コベルコ神戸スティーラーズBest4進出おめでとうございます。
ムラがあるものの、最大火力の時は凄く良い Scrumを組めるので、次戦のBL東京も期待しています。
次戦以降、関東での戦いが続きます。
チーム関西として、王者BL東京を圧倒して欲しいです。
対して静岡BRは、得意のScrumで流れを掴めず、最終的には自分達のScrumが組めなかった印象です。
セットアップ・間合いの塩梅・圧力の掛け方、どれを取っても一級品です。
本音を言えば、今シーズンの静岡BRをもっと研究したかったです。
そのため、今回は静岡BRの集大成としてReviewを書かせて頂きました。
見当違いの意見もあるかと思いますが、お付き合い頂けると幸いです。
試合結果
静岡ブルーレヴズ 20-35 コベルコ神戸スティーラーズ
静岡BR 342kg / 904kg
神戸S 330kg / 901kg
1st Scrum 0:45〜
静岡BR陣10m-22m、神戸SボールのScrumです。
2本組み直し、3本目は組み合った後 Scrumが回転しましたが、反則なくボールアウトとなりました。
静岡BRのセットアップは、先週と少し変わって両フランカーが角度を付けてセットしています。
先週とメンバーが変わっており、圧力の掛かる方向の違いからセットアップを少し変えているのかなと考えてます。
1番河田選手は、少しアングル気味に組むため、外側に孤立しないように寄せる。
3番ショーン選手は、内側に入る傾向が強いので、内側に入った時に前に出やすいようセットアップからHO側に寄せる。
今までのセットアップから組み方で推測すると、こんな感じです。
対して、神戸Sはセットアップ自体を変更してきました。
先週は静岡BRの間合いで組まれた場面が多かったため、通常よりも1歩後ろにセットしています。
1番高尾選手は、HO北出選手の脇に右肩を隠してセットしています。
先ほどもお伝えした通り、静岡BR 3番ショーン選手が内側に入る傾向が強いので、敢えて肩を隠す事でHO北出選手の左肩が障壁となるようにしています。
個々の位置に、肩があるかどうかで凄くやり辛さが変わります。
3番山下選手は、少し右側・HO北出選手と比較して半歩前に立っている印象を受けました。
静岡BR 1番に対して被るような位置に身体を置く事で、組み合った際に斜め上から圧力を掛けやすくなります。
1番の頭を上から見た時に、12時から3時のエリアに山下選手の頭が降りてくるイメージです。
そうする事で、セットアップの段階から外側に弾きつつ、斜め下に圧力を掛けられます。
僕自身、この位置にセットされた時凄くやり辛かった事を思い出しました。
そこに加えて、静岡BR 1番が自分に意識が向くように仕向けています。
静岡BRの Scrumは8人のまとまり、密着感と仕込まれた圧力の掛け方が肝だと考えてます。
逆に、個々で組まされると体格差でミスマッチがあり、組みたい Scrumが組めなくなります。
ここら辺の上手さは、経験値が無いと難しい世界ですね。
1本目は、お互いの3番が少し前に出てから崩れて組み直しです。
2本目は、静岡BR 1番及び神戸S 3番が Scrumの内側に入り込む形で崩れたため、古瀬レフリーが移動しました。
映像からわかる通り、画面手前側(静岡BR 3番及び神戸S 1番)は安定して組んでいるのに対して、画面奥側(静岡BR 1番・神戸S 3番)のバランスが取れていないため、移動したと考えられます。
3本目は、神戸S 山下選手が静岡BR 1番河田選手と被る位置にセットしたものの、敢えて頭を当てずセットしています。
2回の組み直し後、レフリーが自身側へ移動してきた事もあり、小競り合いをして、反則を取られたく無い事が伺えます。
それでも、静岡BR 1番の頭に沿うような形でセットしており、外側に弾く事が出来ています。
首だけでなく、身体を左側へ傾けて外側に圧力を掛けており、非常にやり辛いです。
組み合った後、神戸Sが前に出るもステップアウト気味だと判断されて、反則無しボールアウトとなりました。
2nd Scrum 5:21〜
神戸S陣22m内、静岡BRボールの Scrumです。
1本目は、静岡BRが少し前に出ましたが、ボールインの前に崩れたため組み直しです。
2本目も同様に崩れましたが、静岡BRがコラプシングの反則を取られました。
アシスタントレフリーからもよく見える位置、奥側の映像が無いので推測になりますが、静岡BR 1番の左半身が内側に入り込む形で崩れたため、コラプシングを取られたのかなと考えます。
これは、1番によくある反則ですね。
ヒットで優勢でも、左側が先行する事で、 Scrumに吸い込まれて崩れます。
ただ、今回は神戸S 3番が少し高めの位置から組んでおり、その影響で崩れた判定でもおかしくありません。
今回は、落ち方が悪かったですね。
3rd Scrum 7:36〜
ハーフライン付近神戸S陣側、静岡BRボールの Scrumです。
組み合った後、神戸S 3番側主導で前に出て圧力を掛けました。
その影響で、SHの球出しに遅れが出ました。
1st Scrumと比べると、1歩分間合いが近い印象です。
先週は、少し遠い間合いからバインド時にスーッと伸びる形で圧力を掛けた静岡BRでしたが、今回はその部分を神戸Sに対策されています。
鎖骨付近に頭を置く事で、腕が伸ばしにくくなり、無理やり前に出ようとすると、身体が浮き上がります。
今回は、神戸S 3番が静岡BR 1番とHOのバインドしている位置に頭を置いており、バインドの際に分裂しやすい状況です。
組み合った後、お尻が割れてしまいさらに密着度が弱くなり、プレッシャーを掛けられました。
やっている事はシンプルですが、シンプルだからこそ対策が難しくなります。
間合いを遠くすると、余計に静岡BRが組みたい Scrumが組めなくなるため、この間合いのまま対応策を考える必要があります。
4th Scrum 11:37〜
静岡BR陣10m付近、神戸SボールのScrumです。
久しぶりに安定して組み合えたScrumでした。
静岡BRがヒットで前に出るも、やはり3番側が内側を向く傾向が強く、右足も外側にあります。
ここ凄く狙い目で、身体が傾く分だけ重さから来る圧力が軽減されます。
146kgの重さに耐え切った後、チャンスが来るのでそこまで耐え切れるかが勝負所ですね。
5th Scrum 12:24〜
静岡BR 10m上、静岡BRボールの Scrumです。
4thと特に変わらず、安定して組めていました。
神戸S 3番側も内側に入り込む傾向が見られたらため、お互いの3番の圧力が掛かり、Scrumが回転しました。
静岡BRのオープンサイドが1番側だったので、その後のATに影響しています。
6th Scrum 14:02〜
ハーフライン付近、静岡BRボールのScrumです。
1本目は神戸Sが前に出るも、ホイールの判定となり、組み直しとなりました。
外側へ膨れるような形でScrumを押しており、正当なコンテストと判断されなかったのかなと考えます。
神戸S 山下選手が、1st Scrum 3本目のように、イヤートゥーイヤーでありながら、外側に弾くように頭を置いています。
身体の分厚さもありますし、重さもあるので足を削られますね。
1番 高尾選手は割れない事・下がらない事を徹底していた印象です。
対して静岡BRは、このScrumも3番ショーン選手が内側に入り込んでおり、圧力が軽減されています。
これが真っ直ぐなれば、どんな相手でも後ろに下げられるのかなと考えます。
お互いのフロントローが、真っ直ぐ向いていない状況のため、Scrumが回転して組み直しとなりました。
2本目は、ヒットで神戸Sが前に圧力を掛けてから崩れたため、静岡BRがコラプシングの反則を取られました。
1番側は少し怪しかったですが、静岡BR 3番も内側に入り込む形で崩れています。
また、肘の向きから双方共に崩す要因があったため、ヒットで優勢だった神戸S側に反則を与えています。
正当に組み合った上で、Scrumの優劣がついており、少しずつ神戸Sが優勢だった事が分かります。
結果論ですが、この場面で反則を貰えていれば追加得点のチャンスでした。
7th Scrum 19:44〜
神戸S陣10m上、静岡BRボールのScrumです。
このScrum、静岡BRに取っては凄くフラストレーションが溜まっただろうなと感じました。
ヒット後、静岡BRが前に出るのですが、ステップインして前に出ているため、真っ直ぐ押せていないと判断されています。
それまでのScrumと比べると、ヒットは互角組み合った後も前に出られる余力があったため、少し勿体無かったですね。
こればかりは、レフリーの見解と合わせる必要があるので仕方ありません。
8th Scrum 20:45〜
神戸S陣10m付近、静岡BRボールのScrumです。
早い仕掛けにより、神戸Sがアーリーエンゲージの反則を取られました。
1st Scrumから常に前へ圧力を掛けており、前半の中盤で疲れてきた時間帯だったので、ぬるっと出てしまったのかなと考えます。
良い流れが来ていたので、ここは耐えたかったです。
9th Scrum 21:25〜
神戸S陣10-22m、静岡BRボールのScrumです。
ヒット後、静岡BRが前に出るも、こちらもステップアウトの判定となり、反則を貰えません。
オープンサイドが3番側だったため、その後のATは優位に進められますが、点差と時間帯を考えると、コラプシングが欲しかったなという場面でした。
ここら辺は、レフリーによって曖昧だと思います。
多少ステップアウトをしていても、Scrumを優位に進めている静岡BRの反則を取る。
もしくは、神戸S 3番が前に出ながら崩れているため神戸Sの反則を取る。
判断は様々ですが、古瀬レフリーの判断軸は一貫していた印象です。
だからこそ、静岡BR側としては、自分達の感覚とレフリングが合わず、フラストレーションが溜まっていたのかなと感じました。
そして、神戸S側の方が、レフリーとコミュニケーションを上手く取れていた印象です。
10th Scrum 23:03〜
神戸S陣10m-22m、神戸SボールのScrumです。
2nd Scrumと同様の形だったので、省略させて頂きます。
静岡BR 1番及び神戸S 3番が内側に入り込む形で崩れて、静岡BR側がコラプシングを取られました。
Scrumの構造上、3番が上に来るので崩れた際は1番側が反則を取られやすいです。
これは、今後ルール変更があっても大きく変わらない傾向です。
11th Scrum 31:51〜
静岡BR陣10m-22m、静岡BRボールのScrumです。
組み合った後、Scrumが崩れて神戸S 1番がコラプシングの反則を取られました。
ヒットで静岡BRが優勢、その状況が変わらないままScrumが崩れている。
それまでのScrumと比較して、静岡BR 3番が真っ直ぐ組めていた事が影響して、神戸S側がコラプシングの反則を取られたのかなと考えます。
ようやく風向きが変わりました。
12th Scrum 39:10〜
静岡BR陣10m-22m、神戸SボールのScrumです。
だいぶ疲れも見えてきたScrumでした。
組み合った後、Scrumが回転してボールアウトとなりました。
崩れてませんが、9thと同様の形で回転したのかなと考えます。
ステップアウトする方が楽ですしね。
これが前半最後のScrumでした。
後編に続きます。
Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。
読者の皆さんがScrumを理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
引き続きScrum Love Club及び管理人を宜しくお願い致します。
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