本日のテーマ
本日は、ムロオ関西大学ラグビーAリーグ 第1節 近畿大学 vs 立命館大学の試合を解説していきます。
春季トーナメント3位の近畿大学と5位立命館大学の1戦でした。
近畿大学今年強いですね。
イケイケムードの前半が続けば、春シーズン上位の京都産業大学、関西学院大学に対して勝ち切れるのかなと思います。
対して立命館大学は、前半に大きく離されてしまった少し苦しい試合展開でした。
ただ、後半巻き返したAT力、セットプレーは今後のシーズンに繋がりそうです。
そして、日本協会のレフリーが関西に来て笛を吹いてくれるのは嬉しいですね。
この流れが継続して欲しいです。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
近畿大学 59-31 立命館大学
近畿大学 313kg / 787kg
立命館大学 304kg / 801kg
1st Scrum 6:57~
気になる1st Scrumは6:57~です。
立命館大学陣10m-22m、近畿大学ボールのScrumです。
1本目は組み合った後、近畿大学が前に出るもScrumが崩れて組み直しとなりました。
セットアップから見ていきましょう。
近畿大学はHO 村尾選手が1番 蔡選手の方をバインドしてから3番 稲場選手をバインドしています。
3番 稲場選手は世代を代表するPRであり、そちら側を主導にするなら、1番が付いて来れる状況を作りたいです。
その上で、両PRの肩がHOの脇に埋まらないように前へ出しています。
肩が隠れてしまうと段差が出来やすくなり、どちらかが優勢の時に遅れる可能性が出てきます。
この点、近畿大学は良い形でセット出来ています。
また、セットしてから左足を1歩左側へ動かしてスロットをズラしている事から、内側に圧力を掛けて押し切りたい事が伺えます。
フランカーも1番側は角度を付けてセット、3番側は真っ直ぐセットしていました。
内側へ入る場合、フロントローの密着度が高い方が前に出やすくなるため、今回のようなセットアップにしています。
対する立命館大学は、HO 大本選手が大きく股を割りながらセットし、その位置に両PRが高さを合わせて付く形でした。
こちらも、バインドは1番 高橋選手側からしていました。
右足が前に出ているため、開きやすい左半身からバインドをしています。
両PRが両足を揃えてセットした後、左右に開く形で肩を出しています。
3番 鍋島選手の胸がしっかりと張れているため、こちらも良い形でセット出来ています。
肩を出した後、軸足である内側の足を下げて低くなっています。
Scrumの舵取り役はHOであり、そのHOが心地良い姿勢を取ってから両PRがセットする事は納得がいきます。
立命館大学のロックの頭の入れ方が非常に良かったですね。
フロントローが低くセットしている状態に対して、パンツの端から頭を入れています。
真っ直ぐ入れてしまうと頭が浅く入ってしまい、組み合った後に頭が抜けやすくなります。
今回のように、パンツの下から頭を入れる事で抜ける可能性を低くする事が出来ます。
また、深く頭を入れてくれると、低くなる際につっかえる事なく身体を下げる事が出来ます。
個人的には、太ももの付け根・股関節から握り拳1個膝側の辺りに頭があると組み易いです。
非常に細かい部分ですが組み易さが変わるので、元PRとして取り上げました。
そして、セットアップから全体的に前へ掛けていますが、自立してセット出来ています。
大学レベルであまり見かけないセットアップだったので、非常に興味深いです。
ちなみに、両PRがHOに寄りながら前に掛ける事で、フランカーやロックの支え無しで自立する事が出来ます。
秋までに組み込んで来た事が分かる両チームのセットアップでした。
バインドは少し立命館大学が掛け過ぎた印象を受けました。
前に圧力を掛けながら低くなるセットアップのため、それ以上伸び切ってしまうとヒットで前に出る余力が無くなります。
対して近畿大学は、90%の力で勝負しています。
そのため、ヒットは近畿大学優勢でした。
間合いがあと一歩近ければ、立命館大学が優位に進められたかもしれません。
今回は、ヒット出来る距離があり、バック5の膝の伸びる余地が残っていた近畿大学に軍配が上がりました。
ただ、組み合った後に足がついて来ずScrumを崩してしまいました。
両チームともに勿体無い場面でした。
組み直し2本目は、ヒットで立命館大学が前に出るも、3番鍋島選手が故意にScrumを崩したと判断され、コラプシングの反則を取られました。
反対側の映像が無いので肘の向きまでは分かりませんが、ヒットで勝った後、頭が下向きになった事が要因として考えられます。
1番高橋選手も良い形で差し込めていたので、崩れなければ立命館大学が押し切れそうな場面でした。
近畿大学としては、1st Scrumで余力のあったバック5がフロントローに合わせて伸び切っています。
また、組み合った段階で立命館大学に下を取られており、重さで劣る分だけ差し込まれています。
管理人の予想を覆すScrumでした。
Best Scrum 78:52~
気になるBest Scrumは78:52~です。
近畿大学陣10m-22m、近畿大学ボールのScrumです。
組み合った後、立命館大学が3番甲斐選手主導で前に圧力を掛けて押し切り、コラプシングの反則を獲得しました。
既に勝敗は決まっている状況、立命館大学が一矢報いました。
綺麗な形では有りませんでしたが、3番に圧力を集めながら前に出られており、ペナライズ出来た点はよかったです。
特に、立命館大学3番 甲斐選手のバインド時の姿勢が綺麗でしたね。
セットアップの段階で左足が後半歩前にあれば、組み合った後に身体が内側に傾かず前に出られたかなと感じてます。
それでも、近畿大学1番とHOの間に身体を入れて真っ直ぐ押せており、良かったです。
反対側の1番 中村選手も崩れそうになりながら耐え切りました。
大雨の影響で崩れやすい中、崩さずに寄り切れた事が良かったですね。
HO 田中選手は3番甲斐選手が勝っている事を感じながら、右腕のバインドを締めています。
そうする事で、甲斐選手が前に出た際に孤立する事を防げます。
その状態から、右肩を使って1時の方向に圧力を集めていました。
対して、近畿大学は1番 弓部選手のセットアップが少し後ろ重心だったかなと感じました。
また、右足にテーピングをしていたので、無意識のうちに左足に重さが乗っています。
ヒットは少し近畿大学が優勢でした。
組み合った後、Scrum全体が観客席側に流れており、近畿大学1番 弓部選手の強さが目立ちました。
U20の試合の際も、角度を付けて押し切る場面が多かった印象です。
ただ今回は、スロットをずらされた影響か、左半身がScrumの外側に出ており、相手3番に対する圧力が薄れています。
また、近畿大学3番 大下選手の足の動きを見ると、両足がScrumの外側に流れています。
逆側の映像はありませんが、足の動きから身体の向きが内側に傾いている事が分かります。
フロントローがバラついてしまった近畿大学に対して、ヒットで少し受けつつも纏まりながら組み合えた立命館大学でした。
個々で勝負出来る強い選手が、敢えて密着度高く押せるのが理想です。
点数こそ開けられましたが、このScrumば次の試合に繋がると考えています。
両チームともに応援しています。
終わりに
本日は、ムロオ関西大学ラグビーAリーグ 第1節 近畿大学 vs 立命館大学の試合を解説しました。
いよいよムロオ関西大学ラグビーAリーグも開幕し、大学ラグビーシーズンが到来しました。
LeagueOneとは一味違った青春を楽しみましょう。
引き続きScrum Love Clubでは、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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