試合結果
筑波大学 62-15 青山学院大学
筑波大学 326kg / 813kg
青山学院大学 315kg / 805kg
1st Scrum 0:52〜
筑波大学陣10-22m、青山学院大学ボールのスクラムです。
組み合った後、殆ど動かずボールアウトとなりました。
セットアップから見ていきます。
筑波大学は、HOがセットしてから1歩間合いを遠くしていました。
ヒットの勢いで、青山学院大学のフロントローを崩して押し切りたい意図が考えられます。
1番→3番でHOがバインド、1番側のみ肩を出していました。
3番側は、セットする段階から身体が真っ直ぐなるようにバインドしており、肩を抜く必要がありません。
立ち位置も半歩前にセットしていました。
ロックが頭を入れる際は、PRが膝を外側に開いて隙間を作っています。
膝の動作だけで、お尻の間に隙間が作れるので、非常にお勧めです。
頭を入れてから締める事で、ロックの頭がズレる可能性が低くなり、組み合っている時に密着感が強くなります。
バインドは順手でした。
フランカーは1番側のみ角度をつけてセット、クラウチのコールの前に膝を浮かしています。
FW全体からすると、両フランカーの体重が軽いので、バインドで圧力を掛けた時に上手く相手に圧力を乗せる準備をしていると考えます。
全体的にコンパクトなセットアップでした。
対して青山学院大学は、HOがセットした位置から半歩右側に動かしていました。
わざと相手と頭が被る位置にセットする事で、組み辛さを出すためです。
クラウチの前段階で先に低い位置にセットしており、自分達の組みたい場所で勝負する意図が伺えます。
こちらも1番→3番の順番でバインド、バインドする段階で肩が出ていました。
肩を出す手順を省くなら、青山学院大学のようにセットする段階で肩を出しておけば無くす事が出来ます。
1番がHOより気持ち前にセットしており、筑波大学の3番を軸にしたスクラムに対して凄く相性が良かったです。
ロックが頭を入れる際、PRが膝を開いていますが、筑波大学と比べると隙間が小さいです。
両フランカーは角度をつけてセット、全体的な密着感を出しています。
バインドで筑波大学が先手を取れていますが、上手く体重を乗せられていない印象でした。
その影響か、ヒットは青山学院大学優勢でした。
クラウチの段階で低い位置にセットしていた事、バインドで姿勢が崩れなかった事が要因として考えられます。
バック5も姿勢は崩れていますが、低くまとまりながらフロントローを押せています。
対して筑波大学は、背中のラインが揃っているものの、No.8からフロントローに掛けて↗️の線を描いています。
組み合った後、筑波大学が崩せそうに見えますが、フロントローが潜り込まれています。
もし、このまま前に出たとしたら、フロントロー同士が盛り上がって押し切らないと考えています。
密着感があるスクラムに対しては、角度をつけた圧力を掛けるか・密着感を崩す圧力を掛けるのが良さそうです。
Best Scrum 69:16〜
青山学院大学陣ゴール前5m、筑波大学ボールのスクラムです。
組み合った後、筑波大学が押し切りスクラムトライ(スクラムを押し切ってトライを獲得する事。通称ST)しました。
青山学院大学もある程度スクラムに定評がありますが、それを押し切る筑波大学は流石ですね。
38:50〜も青山学院大学ボールを押してT.Oしていますが、69:16〜の方が筑波大学のスクラムが分かりやすいので取り上げました。
セットアップは1st Scrumと同様、メンバーが変わってもチームとしてのセットアップを守っています。
今回注目したいのは、1番・HOの密着感です。
最近の大学ラグビーは、1番・HOで相手3番を挟み込むスクラムが多く見られるため、参考にして貰えたら嬉しいです。
セットアップの段階で、1番が相手3番の正面に立てる位置にセット、HOは気持ち相手3番側に向いています。
3番は、HOのサポートなく相手HOと1番を相手する必要があるので、身体は真っ直ぐにしています。
1番は、バインドで外側に流れずにHOと密着します。
HOと密着する事で、相手3番の自由度が少なくなり、選択肢を減らす事が出来ます。
今回の場合は、外側に張る選択肢を削っており、その結果として青山学院大学3番が内側に傾いています。
内側に傾いても、筑波大学HOが近くにいるため、青山学院大学3番はさらに選択肢が無くなります。
そうこうしているうちに、ヒットとなるため、青山学院大学3番は傾いた状態で筑波大学の圧力に耐える必要があります。
3番が内側に傾くことで、自然と圧力が1番側に集まります。
1番は左側に相手が居ないので、自分の右側から圧力を受けたら、自分の左足で耐える必要が出ます。
真っ直ぐ組みたいのに、身体が外側に弾かれる感覚です。
筑波大学のように3番を軸にしたスクラムの場合は、さらに外側は圧力を掛けてくるため、より左足がスクラムの外側に流れます。
ちなみに、アングル気味に角度をつけて、挟み込むスクラムもありますが、3番に逃げられる可能性があるので、最初は真っ直ぐの方が良いと考えています。
結果的に、筑波大学が前に出ながら3番側を中心にスクラムが回転して、STまで持っていきました。
今回の結果を受けて、筑波大学は対抗戦2位が確定しました。
シードBとなり、対抗戦4位とリーグ戦2位の東洋大学の勝者と当たります。
個人的には、東洋大学の重たいスクラムと筑波大学の密着したスクラムのスクラムバトルを見たいですね。
対して青山学院大学は、7位となり入替戦で明治学院大学とぶつかります。
こちらは、対抗戦Aグループで戦った意地を見せてほしいですね。
4回生は悔いのないように、Aチームに関わる関わらない関係なく、やり尽くして欲しいですね。
『スクラムをシンプルに分かりやすく』
日頃からScrumLoveClubをご覧頂きありがとうございます。
今後も精力的に活動しますので、引き続き宜しくお願い致します。


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