本日のテーマ
本日は、NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24 D1 第16節 静岡ブルーレヴズ vs 東芝ブレイブルーパス東京の試合を解説していきます。
今期引退を表明している矢富選手のホームゲーム最終戦でした。
ヤマハ時代からチームを牽引してきた選手が引退するのは感慨深いですね。
静岡BRとしては今シーズン最終節、ホームゲームだったので勝ち切りたい試合でした。
試合展開はB/Dで圧倒したBL東京が終始優勢でしたね。
POトーナメントに向けて良い準備が出来たのかなと考えます。
対する静岡BRは強みのセットピースで優位に立てず、突破口が見つからない試合運びでした。
Scrumで常に反則を取れたら良かったのですが、押される場面が多かった印象です。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
静岡ブルーレヴズ 20 vs 59 東芝ブレイブルーパス東京
静岡ブルーレヴズ 315kg / 849kg
東芝ブレイブルーパス東京 315kg / 866kg
1st Scrum 11:09~
気になる1st Scrumは11:09~です。
ハーフライン付近(BL東京陣)、静岡BRボールの Scrumです。
静岡BRは一貫して扇の形のセットアップでした。
1番山下選手、HO日野選手、3番伊藤選手という現時点で組める1番強いフロントローかなと考えます。
対するBL東京は、海外チームのようにロックが片足を上げた状態でセットしています。
静岡BRのまとまりある Scrumに対して、ヒット時のバック5の重さで勝負を仕掛けたかったのかなと考えます。
1本目はバインドの段階で静岡BRがセンターラインよりも前に仕掛けたため、組み直しとなりました。
特に1番山下選手側が大きく前に動いています。
レフリーの話を聞くと、BL東京3番小鍛冶選手が後ろに下がっていると言われているため、その影響が考えられます。
静岡BRの Scrumは1番とHOで相手3番を挟み込み、3番は相手1番とHOの間を割りに行きます。
そのため、BL東京としては小鍛冶選手が気持ちいい間合いで組み合えるかどうかが Scrumの優劣を左右します。
ルール上、勝手に Scrumを止めると反則を取られるのですが、気持ち的には仕方ない場面だったかなと考えます。
2本目はバインドからヒットまでBL東京が優位に立ちました。
画面手前側、BL東京1番木村選手のバインドするタイミングや力の掛け方が上手でしたね。
静岡BR 3番伊藤選手はバインド時にそこまで圧力を掛けてこないため、敢えて自分から仕掛けたのかなと思います。
そのため、移動選手が足を下げたタイミングで圧力を掛けられており、上手く段差を作れています。
圧力を掛ける際に左肘を全開に伸ばし切っているため、本来であれば自立出来ないのですが、木村選手の場合は上手く身体をコントロールしています。
もしかしたら、ロック片膝をついてセットしているため、後ろに引いて支えているのかもしれません。
それにしても低く綺麗な姿勢を保ってセットしています。
ヒットしてから外側に流れてしまったため左肩主導になりがちな状況、右肩を使いながらHOに寄ることで修正しています。
フィールドプレーも充実しており、HO原田選手と共に代表入りを期待している選手です。
また、バック5の膝の伸びもBL東京が優勢でしたね。
No.8リーチ選手を主導に、全員が同じタイミングで地面を蹴ってヒット出来ています。
そうする事で、フロントローに圧力が掛かるタイミングが揃うため、面で押す事が出来ます。
フロントローの立ち位置を揃えた上で、バック5から面で圧力を与えてあげると、より有利に Scrumを進められます。
対する静岡BRはフロントローの面は揃っていたものの、バック5が膝を伸ばすタイミングがズレていてため、ヒットした瞬間に段差が生まれています。
セットプレーが安定するとその後の攻撃もしやすくなります。
POに向けて手応えを掴んだBL東京でした。
Best Scrum 16:59~
気になるBest Scrumは16:59〜です。
ハーフライン付近(BL東京陣)、BL東京ボールの Scrumです。
組み合った後、BL東京が1番側を主導に時計回りに Scrumが回転したため、静岡BRがイリーガルホイールの反則を取られました。
セットアップはいつも通りと言いたかったのですが、静岡BRのセットアップが少し違う印象を受けました。
まず、1st Scrumと比べて間合いが遠く、まとまりで勝負したい静岡BRにとってやりにくい間合いだったかなと考えてます。
1番山下選手が通常より立ち位置が半歩前で、1時の方向を向きながらセットしています。
また、3番伊藤選手も12時の方向を向いてセットするところ11時半の方向を向いてセットしています。
1st Scrumでプレッシャーを受けたため、組み方を変えてきたのかなと考えてます。
今回、そのセットアップが裏目に出ました。
組み合う前段階で、BL東京が真っ直ぐ組み合ってきたのに対して、静岡BR側が→のように割れている状況です。
そのため、BL東京1番木村選手と3番小鍛冶選手からくる圧力が日野選手のところに集まっており、コントロールがしにくくなります。
その影響かヒットした瞬間に、右手のバインドが外れてました。
伊藤選手は外側から木村選手に圧力を受けているため内側に入りたいのですが、日野選手と距離が空いているため、上手く寄る事が出来ていません。
逆に、原田選手は3番小鍛冶選手を寄せながら空いた隙間に圧力を掛けています。
BL東京ボールのScrumのため、じわりじわりとプレッシャーを掛け続ける余裕があります。
小股で前に圧力を掛け続けた結果、反則を獲得しました。
今回の試合、反則を取られる場面もありましたが、セットプレーに定評のある静岡BRと互角以上に渡り合えたのは自信になったのかなと考えます。
まとめ
本日は、NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2023-24 D1 第16節 静岡ブルーレヴズ vs 東芝ブレイブルーパス東京の試合を解説しました。
今節でレギュラーシーズンが終了し、POと入替戦を残すのみとなりました。
更新できなかった試合の方が多いシーズンでしたが、少しでも皆さんのラグビー観戦が楽しくなれば幸いです。
LeagueOne閉幕後は大学ラグビーとテストマッチを中心に、ScrumReviewを更新します。
Scrumが分かれば、ラグビーはもっと楽しくなります。
読者の皆さんがScrumを理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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