本日のテーマ
本日は、リポビタンDチャレンジカップ2024 JAPAN🇯🇵 vs England🏴の試合を解説していきます。
新生エディーJAPANの初戦でした。
点差は開きましたが、Scrum・モールDFで手応えを掴めたのかなと考えてます。
現時点でEngland相手にここまで組み合えている事が素晴らしいです。
新しい日本のScrumについては、試合を重ねる中で分析していきます。
今回の印象としては、W杯フランス大会で南アフリカが見せた伸び切って詰めるScrumに似てます。
ペナライズ出来た部分、ペナルティを取られた部分も合わせて見ていきます。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
JAPAN 17-52 England
JAPAN 332kg / 896kg
England 348kg / 914kg
1st Scrum 2:49~
気になる1st Scrumは2:49~です。
JAPAN陣22m付近、JAPANボールです。
組み合った後、England1番べヴァン・ロッド選手が押し込まれてからScrumを崩したため、コラプシングの反則を取られました。
良い出だしとなったScrumでしたね。
JAPANのセットアップは3番竹内選手が1/4歩前にセットする形でした。
この試合のScrumを見た感じ内側に流すより、外側に張っていく形のため、3番の重要性が非常に高いです。
3番が前に出る事が前提でScrumを構築するため、前にセットさせていると推測されます。
欲を言えば、左足が半歩前でも良かったですね。
軸足を下げ過ぎると身体が内側に傾きやすくなり、外に対する圧力が小さくなります。
また、6番リーチ選手が角度を付けてセットしていましたね。
クラウチの前段階から両フランカー膝を上げて、フロントローがバインド時に圧力を掛けられる体勢を整えています。
対するEnglandは、両ロックが片膝を付いた状態でセットしています。
海外のチームに良くあるセットアップですね。
フランカーも角度を付けずに真っ直ぐ、クラウチの段階まで地面に膝をついた状態でセットしています。
また、セットアップの段階でHOジェイミー・ジョージ選手が半歩後ろに下がります。
重たいFWを最大限活かすため、ヒットの距離を取っています。
興味深かったのはここからで、1番べヴァン・ロッド選手と3番ダン・コール選手が 、HOジェイミー・ジョージ選手の下げた左足の位置に最初からセットしていました。
どこの位置に置くか綿密に決めている訳では無いでしょうが、感覚的に分かるのでしょう。
バインド時にEnglandがすーっと前に出て来ましたね。
クラウチの前に間合いを広げて、バインドの段階で重さを乗せるセットアップである事が分かります。
圧力を受けた結果、JAPANの両ロックが半歩後ろに足を下げています。
この圧力を受けて、その影響だけで留められたのが素晴らしかったです。
ヒットは少しJAPANが優勢でした。
FW8人全員の膝がしっかりと伸びており、相手に上手く体重を乗せる事が出来ました。
長谷川コーチの時は相手を窮屈にするScrumをモットーに、バインドから間合いを詰めて相手が組み辛い状態を作っていました。
今回のオーウェン・フランクスコーチは、日本の柔軟性、特に体を伸ばし切れる部分に着目して南アフリカのようなScrumを取り入れています。
ヒット時に身体を前に伸ばし切るとこで、相手に体重を預ける事が出来ます。
また、バインド時から膝を鈍角にする事で、ヒットで受けてしまった場合も吸収出来る余地が生まれます。
今回のScrumのために、伸び切っても身体をコントロールする練習を重ねて来たのかなと考えてます。
ただ、1st Scrumでは思いの外3番竹内選手の右肩が前に出たため、必要以上に膝が伸び切りました。
そのため、双方崩れる形となり、反則を獲得しました。
解説の沢木さん曰く、ルク・ラモスレフリーは早い段階で Scrumの反則を取るみたいなので、1st Scrumから反則を貰えたのは良かったですね。
その後、数本ペナルティーを取られていますが、間合いが必要以上に遠く、伸び切って崩れる事を誘われていたのかなと感じました。
ここら辺の塩梅はこれから模索していく課題ですね。
日本のScrumが変わった影響で、LeagueOneや大学ラグビーにも新たなScrumの流れが来ると予感しています。
Best Scrum 18:49~
気になるBest Scrumは18:49~です。
England陣ハーフライン-10m、JAPANボールScrumです。
組み合った後、JAPAN3番竹内選手を主導に前に圧力を掛けてからボールアウトとなりました。
あとワンテンポ早ければペナルティーを獲得出来たScrumであり、これからの日本が目指したいであろう押し方だったため、Best Scrumに取り上げました。
他にもペナルティを獲得出来たScrumはありましたが、このScrumだけはEnglandを崩しきる事が出来ています。
それも、日本のScrumを耐えようと膝を伸ばし切っている状況にも関わらずです。
管理人としては、物凄くワクワクした場面でした。
2015年以降、世界との体格差は年月を追うごとに少なくなり、体重差も非常に少なくなっています。
だからこそ、南アフリカのような伸びきる Scrumを取り入れてもEnglandに通用するのだと感じました。
見た目以上に高度なScrumであり、簡単に取り入れるのは難儀だなと考えています。
もし、導入するなら1人でシャフトを使いながら伸びきる練習や1 vs 1で伸び縮みする練習から始めます。
良い映像があれば教えてください。
Scrumに戻りましょう。
映像を見ている限りは、1st Scrum同様に3番竹内選手の左足の位置が気になりますね。
組み合った後にすぐ半歩前に動かしている事を考えると、最初からその位置に置けたらさらに良いScrumが組めます。
両足が揃った状態からは、外側に圧力を掛けながら相手1番の体勢を崩して前に出る事が出来ています。
小股で前に出る事で、バック5の押しを漏らさずに進む事が出来ています。
この動かし方、押し方は多くの3番の参考になるでしょう。
ポテンシャルに溢れた選手であり、吸収力も高いので次の試合では修正してくると信じています。
また、No.8ファウルア・マキシ選手の足を下げるタイミングが遅れましたね。
1st Scrumでは足を下げて姿勢を整えてからヒットするまで1秒ありました。
今回は、ほぼ同時にヒットする結果となっています。
細部まで拘っていないのか、拘りきれていないのか分かりませんがもう少し余裕をもってセットしたいですね。
対するEnglandは、1番べヴァン・ロッド選手が半歩後ろに下がっていましたね。
無意識だと思います。
ただ、その影響でHOジェイミー・ジョージ選手と少しだけ段差が出来ています。
バインド時に前へ伸びる事で解消を試みていますが、解消に至っていない模様です。
その間を竹内選手に責められて、身体が傾き押される結果となりました。
また、No.8ベン・アール選手の肩がヒット時からロックのお尻より上にズレており、圧力が伝わっていません。
セットアップの精度でJAPANの方が上回っていた事が分かります。
このScrumを更に進化させて5ヶ月後の再戦でリベンジして欲しいです。
終わりに
本日は、リポビタンDチャレンジカップ2024 JAPAN🇯🇵 vs England🏴の試合を解説しました。
7月は毎週、8月以降は1試合以上定期的に試合が続きます。
テストマッチの雰囲気や空気感を多くの選手が経験出来るようにして欲しいですね。
管理人としては、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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