試合結果
明治大学 24-28 筑波大学
明治大学 333kg / 838kg
筑波大学 319kg / 807kg
1st Scrum 0:31〜
明治大学陣22m内、筑波大学ボールのスクラムです。
1本目は間合いが合わず組み直し、2本目はレフリーのコールの前に明治大学が仕掛けたため、アーリーエンゲージの反則を取られました。
セットアップから見ていきましょう。
むしろ、組んで無いので、そこしか見るところがありません。
明治大学は、HOがセットした位置に両PRが寄ってきてバインドをしています。
肩を抜く際は、フロントロー全員が上体を起こし、直立した状態からHO主導で抜いていました。
PR主導だと、外側にズレる可能性があるので、HOがコントロールしていると考えています。
ロックが入る前に、両PRは内側の足を下げる事でスプリットの体勢を作ります。
その際、ロックが頭を入れやすいように、隙間を作ります。
ロックは、フロントローの膝下から頭を入れていました。
頭を入れた後、フロントローが内側の足を1歩寄せる事で蓋をしています。
ここら辺のセットアップは、非常に参考になります。
ロックが頭を深く入れる事で、組み合った後に上へ抜ける事が少なくなります。
逆に浅いと、組み合った圧力で頭が抜けてしまい姿勢が高くなります。
ロックの頭が抜けてしまう場合は、明治大学のようにセットアップするのが良いですね。
膝を上手く使えば、足を動かさず隙間を作れますが、それはまた別の機会に話します。
重さを活かすために、バック5は真っ直ぐでした。
対して筑波大学です。
セットアップの段階で、最初にセットした位置から半歩右側へ、明治大学がポイントを決めてから更に半歩右側へズラしています。
相手とほぼ真正面に立つ事で、通常のスロットより隙間が小さくなります。
重さで劣る分、通常よりもやり辛さを演出したい意図が伺えます。
そのセットした位置に、両PRが寄ってバインド、順番は1番→3番でした。
HO前川選手のバインドは、腕を後ろに回す形で、肩の分だけ両PRが寄れます。
また、足の位置を真っ直ぐに揃えており、自身の身体をよりコンパクトにしてセットしていまきた。
密着感が高く、凄く参考になります。
ちなみに、3番茨木選手は、Japan 竹内選手のルーティンのように腕を真っ直ぐ伸ばしていましたね。
狙いたい位置が明確であり、そこに自分が仕掛けてスクラムを押すんだという気持ちが伝わります。
面白いのは、バック5のセットアップです。
方向は真っ直ぐですが、両フランカーがロックに密着して頭より身体が内側にあります。
これは、LeagueOne2024-2025 三重ホンダヒート vs 静岡ブルーレヴズで、三重ホンダヒートが見せたスレンダーなセットアップを彷彿させる形でした。
フランカーの支えなしで、フロントローが寄っている事がよく分かります。
正直、外側の足の支えが無くても自立出来るんじゃ無いですかね。
フロントローが寄って、フランカーも含めて角度を付けずにセットすれば、より前に出やすくなります。
個人的には、角度を付けるよりこのセットアップの方が効果的だと考えています。
2本目は、明治大学1番がレフリーのコールの前に仕掛けたため、アーリーエンゲージの反則を取られました。
Pickup Scrum 62:16〜
明治大学陣ハーフライン付近、筑波大学ボールのスクラムです。
明治大学がスクラムを組むのを拒否したため、ペナルティを取られました。
ジェスチャーを見る限りヘッドアップですが、組み合う前に取られるシーンは珍しいですね。
自分達の形で組めない事が嫌なのだと思いますが、組まないのは勿体無いですね。
スクラムは相手ありきの話なので、相手のセットアップに対する拘りも尊重しつつ、自分達の色を出していくのが良いかなと考えています。
ここら辺は、普段の練習がモロに出ます。
普段から組みたく無い間合いの時にリセットするのか、組み辛い間合いでも組む練習を重ねるかの違いです。
Best Scrum 8:13〜
筑波大学陣22m上、明治大学ボールのスクラムです。
ヒットは明治大学優勢、その後前に出ますが筑波大学が盛り返し、明治大学が先に頭を抜いたため、ヘッドアップの反則を取られました。
1st Scrumで解説した筑波大学のセットアップですが、Best Scrumの方が角度的に分かりやすいです。
ここまでフロントローが寄れるチームがあるんだと感心するばかりです。
明治大学は、セットアップからヒットまで非常に良かったです。
3番山口選手は、筑波大学1番を外側に弾いており、身体も真っ直ぐに出来ています。
ヒットでも、面で前に出ており、組み勝っていました。
ただ、その後の足の動きが良くなかったです。
組み勝った後、すぐに左側へスライドする形で足が動いています。
イン組と言われる動きですが、セットアップの動きと連動性が取れていません。
もし内側に行くなら、もう一歩前に出してから内側に出た方が効果的です。
安定した後の右足の動きを見れば分かるのですが、そこから更に内側へ動かしています。
多分、この足の動かし方で前に出られた成功体験があるのだとおもいます。
多くの1番なら、このまま内側に入られて押された事でしょう。
ただ、今回は筑波大学がしっかりついてきていました。
そのため、内側に入った瞬間にアングル気味に圧力を受ける事となります。
さらに、筑波大学はフロントローが通常よりも密着しているため、普段ある隙間がありません。
イケると判断して、仕掛けた瞬間にカウンターを喰らって押される。
たらればですが、セットアップの延長で外側に張り続けたら、押し切れる可能性があります。
ベクトルが直線的な場合、アングルチェンジをする事で押せる可能性があるからです。
それは、先程の三重H vs 静岡BRで、静岡ブルーレヴズが証明済みです。
だからこそ、明治大学としては、非常に勿体無いスクラムでした。
これは勝てるスクラムでした。
筑波大学は、劣勢になりつつも、組み合った後全体が動いて修正しています。
組んだ後、前後左右に動く練習を普段からしているのだと思われます。
中に入って体験してみたいなと思うぐらい密着感の高いスクラムでした。
初戦の勢いそのままに、次節も勝って欲しいですね。
『スクラムをシンプルに分かりやすく』
日頃からScrumLoveClubをご覧頂きありがとうございます。
今後も精力的に活動しますので、引き続き宜しくお願い致します。
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