試合結果
Japan 24-19 Wales
Japan 321kg / 901kg
Wales 350kg / 898kg

1st Scrum 0:30〜
Japan陣22m内、Japanボールのスクラムです。
関西が誇るスクラムキング、紙森選手の1st Scrumです。
組み合った後、Japanが前に仕掛けるものの、画面手前側にスライドする形でスクラムが動くのみでした。
セットアップから見ていきます。
細かい動きは分かりませんが、Japanは3番 竹内選手が半歩前にセットしている印象を受けました。
身長差があるため、お尻の位置を合わせるために、立ち位置を前にしているのかもしれません。
また、3番が少し内側に傾いているように感じます。
セットアップの段階で、HO 原田選手が半歩左側へズラしています。
左上の時間で言えば、0:53-0:54です。
ここから、3番とHOでWales HOを挟み込みたい事が推測されます。
ロックが頭を入れる際は、両PRが足を広げていました。
ただ、1番側がコンパクトだったのに対して、3番側は外から挟み込む形になっています。
その影響で、HOから見て右側から圧力を受けて足が動いています。
ここら辺凄く難しくて、フロントローとロックの組み合わせが変わると、やり方も異なります。
合宿中にコミュニケーションを取っているはずですが、テストマッチの緊張感と暑さが相まって、少しズレたのかなと考えてます。
バック5はほぼ真っ直ぐ、フランカーが少し角度を付けているように見えます。
組んだ段階で強い姿勢を取れるように、間合いも詰めていました。
対してWalesは、HOがバインドしてから両PRが肩を出さないセットアップでした。
出さないと言うと語弊がありますが、セットした位置から開いてません。
HO デヴィ・レイク選手が肘の位置を気にしており、Japanの密着度の高いスクラムに対して対応しようとしていました。
ロックは2人とも片膝を上げてセット、No.8はそれを支えるために、両腕で引っ張ります。
バック5の重さで劣るため、バインド時に圧力を掛けられても姿勢を保てるよう、気をつけてます。
1番 ニッキー・スミス選手が外側にズレた事が少し気になりました。
3番の腕の位置がHOのお尻にあり、Japanの1番とHOの間にアプローチしたい事が伺えます。
そして、全体的に左側へ傾いていたため、内側に圧力を掛けて、Japan 3番側に圧力を集めて、押し切りたいと推測しました。
バインド時にWalesが伸び切った影響で、物凄く間合いが詰まっています。
Japanも間合いが狭い方がやり易いはずですが、今回は狭くなり過ぎた印象です。
ヒットは、Walesが矢のように真っ直ぐ突き刺さり、優勢でした。
Japanはヒットのタイミングが合わず、殆どその場から動いていません。
組み合った後、
・Japan 1番がアングル気味に差し込む
・Japan 3番が右側に1歩踏み出す
・Wales 1番が左側へ1歩踏み出す
これらが重なり、スクラムが水平方向へ移動する事になりました。
Japanとしては、Wales 3番を抑えながら前に出れたら、押し切れそうな場面でした。
そのコントロールが難しいんですけどね。
Pickup Scrum(Wales) 10:38〜
Japan陣ゴール前5m、Walesボールのスクラムです。
赤い波が押し寄せるように、WalesのFWが押してきました。
Japanも耐えてましたが、先に頭が浮いてしまった事に加えて、真ん中よりWalesが前に進んでいた事が重なり、反則を取られました。
1st Scrumとセットアップはほぼ同じでした。
違ったのは、Wales 3番のバインドする腕がより真っ直ぐになっていた点とJapan 3番がセットアップで内側に傾いていた事です。
Wales 1番とHOの密着感も素晴らしく、3番は上手くJapan HOに対してアプローチしています。
後ろからの映像だと、自分達の身体の向きや圧力の方向がよく分かります。
普段横からの映像しか撮っていない場合は、後ろからの映像を撮る事をお勧めします。
視点が変わると、スクラムの見え方も変わります。
Pickup Scrum (Japan) 68:01〜
Wales陣10m付近、Japanボールのスクラムです。
組み合った後、Japanが1番主導でスクラムを回転させて、イリーガルホイールの反則を誘いました。
スロットが1歩以上ズレていた事が功を奏して、1番 紙森選手が前に出易い状況が出来ています。
ヒットもJapanが優勢です。
このスクラムを取り上げた理由は、アングル気味の1番がイリーガルホイールを誘える良いお手本だからです。
通常、3番が内側に入り込むイン組の間に対して、1番がアングル気味に組むと取り残される可能性が高いです。
左肩が先行する事で、足が外側に流れるため、相手の内側に入り込む勢いについていけない事が要因です。
今回の紙森選手は、アングル気味に入りつつもHO 原田選手から離れずに組んでいます。
前に出る際に左足を内側に踏み出しているため、前に出るたびにWales 3番の身体がスクラムの内部に押し込まれます。
そのため、紙森選手の前から相手選手が居なくなり、足をグラウンドに対して垂直方向に踏み出すだけで、イリーガルホイールを誘う事が出来ます。
南アフリカが同じような組み方をしており、このスクラムで反則を貰えるなら凄く助かります。
Best Scrum 74:46〜
Japan陣10m-22m、Japanボールのスクラムです。
組み合った後、Japanが圧力を掛け続けて、圧力に屈したWalesが顔を上げたため、ヘッドアップの反則を取られました。
メンバーが変わっている影響もあり、1st Scrumと比べて間合いが遠かったです。
Walesがバインド時に間合いを詰めてきますが、Japanのフロントローか肩で押さえています。
そうする事で、必要以上に間合いが詰まらず、Japanの組みたい間合いで組む事が出来ます。
ヒットはJapanが優勢でした。
バック5の伸びは同じですが、フロントローの姿勢に差がありました。
両チーム綺麗な姿勢を保つのですが、余力のあるJapanに対して、Walesは凄く窮屈に見えました。
お尻よりも膝が前にあり、足首も90°で地面を噛めていない印象です。
そのため、前後から圧力を受けた際、沈み込む事が出来ないため、足を下げる結果となります。
その際もずっとJapanは圧力を掛け続けているため、ジリジリとWalesの姿勢が崩れて、最後は頭を上げる事となりました。
日々の練習って今回のBest Scrumみたいなスクラムを組むために、頑張ってるんだなと感じました。
もし、このスクラムで反則を取られて逆転されれば、それまでのスクラムが良くても試合には負けます。
スクラムで試合に勝つ事を体現してくれた
そして、フロントロー80分間お疲れ様でした。
1st Scrumから圧力を掛け続けて、20:42〜も反則を貰えなかったものの、Wales相手に押し切っています。
そして、この時間帯でもWales相手に押し切れた事は、今後の糧になります。
日本代表のファンとして、凄くワクワクしました。
勿論、今回ホーム開催であり、天候も蒸し暑いため日本有利だったのは否めません。
それでも、Wales相手にスクラムを押した事/勝ち切れた事は誇って良いのかなと思います。
W杯まで残り2年です。
今回のように、日本中を沸かせるスクラムを楽しみにしています。
まずは来週の再戦、しっかり勝ち切って弾みをつけて欲しいです。
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