本日のテーマ
本日は、南半球4カ国対抗戦ザ・ラグビーチャンピオンシップ2024 Springboks vs Wallabiesの試合を解説していきます。
セットプレーで終始圧倒したSpringboksが快勝しました。
見ていて気持ち良いぐらい前に出られる Scrumで、研究しがいがあります。
Wallabiesは、少し攻め手に欠ける印象でした。
次回の再戦までに立て直しして欲しいですね。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
Springboks 33-7 Wallabies
Springboks 345kg / 897kg
Wallabies 363kg / 937kg
1st Scrum 1:33~
気になる1st Scrumは1:33~です。
Wallabies陣10m上、SpringboksボールのScrumです。
組み合った後、SpringboksがScrumを押し切りイリーガルホイールの反則を獲得しました。
セットアップは、Springboksはオーソドックスな8人真っ直ぐでした。
対するWallabiesは、1番側のフランカーが角度をつけてセットしています。
また、SpringboksのNo.8 Elrigh Louw選手が立ってロックを支えていたのに対して、Wallabiesはバック5全員が膝をついていました。
Springboksが Scrumを押しているため一見良いセットアップに見えます。
個人的には動き幅が大きくなってしまい、肩の位置がズレて押しにくいのかなと考えます。
ここら辺は選手と相談しながら決めていきたい部分です。
上からの映像を見ていると、Springboksのフロントローが真っ直ぐ前を向いているのに対して、Wallabiesのフロントローは1番とHOが1時の方向を向いています。
Springboksは、1番・3番どちら主導でも前に出られる力があり、それをコントロール出来るHOが揃っています。
だからこそ、敢えて角度を付ける事なく、バック5のセットアップからフロントローの頭の角度まで一貫して真っ直ぐにしています。
対してWallabiesは、3番側に圧力を集めて押し切りたいため、1番とHOだけ角度をつけて身体を寄せに掛かります。
どちらも理論上正しいセットアップです。
ただ、セットアップにも相性があり、Springboksのような真っ直ぐのセットアップに対して、スロットをズラさずに角度をつけたセットアップで対抗するのは難儀です。
そのため、今回で言えばセットする段階で、Wallabiesが半歩右側にセットすればまともに組み合えました。
バインドの段階でも、Springboksの重たい圧力を受けて、Wallabies1番Isaac Aedo Kailea選手の左足が外側に流れています。
その上、下げたい位置に足を下げれてないため、上半身が浮いて身体が窮屈です。
これでは、まともにヒット出来る余力はありません。
また、相手が窮屈になっている事を考慮して、Springboks3番Frans Malherbe選手は敢えてバインドの際に右足を右斜前に1歩踏み出しています。
相手に更に圧力を掛けながら外側に弾く事で、HOとの隙間を作り出そうとしています。
ヒットはほぼ互角でしたが、セットアップの段階で窮屈だったWallabiesが劣勢です。
そのまま、左右に振りながらSpringboksが押し切りペナルティを獲得しました。
Springboksの凄さは、膝を伸ばし切っても自分の身体をコントロール出来る体幹の強さと前に出た際に浮き上がらないフロントローの強さにあります。
Scrum全体が動いた際にフランカーの肩もズレてないので、100%押しを伝える事が出来ます。
LeagueOneでも押し切る力があるチームはありますが、フロントローが浮き上がってしまう事が多いです。
最後まで押し切る力は見習うべき点ですね。
特に、重さで勝るチームがこのScrumを組めると、相手は普通に押されるよりも体力を削られます。
1対1でシーソーをしたり、お尻押しをすれば身に付けられます。
主流のタイヤ押しに加えてこういう練習も取り入れたいですね。
Best Scrum 33:57~
気になるBest Scrumは33:57~です。
Wallabies陣ゴール前5m、SpringboksボールのScrumです。
組み合った後、Springboksが押し切りイリーガルホイールの反則を獲得しました。
フロントローの密着度、HOの舵取り、No.8のボールコントロールどこを見ても綺麗な Scrumでした。
バインドの段階から1時の方向に圧力を掛けており、Wallabies全体が左斜め後ろに下がっている事が分かります。
ヒットもSpringboksが優勢でした。
フロントローがヒットする前に膝を低くして溜めを作れた点、及びバック5が膝の伸展を使って伸び切れた点が良いヒットに繋がりました。
特に、HO Malcolm Marx選手が先行して前に出られており、Wallabiesの Scrumを内部から崩せる状況が出来ています。
上から下に圧力を掛けながら前に出ているため、Wallabiesは相当苦しいですね。
左右両方出られる状況であり、後ろの押しを貰いながらゆっくりSpringboksが前に出て反則を獲得しました。
気になったので、上からの映像を確認してみました。
組み合ってから2秒程は、3番Frans Malherbe選手主導で1時の方向に Scrumを動かしています。
その後、1番Ox Nche選手がセンターラインを超えた段階で1番主導に切り替えるため、圧力を掛ける方向を揃えています。
Wallabiesとしては、ここまで圧倒的にやられるとどうしようも出来ないですね。
単純な強さだけでなく、Scrumでペナライズする方法まで考えて実践に移せる賢さが無いと出来ないです。
強い1番がいる場合、 Scrumを真っ直ぐ押しながら相手3番が内側を向いた瞬間に方向を切り替えるだけでイリーガルホイールを貰えたりします。
Springboksは、強い1番が居る時にどうすればペナライズ出来るか参考になる映像を提供してくれます。
研究した事を現場に落とせるように理論立てて考えていきたいですね。
終わりに
本日は、南半球4カ国対抗戦ザ・ラグビーチャンピオンシップ2024 Springboks vs Wallabiesの試合を解説しました。
8月は菅平合宿の試合とSAKURA15、パシフィックネーションズカップの更新を予定しています。
Scrum Love Clubでは引き続き、JAPANの 超速ラグビーの要となるScrum研究に邁進していきます。
管理人としては、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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