本日のテーマ
本日は、アサヒスーパードライ Pacific Nations Cup 2024準決勝 Japan vs Samoaの試合を解説していきます。
まずは、決勝進出おめでとうございます。
昨年W杯前に僅差で負けてしまい、不穏な空気が流れたSamoa戦でしたが、今回はきっちり勝ち切りました。
セットプレーも安定しており、次のFiji戦に勝って王座奪還に期待が掛かります。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
Japan 49-27 Samoa
Japan 331kg / 905kg
Samoa 347kg / 905kg
1st Scrum 11:00~
気になる1st Scrumは11:00~です。
Japan陣10m上、SamoaボールのScrumです。
組み合った後、殆どScrumが動かずボールアウトとなりました。
Samoaと言えば重たいFWのイメージが強いですが、数値を確認すると、体重差は有りませんでした。
中身は、フロントローで16kgの不利差異、バック5で32kgの有利差異が発生しています。
全体で同じ重さなら密着度が高いJapanの方が有利に組み合えると予想していました。
実際問題なく組み合えていました。
ちなみに、フロントローの体重差はヒット時、バック5は組み合った後に影響して来ます。
セットアップから見ていきましょう。
組み合う前、3番竹内選手が右腕で線を描いていました。
これまでの試合で組み合った後、身体が内側に流れる傾向が強く、1番から煽られるシーンが幾つかありました。
その対策として、自身が進む方向を腕で示して確認していたと推測しています。
No.8からPRへコンバートしただけあって、ハンドリングスキルと体幹の強さはピカイチです。
だからこそ、Scrumで結果を出したい気持ちが現れていたのかなと感じました。
セットアップは扇形でした。
クラウチの段階で両フランカーが膝を上げており、フロントローの体重差で不利にならない様にしています。
America、Canada戦とも違うセットアップで、どの様に組みたいのかハッキリしない状態が続いています。
もしかすると、相手に応じてセットアップを変えている可能性があるので、引き続き注視していきます。
対するSamoaは、バック5が真っ直ぐのオーソドックスな形でした。
7番が少し角度をつけている様にも見えますが、緩いので真っ直ぐに近いのかなと考えています。
クラウチの段階でNO.8がロック陣を引いており、重たいタイト5が前に動き過ぎない様にしています。
バインドはほぼ互角、少しSamoa 3番が前に動いていました。
Japanはバインドの段階でロックが膝を上げるだ、前に体重が掛かるのですが、バインドを強く張っていません。
対してSamoaは、バインドで腕を伸ばし切っているため、力関係が釣り合いにくくなります。
その上、Samoaは真っ直ぐではなく外側に張っているので、体重を支えるのが困難になります。
バインドの強弱に加えて、力の向きを考えられると、自分達がより優位に組み合えます。
ヒットはJapanが優勢でした。
バック5の重さで優位性があった事は勿論、膝の伸び具合を見てもその差は歴然です。
殆ど動けなかったSamoaに対して、Japanは45°伸び切ってから足を前に詰められています。
『ヒットして1、2』
フロントローなら聞き慣れたフレーズですね。
理想的な足の運び方でした。
フロントローも密着しながら前へ圧力を掛けられています。
最初の扇から比べると、フランカーの角度が緩くなっているため、ヒット後は絞る決まりがあるのかも知れないです。
組み合った後は、少しSamoaがプレッシャーを掛けてきました。
殆ど動かなかったものの、Japan 3番竹内選手側が一歩下がっていました。
Samoa 1番側がアングル気味に左肩を前に出してきたため、先行していた右肩を下げる形となりました。
良い形でヒット出来ていましたが、やはり組み合った後に少し内側へ傾きましたね。
バインドで足を下げる際に、後半歩内側に足を置いて組めば身体が真っ直ぐ向きそうです。
良いScrumを組めた時は真っ直ぐ前に出られているため、そのScrumをもっと見たいです。
Best Scrum 77:58~
気になるBest Scrumは77:58~です。
Samoa陣ゴール前5m、JapanボールのScrumです。
組み合った後、1番岡部選手側が前に出る形でScrumが崩れたため、Samoaがコラプシングの反則を取られました。
その後、BKがボールを展開し、23番高橋選手がトライを上げました。
ゴール前で安定したScrumを組めた上、ペナライズ出来たため、余裕を持ってAT出来ました。
明治大学ファンからすると、松岡選手で始まり高橋選手で締め括ったATに興奮したのでは無いでしょうか。
セットアップから見ていきましょう。
映像が遠くて分かりにくいですが、1st Scrumよりも緩めの扇でした。
3番に為房選手が入った時、HO 原田選手のバインドが緩めなので、少し自由度を持たせて組んでいました。
1人でも前に出られる力がある選手ですが、もう少し締めても良いかなと考えたところ、上手く松岡選手がコントロールしてくれました。
普段、神戸Sで具選手や山下選手といった強い3番と組み慣れているので、感覚が染み付いています。
ヒットは1st Scrum同様にJapanが優勢でした。
欲を言えば、組み合った後にフロントローの低さに対して、バック5が合わせたかったです。
先発よりも低さが特徴的なフロントローが揃っていたため、少し段差が出来てしまいましたね。
それでも、膝のためを作ってから前に出られる強さが良かったですね。
完璧に押し切る所まではいきませんでしたが、低さに耐えきれず、SamoaがScrumを崩す結果となりました。
Japanの低いScrumってやっぱり通用するんですよね。
あとは、低い所から浮かずに前に出られるシーンを増やしたいですね。
終わりに
本日は、アサヒスーパードライ Pacific Nations Cup 2024準決勝 Japan vs Samoaの試合を解説しました。
今回初キャップを得たHO 松岡選手はスクール時代の同期で、高校時代は対戦もしています。
彼が桜のジャージを着て活躍する姿を見たので、管理人も頑張ります。
Scrum Love Clubでは引き続き、JAPANの 超速ラグビーの要となるScrum研究に邁進していきます。
管理人としては、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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