JAPAN XV vs MĀORI ALL BLACKS

日本代表
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本日のテーマ

本日は、リポビタンDチャレンジカップ2024 JAPAN XV vs MĀORI ALL BLACKSの試合を解説していきます。

力の差を見せつけられた試合から1週間、リベンジ達成ですね。

点数以上に試合内容が充実しており、良い流れだなと感じてます。

若い選手も続々出てきており、メンバー争いが激しくなってきましたね。

来週は、Scrumに定評のあるGeorgia代表との一戦です。

今回出た良い点をより高められるように、準備して欲しいです。

それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。

試合結果

JAPAN XV 26-14 MĀORI ALL BLACKS

JAPAN XV 324kg / 858kg

MĀORI ALL BLACKS 348kg / 913kg

J SPORTS ラグビー【公式】より

1st Scrum 2:48~

気になる1st Scrumは2:48~です。

ハーフライン上、MĀORI ALL BLACKSボールのScrumです。

1本目は、バインドの段階で間合いが合わず組み直しとなりました。

画面手前側、JAPAN 3番為房選手がバインドの際に少し前へ圧力を掛けた際にMĀORI ALL BLACKS 1番POURI RAKETE-STONES選手との間合いが詰まったため、組み直しとなりました。

JAPANのセットアップが物凄く綺麗でした。

フロントローの胸の位置が揃うように、HO 原田選手がバインドしてから両PRの肩を出しています。

これが埋まったままだと、組み合った時に身体が捻れたり、段差が出来てしまいます。

敢えて肩を隠す組み方もあるのですが、基本は胸の位置が揃っているのが良いです。

また、お尻の位置も揃っているため、後ろにつくロック・フランカーが両肩を使って押す事が出来ます。

この位置がズレてると、頑張って押しても相手に伝わり辛くなり、結果的に前に出られない事が多いです。

ロックは頭を入れるタイミングを揃えるため、入れる前にフロントローに合図をします。

頭を入れる際は下から潜り込むように、それぞれの間に入り込んでから顔を上げます。

頭の位置が浅いと組み合った後に抜ける可能性がありますし、下過ぎると組み合った時にロックの頭が邪魔になります。

頭の入れ方1つ取っても、拘りが見えてきます。

フランカーは少し角度をつけて、頭でフロントローを内側に寄せるようにセットします。

今季のJAPANは、ヒットスピードを重視していますが、ヒットした後にScrumが分解してしまったら元も子もありません。

それを防ぐために、フランカーがフロントローをHO側に寄せて密着度を高めています。

No.8は、フロントローがバインドをして相手に体重を掛けるまでロックを支えています。

体重差で劣るJAPANなので、タイト5(フロントロー+ロック)はバインドするまで前に体重を掛けているのかもしれません。

前のめりになると Scrum全体が動いてしまうので、No.8が支える形となっています。

ヒットスピードに拘るなら自立したセットアップの方が良い気がしますが、何か意図があると考えられます。

セットアップが綺麗=Scrumで勝てるわけではありませんが、セットアップに一貫性がなくても勝てる Scrumは殆どありません。

今のJAPANの Scrumにどこまで決め事があるか分かりませんが、少なくとも押す方向や付く角度は決められているはずです。

2本目も組み合った後に安定しなかったため、組み直しとなりました。

今度はMĀORI ALL BLACKSのセットアップに目を向けてみます。

MĀORI ALL BLACKSの場合は、フロントローそれぞれがスプリットでセットした状態からHOがバインドします。

そうする事で、足を動かす回数が減り上半身のブレが少なくなります。

JAPAN同様にお尻の位置が揃っており、非常に綺麗なセットアップです。

この後ロックがタイミングを合わせて頭を入れるのですが、中腰の状態でセットします。

以前、rugbynorugbyさんと話して、ロックのセットアップについて気付きがありました。

今回の場合は外側の足を前に出してセットしており、PRを前に出す事を重視しています。

肝心のヒットは上手く出れませんでしたが、組み合った後に盛り返す事が出来ました。

フロントローがヒットで受けた際に、No.8が膝を伸ばしきり、ロックが下がって来ないように抑えています。

その上で、ロックが股関節と膝を使って圧力を吸収しています。

最近バック5の2nd Effortについて考えていた所なので、参考動画になります。

ヒットで崩しきれなかったJAPANが反対に押し切られる2本目でした。

3本目は鋭いヒットでJAPANが前に出ました。

2本目と違ってヒットで前に出た分、足を詰めて相手の姿勢を崩せているため、カウンターを喰らわずにボールアウトなりました。

ヒット→チェイスの良いお手本ですね。

ここがルーズになってしまうと、良いヒットが水の泡になります。

直前で出た改善点を直ぐ修正してくるあたりが、為房選手のScrum力を表しています。

今後桜のジャージを担う選手として非常に期待しています。

Best Scrum 78:16~

気になるBest Scrumは57:16~です。

JAPAN陣10m付近、MĀORI ALL BLACKSボールのScrumです。

シンビンでMĀORI ALL BLACKSが1人欠く状況、JAPANとしては反則無く守り切りたい場面です。

組み合った後、JAPANが前に出ながらScrumが回転したため、MĀORI ALL BLACKSがイリーガルホイールの反則を取られました。

試合終盤で疲労の色が見える時間帯ですが、両チーム綺麗なセットアップでしたね。

ただ、クラウチの段階でMĀORI ALL BLACKSが少し前のめりになっており、1st Scrumと比べて自律度合いが低くなっています。

そこに対して、JAPANは規律あるセットアップが出来ています。

バインド時も先手を取れており、相手に圧力を掛けてから足を下げています。

そのため、MĀORI ALL BLACKSが足を下げる際はJAPANの重さが乗っているため、フロントロー全体が後ろに下がりました。

映像を見て頂いたら分かる通り、JAPANのバック5がその場で膝を上げたのに対して、MĀORI ALL BLACKSは全員が足を動かしています。

結果論ですが、この時点でJAPANが押す未来が確定しています。

まず、バインドの段階で姿勢が窮屈になっているため、ヒットで前に出られる余力が少ないです。

今回のように体重差があったとしても、セットした位置から下がっているため、マイナス地点からのスタートになります。

もし、少ない余力を振り絞ってヒットで優勢になったとします。

それはプラスでは無く、マイナス地点から0地点に戻っただけになります。

そして今回のように、JAPANが良いヒットの後1歩以上前に詰めてきており、より窮屈な体勢になっています。

後ろの押しを存分に貰いながら、姿勢を崩さず前に出たため、なす術なくMĀORI ALL BLACKSが押される結果となりました。

フロントローが交代してからも、Scrumで圧力を掛けられた点は素晴らしいですね。

特に、1番岡部選手はMĀORI ALL BLACKS 3番BENET KUMEROA選手が内側に逃げたところを捉えられています。

最初大股で押しにかかった点は気になりますが、LeagueOneで見せた Scrumを世界レベル相手にも再現しています。

追加招集でBL東京木村選手も呼ばれたため、管理人としては大満足です。

終わりに

本日は、リポビタンDチャレンジカップ2024 JAPAN XV vs MĀORI ALL BLACKSの試合を解説しました。

Scrumに置いて、セットアップは物凄く重要です。

その話をぶち壊すようで申し訳ないですが、拘り過ぎるのも良くないなと感じてます。

最近は、自分達の間合いじゃないとScrumを途中で止める選手が増えてきています。

『自分達のコントロール出来る範囲に集中する』

聴こえは良いのですが、Scrumは相手があってこそ成立します。

コントロール出来ない事も含めて Scrumなので、履き違えないように気をつけたいですね。

Scrum Love Clubでは引き続き、JAPANの 超速ラグビーの要となるScrum研究に邁進していきます。

管理人としては、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。

また良かったら拡散をお願いします。

本日もご覧頂きありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。

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