本日のテーマ
本日は、関東大学ラグビー春季大会 早稲田大学 vs 帝京大学の試合を解説していきます。
帝京大学、春季大会制覇おめでとうございます。
明治大学相手に同点に持ち込まれるものの、他の試合は強さを見せて勝ち切りました。
対する早稲田大学も点数は開きましたが、セットプレーに手応えを感じる試合でしたね。
特にScrumでペナライズ出来る場面が多くあり、秋の再戦に期待が掛かる試合運びとなりました。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
早稲田大学 7-60 帝京大学
早稲田大学 323kg / 798kg
帝京大学 321kg / 839kg
1st Scrum 2:31~
気になる1st Scrumは2:31~です。
早稲田大学陣10m上、早稲田大学ボールのScrumです。
1本目はレフリーのコールの前に組み合ってしまったため、組み直しとなりました。
両チーム綺麗なセットアップですね。
セットしてから殆ど動かず、綺麗な姿勢を保っていました。
映像では帝京大学3番梅田選手と早稲田大学1番杉本選手が写っています。
そこに着く両フランカーが角度を付けてセットしており、フロントローを寄せる意識が高いことが分かります。
今回は、帝京大学6番青木選手の扉を閉めるタイミングがワンテンポ早かったように感じました。
前節までは、バインドをしてから内側に足を動かして身体を真っ直ぐしています。
クラウチの段階で先行して動いており、バインドで圧力を掛けるために先行して動いたと推測しています。
ただ、バインドの段階で、早稲田大学1番杉本選手が先手を取っており、少し圧力を受ける形となりました。
帝京大学3番梅田選手の腕の動きが↑→だったのに対して、早稲田大学1番杉本選手は←のみの動きでした。
ゲームのコマンドのように、ワンテンポ違えばその後の動きに影響します。
また、足の下げ幅も帝京大学3番梅田選手が2歩分に対して、早稲田大学1番杉本選手が1歩分で済んでいます。
改善するとすれば、左足の位置を半歩〜1歩分前にする事で、前後の歩幅が小さくなります。
そうすれば、体格差を武器に優位に立てた場面でした。
ただ、圧力を受けながらも綺麗な姿勢を保っており、このまま組み合っても互角以上に組み合えたはずです。
このScrumだけ見ても、帝京大学が個人の基礎を徹底している事が分かります。
対する早稲田大学はバインドで先手を取れたものの、膝が伸び切ってしまい姿勢が少し崩れています。
完璧なScrumは難しいですが、一段と低く固まれるのがBestでした。
2本目は、組み合った後早稲田大学が膝を落としてしまったため、ニーリングの反則を取られました。
ヒットは互角でしたが、バック5から来る重さが帝京大学の方が優勢でした。
まともに組み合えば互角で綺麗なScrumになりますが、今回は早稲田大学ボールのScrumです。
そのため、早稲田大学はその後のATに向けた動きを考えながらScrumを組む必要があります。
対する帝京大学もDFの事を考える必要がありますが、フッキングが無いため、押すことに100%集中する事が出来ます。
今回崩れたタイミングは、早稲田大学HO清水選手がフッキングをした直後になります。
どこが原因で崩れたかまでハッキリしませんが、帝京大学HO 當眞選手と3番梅田選手が上から圧力を掛けた結果だと考えてます。
組み合った後、早稲田大学1番杉本選手が左肩を使って何とか耐えようとしている事を考えると、内側に対する圧力が強かったのかなと感じました。
今期好調の早稲田大学に対して1st Scrumから圧力を掛けた帝京大学に天晴れです。
Best Scrum 15:23~
気になるBest Scrumは15:23~です。
早稲田大学陣22m付近、帝京大学ボールのScrumです。
1st Scrumと立場が逆転した状況、今度は早稲田大学がプレッシャーを掛けました。
組み合った後、一瞬帝京大学がプレッシャーを掛けるも早稲田大学が盛り返し、押し切りました。
反則を貰えなかったものの、良い形で圧力を掛けられています。
1st Scrumと違ったのは帝京大学のフランカーが6番青木選手から7番グアイニ選手に変わっていた点です。
その後のAT、特にフォーメーションの関係で左右の位置を入れ替えています。
今回取り上げた理由はバインド時の両チームの姿勢が綺麗だったからです。
映像を見返したら分かるのですが、帝京大学No.8ダウナカマカマ選手から早稲田大学No.8城選手まで1本の線のような形で綺麗に繋がっています。
LeagueOneでもあまり見られない綺麗な姿勢だったので、思わず『たまらんなぁ』と呟いたほどです。
映像が遠かったので、細かいセットアップは分かりませんが非常に精度が高いScrumでした。
ヒットはやや早稲田大学が優勢でした。
推測になりますが1st Scrumと比べてスロットを半歩左側にズラしている、もしくは、帝京大学3番梅田選手がセットアップの段階で半歩外側に流れて孤立してしまったため、早稲田大学1番杉本選手とHO清水選手で挟み込む事が出来た事で優位に立てています。
重たい相手にヒットで優位に立つ姿、静岡BRを彷彿させるScrumだなと感じました。
組み合った後は、お互いの膝が地面から数センチの高さになる位置で姿勢を保っています。
ただ、帝京大学3番梅田選手の足元を見ると地面を捉えられている面が殆どありません。
対する早稲田大学1番杉本選手はスパイク前面のポイントを使って地面を捉えられています。
ヒットした際に右側から圧力を受けており、重心が左側に移動した事が原因です。
非常に細かい部分の精度が試される繊細なScrumでした。
そして、押す際に右足を半歩畳みながら浮いてしまったため、懐に潜られる度合いが増えて押し切られる形となりました。
もし、内側に行くとしたらセットアップの段階で半歩HO側に寄りたかったですね。
外側に張るのであれば、ヒットした位置から真っ直ぐ圧力を掛けたいです。
浮いた際の肩の位置を見ると、下から早稲田大学1番杉本選手、帝京大学3番梅田選手、早稲田大学HO清水選手の順番に並んでいます。
そのため、外に対する圧力が大きければ1対1の状況を作る事ができ、押し切れたかもしれません。
秋にもう一度この低いScrumを見られる事を楽しみにしています。
終わりに
本日は、関東大学ラグビー春季大会 早稲田大学 vs 帝京大学の試合を解説しました。
関東大学ラグビー春季大会も最終節となりました。
面白そうな試合が多かったので、時間の許す限り更新していきます。
読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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