コベルコ神戸スティーラーズ vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

BL東京
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試合結果

コベルコ神戸スティーラーズ 28-33 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

神戸S 339kg / 909kg

S東京ベイ 356kg / 906kg

1st Scrum 02:46〜

神戸S陣10-22m、神戸Sボールのスクラムです。

レフリーのコールより先にS東京ベイが仕掛けたため、アーリーエンゲージの反則を取られました。

セットアップから見ていきます。

神戸Sは、HOがセットした位置に両PRが合わせる形でした。

3番がHOより半歩前、1番はHOと同じ位置にセットしています。

ただ、1番側は右肩が隠れているため、半歩下がっています。

スロットはS東京ベイと半身被る位置、間合いはスタンダードでした。

バック5はほぼ真っ直ぐ、両フランカー少し角度をつけているように見えました。

クラウチの段階から身体を詰めて、膝を浮かせているため、バック5の重さをバインドの段階から100%伝えたい意図が考えられます。

対してS東京ベイは、HOが直立した状態でセット、そこに両PRが合わせる形でした。

Springboksの時も、Malcolm Marx選手が直立でセットしている所に両PRが合わせているため、それと同じ形でした。

Springboksでは、Ox Nché選手との身長差がありましたが、今回は1番加藤選手・3番オペティ・ヘル選手も高身長なので、高さを合わせやすそうです。

直立のため低さではなく、胸を張る事や立ち位置を揃える事を意識しているように見えました。

バック5は真っ直ぐ、重さを活かしたスクラムです。

末永選手(今回の試合で100CAP達成)のスパイクをグラウンドに刺すセットアップも健在でした。

ヒットでS東京ベイが優勢になるも、HOが先に仕掛けていると判断され、アーリーエンゲージの反則を取られました。

面白いと感じたのは、3番具選手のバインドのやり方です。

HOのお尻付近を持ちつつ、逆手でバインドしていました。

同じようにHOのお尻付近を持つ選手はいますが、多くの選手は順手で持ちます。

順手で持つ場合、自分の身体を真っ直ぐにしながら、HOとのバインドを意識する事が出来ます。

バインドする際、左肩がHOの脇から出ていないと、身体が内側に傾く事になります。

テストマッチでJapanが同様のセットアップをしており、内側に流される場面が多数見られました。

対して逆手の場合は、腕を捻る際に左肩が自分の体に対して閉じるため、相手HOの頭を押さえられます。

具体的には、相手1番とHOに挟み込まれた時に、相手HOの頭を押さえる事が出来るため、相手1番と1vs1の状況を作れます。

また左肩が前に出るため、順手の時と比べて身体が内側に傾きにくいです。

逆手にする分、HOをバインドし辛くなりますが、身体が真っ直ぐになりその他の選手の影響を受けにくいです。

3番は前後左右に人がいるため、理論上は良い姿勢を取って、味方の押しを貰うだけで前に出る事が出来ます。

また、セットアップの段階で半歩前にセットしており、より相手1番・HOに圧力を掛けやすくなります。

今回の場合、S東京ベイがヒットで優勢だったものの、1番加藤選手だけ殆ど距離が無い状態で組んでおり、面で出る事が出来ていません。

3番が前に立っていると、意図的に相手1番が不利になる状況を作れるため、効果的だと考えています。

オーバーハンドとはまた違う形ですが、3番を軸としたスクラムですね。

順手・逆手いずれにせよ、相手1番とHOの間を割りながらスクラムを押す事なので、その目的に対しては逆手の方が有効的です。

孤立するリスクはありますが、それに見合うリターンが望めるセットアップでした。

Best Scrum 76:47〜

ハーフライン付近S東京ベイ陣、S東京ベイボールのスクラムです。

組み合った後、S東京ベイが内側に流しながら前に出ました。

スクラムが回転している事から、神戸Sがイリーガルホイールを取られたと推測されます。

お互いメンバーが変わった状況、セットアップも異なるので見ていきます。

神戸Sは、3番が半歩前に出る所は変わらず、バインドが逆手から順手に変わっていました。

具選手と渡邉選手はタイプが違うため、セットアップも異なるのは頷けます。

身体の向きは、HOを中心に矢印のような形でした。

対してS東京ベイは、前半と比べて3番がより前に立っていました。

身長差があるとはいえ、3番側を強調したセットアップでした。

また、組み合った後に圧力を掛ける方向も変えており、神戸Sとしてはやり辛さがあったと考えています。

今回は、S東京ベイが内側に流すスクラムが上手くいった点を確認していきます。

気になった点は、バインド時点と組み合った直後です。

バインドの段階で、S東京ベイ3番為房選手が1時の方向へ張った上に、バインドした手を返していました。

腕を返す(小指が上、親指が下になるようにする)事で、より相手1番の左足に対して圧力を掛ける事が出来ます。

セットアップの段階で、神戸S1番前田選手の右肩が隠れており、HOアッシュ・ディクソン選手と段差が出来ています。

その状態で、外側に弾かれる圧力を受けたため、左足に力が掛かりやすいです。

組み合った直後も見ていきます。

組み合った直後、映像がフロントローからスクラム全体に変わるのですが、そのタイミングで神戸S 1番前田選手の左足が1歩外側へ流れます。

身体が半分ズレたタイミングで、S東京ベイが内側に流しながら前に出たため、神戸Sが着いて行けずにスクラムを回してしまったのが今回のスクラムでした。

内側に流れてくる3番に対しては、真っ直ぐ組んで逃がさないようにするか、内側に入る勢いを使ってアングル気味に差し込むかが効果的だと考えています。

どちらにしても、立ち位置はHOと同じか半歩前が理想的です。

特にアングルの場合は、HOより後ろだと相手に逃げられる可能性が高くなります。

HOが左肩を使って相手3番を止めてくれるなら良いですが、それが出来る選手は少ないです。

今回は、S東京ベイ3番が半歩前に出た状態で、11時の方向へ圧力を掛けた結果、上手く前に出る事が出来ました。

真っ直ぐの圧力には抵抗しやすいですが、斜めから来る圧力は難しい事は、感覚的に分かるのでは無いでしょうか。

スクラムは基本的に真っ直ぐの攻防ですが、内部では細かい圧力のやり合いがあります。

ちなみに、セットアップの段階でスロットはスタンダード、普通に組み合える状態でした。

セットアップの段階からズラすチームもありますが、今回はそうではありません。

また、S東京ベイが先に頭を抜いている点は気になりますが、優劣が着いた後なので反則を取られなかったと考えています。

『スクラムをシンプルに分かりやすく』

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