帝京大学 vs 筑波大学

大学ラグビー
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試合結果

帝京大学 14-18 筑波大学

帝京大学 311kg / 817kg

筑波大学 319kg / 810kg

1st Scrum 1:06〜

筑波大学陣10m付近、帝京大学ボールのスクラムです。

1本目は組み合った後崩れたため組み直し。

2本目はボール投入後に帝京大学がフッキングしなかったため、フットアップの反則を取られました。

圧力を受けた結果、フッキングする余裕が無くなったと考えています。

セットアップから見ていきましょう。

帝京大学は、HOを中心に、FW全体が扇の形になるようにセットしています。

フロントローの肩を密着させる事で、出口を狭くして、筑波大学フロントローが頭を入れる隙間を小さくしています。

出口を狭くする分、入口のお尻側は開きやすくなります。

開いている分を、両フランカーが外側から覆う事で、全体的な密着感を生み出しています。

気になったのは、両PRの肩がHOの脇の下にあり、HOの身体が浮き上がっているように見えます。

フロントローの幅は狭くなりますが、段差が出来るため、隙間が生まれると考えています。

3番森山選手が強いので、筑波大学1番とHOの両方を相手する事を想定しているのかもしれません。

対して筑波大学は、フロントロー及びバック5の密着感を凄く意識しています。

帝京大学と同様に、フロントローの出口を狭くするセットアップです。

違うのは、両PRの外側の肩が前に出るようにセットしている点です。

外側の肩を前に出す事で、内側の肩がよりHOの脇と密着しやすくなります。

相手の外肩を下げるとスクラム全体が動きやすく、内側の肩を下げると相手フロントローを分断する事が出来ます。

どちらを取るかはチーム次第ですが、筑波大学の場合はFW8人で組む事に重点を置いているため、全体を動かす事を選択したと考えました。

フランカーがクラウチの段階から膝を浮かしており、バインドで来る圧力に対抗する意図が見えます。

体重差はありませんが、無いからこそバインドから優位に進めたいはずです。

特に帝京大学の場合は、バインドの際にPR及びフランカーが足を動かすので、そのタイミングで圧力を掛ければ姿勢を崩せる可能性があります。

1本目は崩れてしまいましたが、バインドで良い圧力を掛けられていました。

筑波大学1番湯浅選手の足の位置が遠かったので、ヒットで沈み込んだ際に帝京大学3番森山選手の圧力に崩されています。

左肩が前にあるので、どうしても相手3番の懐に潜りやすいですね。

全体的に後1歩間合いが狭ければ、ヒットで優位に立ったまま、姿勢を保てたと考えています。

これだけ伸び切れる力があるのは、素晴らしいです。

という管理人の声が届いたのか、2本目は間合いを詰めて組んでいました。

この位置ならバインドで掛けて伸びても、組み合った時に足と身体が遠くならないので、支える事が出来ます。

帝京大学3番森山選手が内側へ流れた所に、うまく対応しました。

組み合う前の身体の向き

帝京大学 1番↗️HO↗️3番⬆️

筑波大学 1番↗️HO⬆️3番⬆️

でしたが、組み合った後は、

帝京大学 1番↗️HO↖️3番⬆️

筑波大学 1番↗️HO↗️3番↖️

なので、圧力が帝京大学HOに集まり、姿勢が崩れたと考えられます。

映像を見てもらうと、帝京大学3番及び筑波大学1番は浮き上がっていない事が分かります。

これは圧力が拮抗しているのと、お互い真っ直ぐ押し合えているためです。

逆に、浮き上がってしまった帝京大学HOは、自身の圧力と筑波大学から来る圧力が釣り合わない/バック5から来る押しが拮抗して力が上に逃げた結果だと考えられます。

実際の事は、組んでいる選手にしか分からないのです。

管理人が映像を見る限りはそう感じました。

筑波大学1番とHO、HOと3番の間に隙間があるように感じるのだと思いますが、そこを狙ってしまうと、筑波大学の密着した圧力に負けてしまいます。

隙間を狙うより、その隙間から頭一個分外側を狙った方が効果的なのかなと推測しています。

早稲田大学も間にアプローチしたスクラムでは上手くいかなかったものの、圧力を掛ける場所を変えて押したスクラムがありました。

Best Scrum 21:20〜

ハーフライン付近、帝京大学ボールのスクラムです。

組み合った後、筑波大学が圧力を掛けて、耐え切れなかった帝京大学がヘッドアップの反則を取られました。

筑波大学天晴れのスクラムでした。

セットアップは1st Scrumで見た通りです。

注目したいのは、筑波大学のフロントローの立ち位置です。

HO前川選手に対して、1番湯浅選手は同じ位置/3番茨木選手は半歩前に立っていました。

この立ち位置は、管理人も凄く好きなセットアップで、日頃のコーチングで常に言っている点でもあります。

話は逸れますが、関西にある京都産業大学は伝統的に3番がHOの身体の上からバインドするオーバーハンドバインドを取り入れています。

この意図は、3番が前に出やすくなる事、及び3番が自由にスクラムを組める事が上げられます。

デメリットは、3番が差し込まれた際にスクラムを押されやすい事と1番・HOとの段差が出来てしまう事です。

そのメリットを活かしながら、デメリットを解消するためのセットアップが、今回筑波大学がやっているセットアップになります。

相対的に下がりやすい1番をHOと同じ位置に立たせる事で、相手3番が自由に動ける隙間を減らす。

3番が1番・HOより前に立つ事で、よりスクラムを前進させられる。

その際、アンダーバインドにしておく事で、密着感を保ちながら、FW全員で前に出る事を意識できる。

オーバーハンドバインドよりも自由度は減りますが、よりフロントローが密着しやすくなります。

また、先日行われたJapan vs Australiaで発見したのは、3番がHOの身体と平行に左腕をバインドする事で、自由度高く組みながら密着する事が分かりました。

筑波大学は、東京SG 竹内選手がコーチングしている事もあり、Japanと似たセットアップを取り入れていると推測しています。

腕を平行にする分、左腕を使って密着する事が出来ない難点があります。

ここら辺は、どこを意識するのか/何を目的にそのセットアップを取り入れるのか考えたいです。

今回のスクラムに戻ります。

セットアップの優位性がある筑波大学が、バインド時も低くなった事で、帝京大学フロントローが頭半分浮き上がっています。

特に、HO沼澤選手の身体がスクラムからはみ出ており、圧力を受けている事が分かります。

ヒットは筑波大学優勢、3番茨木選手が1歩前に圧力を掛けられており、その後も優位に進められます。

帝京大学3番森山選手の入り込む位置は適切で、姿勢も綺麗なのでした。

ただ、右が背中より後ろにあるため、絞っても思うように圧力が下に掛かりません。

そのため、筑波大学1番湯浅選手が落ちる事なく、差し込める事になります。

また、全体を見てみると、フロントローからNo.8の長さが筑波大学の方が短いです。

これは、膝を詰めて押す余力を作れている証拠であり、伸びる余地があります。

ちなみに、モールは最前列から最後尾まで真っ直ぐ長い方が良いです。

以上の事から、ボール投入後に筑波大学が圧力を掛けて、帝京大学が反則を取られたスクラムになりました。

『スクラムをシンプルに分かりやすく』

日頃からScrumLoveClubをご覧頂きありがとうございます。

今後も精力的に活動しますので、引き続き宜しくお願い致します。

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