試合結果
Japan 7-61 South Africa
Japan 339kg / 904kg
South Africa 363kg / 934kg
1st Scrum 07:01〜
Japan陣10m上、Japanボールのスクラムです。
組み合った後、South Africaが圧力を掛けてきますが、何とかボールアウト出来ました。
Japanのセットアップから見ていきます。
Australia戦と比較して、間合いは同じですが、スロットが左に半歩ズレている印象を受けました。
また、3番竹内選手がいつもより1歩後ろへ下がっている事が気になります。
江良選手(Australia戦)と佐藤選手では、身長差が5センチありますがそれを差し引いても、いつもより後ろにセットしていました。
その上で、1番Ox Nché選手を意識しているのか、身体が外側へ傾いています。
3番が1時の方向に傾く=右肩が相対的に下がるので、South Africaの組み方に対して相性がとても悪いです。
バック5は同じセットアップ、バインドしてすぐに全員が膝を浮かせています。
対してSouth Africaです。
いつも通り、1番Ox Nché選手はHOMalcolm Marx選手の脇に肩を隠してセットしています。
身長差があるので、お尻の位置を合わせると自然と隠れてしまうのかもしれません。
3番Zachary Porthen選手1st Capのため、初めてみました。
バインドの段階で、センターラインまで身体を伸ばして圧力を掛けています。
両チームがセットした中間がセンターラインです。
なので、センターラインまでは前に出ても反則を取られません。
South Africaは、LeagueOneに所属する選手も多いため、Japanのスクラムを警戒していたかもしれませんね。
ヒットは、全体的にSouth Africa優勢でした。
1番小林選手は、組み合った後に右腕を絞られて体勢を崩されています。
体制を崩している間に、South Africa 3番Zachary Porthen選手が左斜め前に足を移動させています。
外→内へ綺麗な形で組める良い映像です。
3番竹内選手は、右側は1番Ox Nché選手から/左側はHO Malcolm Marx選手の左肩の圧力を受けています。
しかも、下から突き上げるような形でヒットされており、上体を浮かされながら後ろに下げられています。
ボール投入前の段階で、頭から見て右肘が斜め上後ろにあるので、圧力が掛けられません。
投入後は、爆発的にSouth Africaが前に出て圧力を掛けてきました。
どのテストマッチでも感じた事がない、圧倒的な強さを体感したのかなと考えています。
映像からも、強さと上手さが見られたスクラムでした。
Best Scrum 16:25〜
Japan陣22m上、South Africaボールのスクラムです。
組み合った後、South Africaが真っ直ぐ前に出て圧力を掛けて、耐え切れなかったJapanがヘッドアップの反則を取られました。
『フロントローは姿勢を取るだけ』
この言葉を思い出したスクラムでした。
細かいセットアップは、1st Scrumの通りです。
1st Scrumと比べて、Japanが間合いを狭くしていました。
映像を見て頂くと、両HOの足が見えました。
ここから推測の話になります。
16:37でバインドをするのですが、この段階まではSouth Africaの足が真っ直ぐでした。
その後、バインドして足を下げた16:40では、1時の方向を向いています。
この事から、South Africa HO Malcolm Marx選手がセットアップとバインドの段階で圧力を掛ける方向を変えていると考えられます。
つまり、最初は真っ直ぐ、その後はJapan HOを外側へ弾いて間にアプローチをするために1時の方向へ圧力を掛けているという事です。
これが現実的に可能なプレーだとしたら、どう対処すれば良いのか想像が出来ません。
Malcolm Marx選手より下で組むのか(相当低いですけど)、スロットを右側にズラして下から突き上げるように組むのか(斜なめ上から圧力掛けられます)のかなと考えます。
どちらにせよ、対抗するのは凄く難しいです。
ここまでがバインドまでの話です。
ヒットは互角でした。
1st Scrumと比べて間合いを詰めており、ヒットの瞬間の圧力が軽減された影響です。
ここからSouth Africaの良さが現れます。
バック5の膝を見てみると、100°前後のJapanに対して、South Africaは180°膝を伸ばし切っています。
膝を伸ばし切る事で、相手から圧力を受けても、今組んでいる位置でフロントローを留める事が出来ます。
スクラムで耐えたい時によく見られる光景ですが、押す際も有効に働きます。
拮抗している状態から、No.8が膝を詰める事でロックが、ロックとフランカーが膝を詰めていく事でフロントローが前に動きます。
前に動く際、フロントローは自分で蹴りつつも無理やり前に出るのではなく、姿勢を保ったまま前に出ます。
これが、最初に書いた『フロントローは姿勢を取るだけ』です。
バック5の押しを漏らさず相手に伝える事で、相手が自然と後ろに下がる形です。
沈みながら前に出る事で、相手の姿勢をより窮屈に出来ます。
そして、崩して出来たスペースに圧力を掛けてまた前に出る。
これの繰り返しです。
これは、Line-outモールも同じですね。
バックリフターが直立したり、ズラすモールが流行っていますが、根本的なところはスクラムと同じです。
後ろの押しを感じながら、前の選手は姿勢を保って前に出る。
ただそれだけです。
だから、フロントローの選手が壁を使って姿勢をしたり、タイヤ押しをして前に身体を動かしても、姿勢を保てるようにしています。
今回は、圧力が上向きに動いたため、Japanがヘッドアップの反則を取られました。
理論上、お互いのフロントローが姿勢を取れていたら、真っ直ぐ下がります。
凄く綺麗なスクラムでした。
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