1番紙森選手は、相手3番の鎖骨下に頭を置いてアングル気味に下から上に突き刺さるスクラムが特徴です。
そのため、お互いの間合いが似ており、毎度見ていて攻防が凄く面白いです。
また、映像の関係で分かりにくいですが、組み合う直前にS東京ベイHO江良選手が右側に頭を向けています。
前半は、1番紙森選手と協力して相手3番を挟み込むセットアップだったため、上手く外側に誘い出されたのかなと考えています。
HO江良選手が外側に流れる事で、具選手から見て左側にスペースが生まれます。
そのため、通常よりも具選手が自由に動けるスペースが生まれ、全体的に圧力を受ける形となりました。
バック5が足を詰めていた事が功を奏して、T.Oまで至りませんでしたが、前半と打って変わって圧力を掛けられたS東京ベイでした。
押され方から、真っ直ぐというより突き上げる圧力にやられた印象でした。
Best Scrum 70:45〜
神戸S陣ゴール前5m、神戸Sボールのスクラムです。
メンバーが交代してからのスクラム、神戸Sが勝利を手繰り寄せる形でペナルティを獲得しました。
6点差を追うS東京ベイは、このスクラムで反則を取って逆転に繋げたかった場面です。
自陣ゴール前スクラムは、安定したスクラムを組んで蹴り出すのがセオリーだと思います。
でも、神戸Sは果敢に攻めのスクラムを組んで、ピンチを脱しました。
このスクラムは、Pickup Scrumと同様に具選手が得意な形で前に出ています。
最終的に、S東京ベイ1番加藤選手が外側に弾かれながら突き上げる圧力に屈した形でした。
セットアップから見ていきます。
スロットは前半と変わって、お互い被る位置にセットしています。
その前の63:42〜では、神戸Sが1番側へスライドするようなスクラムを組んでいました。
HO松岡選手と3番具選手で、S東京ベイHOを挟み込む形でセットしており、物凄く窮屈に見えました。
そのスクラムを踏まえて、S東京ベイがあえてスロットを揃えたのだと考えます。
交代で入ったS東京ベイ1番加藤選手は、オーソドックスに真っ直ぐ組むのが特徴で、相手3番の脇腹をストレートに抉るスクラムが多いです。
そのため、スロットを合わせる事と相性が凄く良いです。
その上、3番からするとアングル気味に組むよりも、真っ直ぐ脇腹を抉るスクラムは組み辛いです。
なので、理論上は具選手が凄く嫌な形で組まれる可能性が高いです。
そこを踏まえて、ヒットを見てみると、具選手がL字のように身体を捻ることで、S東京ベイ1番加藤選手を外側へ弾いています。
このヒットのやり方も凄く上手で、取り入れたい部分が多いです。
S東京ベイ1番加藤選手からすると、最初に真っ直ぐセットしているものの、外側に圧力を受けると、自然と身体が傾きます。
組み合った後の両足を見てみると、右膝に比べて左膝が浮いている事が分かります。
具選手に割られないように、HOへ寄っています。
ただ、組み合った位置が半歩ズレているため、どうしても左肩が先行しやすくなります。
意地と意地のぶつかり合い、最後明暗を分けたのはフロントローの勝敗。
ではなく、バック5のスクラムに掛ける気持ちでした。
71:00〜を見てみると、神戸Sのバック5が懸命にフロントローを押しているのに対して、S東京ベイはその後のDFが気になり、顔を挙げています。
フランカーが顔を上げる事で姿勢が高くなり、フロントローからすると、力が抜けたように感じます。
神戸Sが押し切れたのは、マイボールスクラムでゴール前なので、スクラムに集中すれば良い状況だった事です。
両チームのフロントローが浮き上がった所、バック5の押しを貰い続けられた神戸Sが前に出て反則を獲得しました。
徹底的にやり切る、FW8人がスクラムに拘ってきた事がよく分かるスクラムでした。
決して綺麗な形ではありませんが、素晴らしいスクラムでした。
お礼
いつもScrumLoveClubの活動を応援して頂きありがとうございます。
実は、今シーズンを持ってScrumLoveClubの活動をやめようと思っていました。
理由は、仕事で重めの突発事項が重なり、ScrumReviewが更新出来なくなったからです。
『試合は見てるけど頭に入ってこない』
『書きたい事が浮かんでこない』
スクラムに対する情熱が湧いてこない日々が続きました。
その時に、
『石田さんのスクラムに真っ直ぐなところに、いつも背中を押してもらっています。
これからも無理なく、スクラムを好きなままでいられる範囲で!
ご活動を楽しみにのぞかせて頂きます。』
と言われました。
見て分かる通り、言葉選びが本当に素敵な方で時たま連絡をさせて貰っています。
そしてこの言葉を聞いてから、僕の人生からスクラムを取ったら、何が残るのか考えてみました。
子供達は、いずれ自立します。
会社も、定年を迎えたらいずれ退職します。
でも、ScrumLoveClubの活動は自分の灯が消えるまで、一生続けられるものです。
なら子育てや仕事を理由にScrumLoveClubの活動を辞める必要があるのか?と思い、結果的に活動を継続する事にしました。
スクラムの魅力をそのままに、自分の熱も乗っけてお届け出来るように。
更新に波が出るかも知れませんが、ScrumReviewの更新を続けます。
『スクラムをシンプルにわかりやすく』
引き続きScrumLoveClubを宜しくお願いいたします。
ScrumLoveClub管理人
石田恒平

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