本日のテーマ
本日は、ムロオ関西大学Aリーグ最終節 天理大学vs京都産業大学の試合を解説していきます。
京都産業大学、3連覇おめでとうございます。
全勝優勝を懸けた両チームの対戦、最後の最後まで魅力溢れる試合内容でした。
実力は拮抗していましたが、最後は京都産業大学が勝ち切りました。
前半から後半の前半に掛けてScrumで優位性を見せた天理大学ですが、最後の最後で盛り返されました。
セットプレーに定評のある京都産業大学に対して、その部分で勝てたのは自信になるのかなと考えています。
関西1・2位は両方とも関西で試合が出来るので、そのアドバンテージを活かして大学選手権でも頑張って欲しいですね。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
京都産業大学 23vs22 京都産業大学
京都産業大学 825kg/天理大学 801kg
1st Scrum 4:00~
気になる1st Scrumは04:00~です。
京都産業大学陣22m付近、京都産業大学ボールのScrumです。
試合前のインタビューでも言ってましたが、天理大学は今季相当セットプレーに拘っています。
対する京都産業大学も伝統的にセットプレーが強いチームです。
管理人はこの1st Scrumを物凄く楽しみにしてました。
1本目は組み合った後、Scrumが崩れたため組み直しとなりました。
両チーム共に非常に綺麗なセットアップでしたね。
京都産業大学はオーバーハンドの特性を理解しているため、1・2番が3番側に力を集められるようにしていました。
ただ、バインドの際に1番側が大きく足を下げ過ぎたのかなと考えてます。
本来であれば相手3番に対して真っ直ぐ組む必要がありますが、少し角度がついてました。
対する天理大学は自分達の身体の大きさを考えた上で、小さく8人がまとまるセットアップを取り入れています。
平均体重は軽いものの、Scrum全体のまとまり、ヒットスピードはピカイチですね。
アップも見ましたが、ロックが頭を入れる時に殆どフロントローが動いてませんでした。
夏合宿で帝京大学、明治大学相手に押し切ったScrumは更に磨きが掛かっていたと言えるでしょう。
ヒットはやや天理大学が優勢でした。
セットしてから足を殆ど動かしていないので、ヒットする準備が整っていたのかなと考えています。
特に、No.8の膝の伸びが良く、ロック・フロントローが前に出やすくなりました。
フロントロー、ロックもしっかりと地面を蹴るのですが、やっぱりバックローが伸びれるとヒットで前に出やすくなりますね。
8人の連動性を考えると後ろから前に力が移動するのが理想です。
そのために、フロントローは、後ろの力をそのまま前に伝えられるようにしたいです。
天理大学や京都産業大学はそこら辺の基礎が出来ているからこそ、良いScrumが組めるのかなと考えてます。
今回は、組み合った後下向きに圧力が掛かったため、崩れてしまいました。
2本目は、バインドの段階でセンターラインを超えてしまった天理大学がアーリーエンゲージの反則を取られました。
バインドの駆け引きの部分で、京都産業大学3番が上手くコントロールしていました。
天理大学1番側がバインドをしてから一旦離している事を考えると、持つ場所が悪かったか持つのが早過ぎたのかなと考えています。
ただ、組む前の表情を見ている限り、物凄く落ち着いて組めていましたね。
相手の強みであるセットプレーの部分で、互角に渡り合える自信の表れでした。
Best Scrum (天理大学)62:45〜
気になるBest Scrum(天理大学)は62:45〜です。
王座奪還を目指して天理大学が1点差を追う展開、ハーフライン上、天理大学ボールのScrumです。
1st Scrumでは反則を取られたものの、そこからこのBest Scrumに掛けて優位に進められた天理大学でした。
1本目は組み合った後、Scrumが崩れて組み直しとなりました。
京都産業大学の良い伸びに対して、天理大学が少しヒットで受けてしまった印象です。
崩れ方から反則を取られてもおかしく無い状況でした。
2本目は、逆に天理大学がバインド時から優位に進める事ができました。
セットアップで引かず、先にバインドをして仕掛ける事により、京都産業大学3番側の膝が詰まった状態となりました。
あの状態からヒットで勝つのは相当難しいので、バインドの時点で勝負が決まってたのかなと考えています。
ヒットも天理大学が優勢でした。
ヒットした後の足の運びが小さく、非常に良い動かし方だと感じてます。
これが大股だと相手に付け入る隙を与えてしまうため、姿勢を崩さない足運びが重要です。
足の動かし方で、姿勢や亀など基礎練習を積んできたかどうかがハッキリと分かります。
言葉で書くのは簡単ですが、実践するのはそれだけ難しいと言う事です。
じわりじわりと足を詰めて相手の体勢を崩した天理大学がコラプシングの反則を獲得しました。
このScrumで印象的だったのが、京都産業大学3番側から崩れた事です。
本来であれば、オーバーハンドのため3番側が出やすい状況です。
そのセットアップに対して、相手の強みとなる部分から崩し切った天理大学が素晴らしかったと考えています。
相手の姿勢が窮屈だった事もありますが、注目したいのは天理大学1番側です。
バインドの際に、左足を内側に畳む事でHOに1歩半程寄れています。
ヒットした後も外側に足を運んでいないため、相手が内側に対して圧力を掛けてきても、自分達が正対した状態で組む事が出来ました。
1番の選手でここまで出来る選手はそう多く無いです。
だからこそ、これが出来ると3番側としては物凄く組みにくい相手になります。
1番の選手は右足右肩主導を意識して、日々の練習から取り組んでいきたいですね。
Best Scrum (京都産業大学)75:46~
気になるBest Scrum (京都産業大学)は75:46~です。
ロスタイムの逆転、3連覇を達成した背景にはこのScrumがありました。
ハーフライン上、天理大学ボールのScrumです。
京都産業大学が9点差を追う展開の中、リスタートのボールをダイレクトに出してしまい、センターScrumです。
組み合った後、Scrumが崩れて天理大学がコラプシングの反則を取られました。
両チーム、セットアップは綺麗でした。
激しいぶつかり合いをした試合でしたが、この時間帯でも良いセットアップを継続出来るのは練習の賜物ですね。
ただ、メンバーが変わった影響か、天理大学側のセットアップがやや窮屈なように感じました。
Best Scrumと比べても膝が前に詰まっており、ヒットで上手く出られる体勢では無かったように感じています。
対する京都産業大学も少し膝が流れていましたが、3番側が良い姿勢を取れていたため、後ろの押しを上手く貰う事が出来ました。
ヒットはほぼ互角でした。
少し天理大学が優勢だったかなと感じています。
組み合った後に京都産業大学1番・2番が少し前に出て崩れたため、天理大学側が引いてScrumを崩したと判定されました。
リザーブメンバーが入った時に同じクオリティでScrumを組めるのが理想ですが、現実は難しい部分があります。
Scrumは個々の強さだけではなく、味方との相性も影響します。
埼玉WKのようにフロントローを総入れ替えするのは、それだけその3人が濃い時間を過ごしてきており、組みやすい組み合わせだからだと考えています。
お互いリザーブメンバーが入った状況、勝敗を決めたのはセットプレーに拘り続けた歴史の差かも知れません。
非常に見応えあるScrumでした。
両チームに天晴れです。
終わりに
本日は、ムロオ関西大学Aリーグ最終節 天理大学vs京都産業大学の試合を解説しました。
関西優勝を懸けた一戦、久しぶりの現地観戦でしたが見る価値がありましたね。
大学選手権でも両チームの活躍を祈念しております。
個人的には、コンタクト・セットプレーを見ても関東のチームに引けを取らないと考えています。
ホームアドバンテージをどこまで活かせるか、楽しみにしています。
Scrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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