本日のテーマ
本日は、第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準々決勝 京都産業大学vs早稲田大学の試合を解説していきます。
京都産業大学、正月越えおめでとうございます。
今回で10度目となる決勝へ向けたチャレンジ権を獲得しました。
近年見ても、バランスの取れたチームだと考えています。
対する早稲田大学はセットプレーで苦しみましたね。
個人ではポテンシャルの高い選手が多いので、その強みを活かせるチーム作りを目指したいところです。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
京都産業大学 65vs28 早稲田大学
FW体重 京都産業大学 841kg / 京都産業大学 823kg
1st Scrum 4:59~
気になる1st Scrumは4:59~です。
京都産業大学陣22m内、京都産業大学ボールのScrumです。
昨年、準決勝で対戦した両チームの再戦でした。
対抗戦では、帝京大学や明治大学と言ったFWに強みのあるチームに対して負け越しており、その部分を攻略出来れば勝機がある試合です。
そのため、セットプレーに強みのある京都産業大学に対して、早稲田大学がどこまで対抗出来るか楽しみにしていました。
その管理人の期待に反して、1st Scrumは京都産業大学のアーリープッシュで幕を閉じました。
バインドを取る際に、フロントローの動きとバック5の動きが連動しておらず、前に圧力が掛かってしまったと考えられます。
自立した状態でバインドを取れるのがベストなのです。
ただ、後ろからの圧力を丁寧に相手へ伝える事も必要なので、良い塩梅を見つける必要があります。
早稲田大学は、綺麗なセットアップでしたね。
8人がまとまって良い姿勢を取る事ができています。
敢えて、扇の形のセットアップを選択してるのだと思われます。
ただ、対抗戦の試合を見ていても左右に振られる事が多かったため、個人的にはもう少し真っ直ぐのセットアップでも良かったかなと考えてます。
対する京都産業大学は、エースナンバー3番を始め、LOやNo.8に体格の大きい選手を配置しています。
FW合計体重を見ても、LeagueOneのチームの遜色ないレベルであり、相当重たい事が感じられます。
特に、肉離れの怪我から戻ってきた3番ヴェア・タモエフォラウ選手の強さが光りましたね。
関西リーグの試合では、セットアップや組み合った後の姿勢が窮屈で、コンバートして苦労している様子が伺えました。
この試合では、その印象は全く受けませんでした。
この試合まで出さなかったのは、怪我の影響だけでは無いはずです。
個人的には、もう一度京都産業大学のScrum、相手を圧倒するScrumを仕込むためだと考えてます。
実際、この試合では京都産業大学がScrumで圧倒しています。
1st Scrumこそ間合いが合わずアーリーエンゲージの反則を取られましたが、良いScrumばかり見れました。
脳震盪の影響が心配ですが、国立の舞台でもヴェア・タモエフォラウ選手のScrumを見たいですね。
Best Scrum 26:19~(外張り)
気になるBest Scrumは26:19~(外張り)です。
早稲田大学陣22m上、京都産業大学ボールのScrumです。
1本目は、お互いの間合いが合わず組み直しとなりました。
天理大学も綺麗なセットアップでしたが、京都産業大学も良いセットアップですね。
近年見る機会が無くなってきたオーバーハンドの組み方であり、伝統芸能を見ている感覚になります。
また、京都産業大学の特徴として、外側に腕を張りながら、バインドの後に右足を内側に半歩畳みます。
そうする事で、相手1番との位置をずらし、より1番とHOの間を狙いやすくなります。
今回は、そのバインドを外側に張る場面で、相手に上手く体重が乗らなかったため、間合いが合わなくなってしまったと考えてます。
2本目は、ヒットした瞬間は互角でしたね。
早稲田大学もしっかりとセットプレーに時間を掛けてきた事が分かります。
ただ、バック5の膝の伸び具合を見ると、しっかりと伸びきっている京都産業大学に対して、セットした位置から殆ど動けなかった早稲田大学です。
組み合った後、重さで勝る京都産業大学が前に出ました。
Scrumの優劣は体重だけで決まるものではありませんが、体重があると有利です。
組み合った後、少し膝の溜めを作ってから京都産業大学が一気に圧力を掛けましたね。
3番が前に出てるので、3番主導になるのですが、そこに対して1・2番が寄りながら前に出る事が出来ています。
特に、1番曽根選手が頑張りましたね。
相手3番にHOとの間を割られないようにしながら、右足右肩から前に出る事が出来ていたため、Scrumが回転する事なく、京都産業大学が前に出る事が出来ました。
1番側は左側に相手が居ないため、お尻を外側に割って左足から前に出る事で、相手のプレッシャーを受けにくくなります。
この押し方だと、HOとの間が開いてしまい、自チーム3番側が前に出ていたとしても、相手3番に間を割られてScrumが崩れてしまいます。
もし、曽根選手がこの押し方を選択していたら、Best Scrumに選ばれる事は無かったです。
明治大学に対して、強みのセットプレーでどこまで圧倒出来るか楽しみです。
Best Scrum 39:18~(イン組)
気になるBest Scrum 39:18~(イン組)です。
京都産業大学陣10m上、京都産業大学ボールのScrumです。
Best Scrumと言いながら2つ選んでしまうあたり、非常に申し訳ないと思います。
1個目のBest Scrumが外張りの組み方に対して、2個目はイン組のBest Scrumです。
セットした段階で京都産業大学3番が、早稲田大学1番の頭と同じ高さに右肩をセットしています。
Scrumの構造として1番側は下、3番側は上になるように組み合うのですが、同じ高さにセットされてしまうと1番としてはとても組み辛いですね。
映像を見ると分かるのですが、バインドでも外側に張られており、HOとの間に頭を置かれています。
先程も解説した通り、1番が外側に割れてしまうとScrum全体としては非常に不利です。
セットした段階で外側に弾かれているため、どうしようも無いのですがもう少し寄りたかったところです。
逆に、京都産業大学としては非常に良いScrumを形成出来ましたね。
外→内の非常に王道の組み方だと言えます。
ヒットも京都産業大学が優勢、組み合った後に早稲田大学3番側に圧力を掛けながら前に出る事で、イリーガルホイールの反則を獲得しました。
関西リーグの出身者としては、京都産業大学のこのScrumの光景を何度観たことかと思わされるぐらい観ています。
これぞ京都産業大学、伝統のScrumだと言えます。
外と内、両方に振れるからこそ相手の出方によって組み方や押す方向を変える事が出来ます。
明治大学もFWに強みがありますが、その部分で圧倒して勝ちたいところです。
終わりに
本日は、第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準々決勝 京都産業大学vs早稲田大学の試合を解説しました。
大学選手権も準決勝の対戦カードが決まり、花園も開幕されたました。
年末ですね。
今年もScrum Love Clubを読んで頂きありがとうございました。
また来年以降も自分のペースになりますが、Scrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
引き続きラグビー観戦を楽しんでいきましょう。
読者の皆様、SNSのフォロワーの皆様、今年も1年大変お世話になりました。
良いお年を。
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