JAPAN XV vs MĀORI ALL BLACKS

日本代表
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本日のテーマ

本日は、リポビタンDチャレンジカップ2024 JAPAN XV vs MĀORI ALL BLACKSの試合を解説していきます。

England戦から1週間、大きくメンバーを入れ替えて臨んだ1戦でした。

結果は前後半合わせて2トライと厳しい結果です。

ただ、Scrumだけ見ると手応えを感じましたね。

1st Scrumから一貫して圧力を掛けられており、フロントローが交代した70分以降もペナルティーを獲得出来ています。

7月はScrumに定評のあるGeorgia代表、勢いあるItaly代表との試合が控えています。

そこに向けて、今回出た課題を次週の再戦で修正して欲しいです。

1歩ずつ前に進んで行きましょう。

それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。

試合結果

JAPAN XV 10-36 MĀORI ALL BLACKS

JAPAN XV 324kg / 859kg

MĀORI ALL BLACKS 348kg / 909kg

J SPORTS ラグビー【公式】より

1st Scrum 2:52~

気になる1st Scrumは2:52~です。

MĀORI ALL BLACKS陣22m内、MĀORI ALL BLACKSボールのScrumです。

組み合った後、前後に動きましたがペナルティ無くボールアウトとなりました。

JAPANは1st Scrumから良い圧力を掛けましたね。

セットアップの段階でJAPAN3番為房選手がMĀORI ALL BLACKS 1番JOE MOODY選手の頭を外側に弾けており、非常に良い入りでした。

JAPANのセットアップは、6番下川選手が少し鋭角に、7番山本選手は真っ直ぐセットする形でした。

バインドの段階から先行して膝を浮かしていました。

バック5の膝を見ていると、90°よりも鈍角に伸ばせる位置に足を置いています。

セットアップから膝を浮かした事も膝を鈍角にしてセットしている事も、総体重で50kgある差による影響を減らすためだと考えています。

膝が詰まった状態で圧力を受けると、膝が鋭角になりヒットで前に出る余力が無くなります。

体重差をひっくり返すには、ヒットスピードで相手よりも早く間合いを詰めるか、バインド時から相手を窮屈な体勢にするかの2択です。

2023年までのJAPANは、バインド時から相手を窮屈にするセットアップです。

セットしてからヒットするまで動き幅が小さく、コンパクトなScrumと言えます。

2024年からは、ヒットスピードで相手との間合いを早く詰めるセットアップに変わりました。

どちらのセットアップが正しいとかは無いです。

Scrumは生き物なので、その時々でトレンドも変わります。

現時点では、ヒットスピード重視のScrumでペナルティを取れる場面が増えています。

対するMĀORI ALL BLACKSは、海外のチームらしいロックが膝を浮かせるセットアップでしたね。

バインド時の圧力は減りますが、体重差で優位に立っているため、その後は影響無く組めます。

気になったのは、HO KURT EKLUND選手が右足を動かすのが早かったように感じました。

ルール上、ブレーキフットの位置に置くようにとされています。

ただ、このブレーキフットの位置が物凄く曖昧で、自立してセット出来ていれば反則を取られない場面が多いです。

右足を下げた後も前に掛かる事なく組み合ったため、反則を取られなかったのかなと考えてます。

組み合った後は、お互い低くなり圧力を掛けました。

崩れる事なく組み合えた事、そして組み合った後に低くなれた事はJAPANの Scrumが世界と互角に渡り合っている証拠です。

欲を言えば、3番為房選手がもう少し外側に圧力を掛けたかったですね。

右肘が浮いており、相手1番に対する外側の圧力が小さくなっています。

その上、組み合った後に右足を半歩内側に畳んでおり、最初の位置と比べて前への推進力が薄れています。

無理やり上半身だけ伸びて前に出たため、足の位置が変わっていない相手1番から圧力を受ける形となりました。

身体と足の方向が揃っていないと、押したい方向に対する推進力が少なくなります。

外→内に入りたかったのだと思いますが、完全に弾き切れていないため、中途半端に内側に入ってしまいました。

もしかしたらLeagueOneの試合なら押し切れた場面かも知れません。

今回の経験が為房選手を更に強くしてくれるでしょう。

その後シーソーのようにお互い押し押されの状態が続きボールアウトとなりました。

Best Scrum 57:16~

気になるBest Scrumは57:16~です。

JAPAN陣22m内、JAPANボールのScrumです。

組み合った後、下から上に突き上げる形で前に圧力を掛けて、MĀORI ALL BLACKSがイリーガルホイールを取られました。

非常に綺麗な形で押せたScrumでした。

セットアップの映像が遠かったので推測になりますが、1st Scrumと比べて動き幅が小さかったです。

1番岡部選手はLeagueOneの中でも低く、コンパクトに組むScrumに定評があります。

今回はその強みを存分に活かせたScrumでした。

バインドは上手く取れませんでしたが、ヒットの段階でセンターラインよりも1歩分前で組み合う事が出来ています。

地面を蹴れており、自らヒットしに行く意識が高い事が分かります。

4番桑野選手と6番下川選手も、ヒットの際にしっかりと膝を伸ばせているため、より前に出やすい状況が出来ていました。

組み合った後、少し圧力を受けましたが相手3番の肩よりも握り拳一個低い位置を確保出来ています。

4番桑野選手が半歩前に足を詰めているため、組み合った後に力が跳ね返って来ないようにしています。

良いヒットの後、押し切れない/押し返されるのは、フロントローがヒットで詰めた間合いをバック5が埋めてないからです。

FW8人が連動して組めている場合、フロントローのお尻とロックの肩に隙間が無いため、組み合った後も常に圧力を掛けられます。

逆に、隙間があるとどれだけ良いヒットをしても押し返される事になります。

以前、明治大学 vs 早稲田大学の時に明治大学が良いヒットをしていたのですが、ヒットで前に出た分押し返されていた試合がありました。

その時も、フロントロー・バック4・No.8のタイミングにズレが生じていました。

今回は、後ろの押しを相手に伝える事で、相手3番が自然と浮き上がり前に出る事が出来ました。

3番為房選手側もMĀORI ALL BLACKS 1番OLLIE NORRIS選手が外側に流れている事もあり、1st Scrumと比べて真っ直ぐ組み合えています。

そのため、2 vs 3の状況を作る事ができ、真っ直ぐ圧力を掛けて押し切る事が出来ました。

非常に綺麗な形で押し切れたScrumでした。

昔は、Scrumはフロントローが押すものだと考えられていました。

正直、高校時代の管理人もロックの押しが有ればScrumは組めると勘違いしていました。

Scrumは8人で組むものです。

どこかで力が漏れると必ずScrumは崩壊します。

逆に、多少押しが変でも8人全員が押す気持ちで前に圧力を掛ければある程度組めるようになります。

管理人としては、フロントローだけでなく、ロック・バックロー、更に言えばBKやチーム全員が自分達のScrumに拘りを持って欲しいです。

今回の桑野選手の喜びを見て、そう感じました。

94年組頑張って欲しいですね。

終わりに

本日は、リポビタンDチャレンジカップ2024 JAPAN XV vs MĀORI ALL BLACKSの試合を解説しました。

7月は毎週、8月以降は1試合以上定期的に試合が続きます。

テストマッチの雰囲気や空気感を多くの選手が経験出来るようにして欲しいですね。

管理人としては、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。

また良かったら拡散をお願いします。

本日もご覧頂きありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。

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