本日のテーマ
本日は、南半球4カ国対抗戦ザ・ラグビーチャンピオンシップ2024 New Zealand vs Argentineの試合を解説していきます。
大雨が降る中、All Blacks が1994年から続くイーデンパークの無敗記録を50へ伸ばしました。
1戦目と打って変わって強いAll Blacks が戻ってきましたね。
対するLos Pumasは、試合終盤までスコアが出来ない厳しい試合展開でした。
それでは、試合結果・1st Scrum・Best Scrumを見ていきましょう。
試合結果
New Zealand 42-10 Argentine
All Blacks 375kg / 931kg
Argentine 348kg / 881kg
1st Scrum 13:09~
気になる1st Scrumは13:09~です。
Argentine陣22m内、New ZealandボールのScrumです。
1本目はボール投入後、New Zealand側が少し前に出た際にScrumが崩れました。
大雨で地面が滑りやすいはずですが、その影響を全く感じさせないScrumです。
1st Scrumなので足が滑って崩れるかなと予想していましたが、両チーム地面をしっかりと捉えられています。
New Zealandのセットアップは、バック5全員が膝を上げてセットする日本ではあまり見かけない形です。
他国と比べて重さがあるため、その優位性を存分に活かすために敢えて立った状態でセットしています。
立った状態からだと、上から乗るような形で相手に圧力を掛けられます。
また、右足が前にある事を考えると、HOを中心に前へ押し出したい事が分かります。
両PRはバインドで重さを乗せられますが、HOは調節が難しいです。
だからこそ、HOが後ろに下がらないように内側の足を前に出してるのかなと考えています。
ちなみに、低い姿勢でコンパクトに組む日本とは、正反対のセットアップです。
対するArgentineは、No.8が片膝をついてセットしている以外は、オーソドックスな形でした。
タイト5で前に圧力を掛けつつ、前後の調整をNo.8が、左右の調整を両フランカーがしているのかなと感じました。
FW8人で組んでいると言うよりは、FW5人にサポート3人のイメージです。
このセットアップは何を意図しているのか分かりませんが、タイト5の強さに自信があるのかなと感じました。
組み合った後、両チーム共に1段階膝を沈めましたね。
大雨が降って地面が滑る状況でも、地面を捉えて低くなれる辺りに両国のレベルの高さを感じます。
同じ高さなら重さで勝るNew Zealandが優位に進められるため、少し前に出てから崩れました。
ただ、1番TAMAITI WILLIAMS選手が外側に流れながら前に出た影響で、真っ直ぐ押し切れませんでした。
組み直し2本目は、1本目と同様に組み合った後New Zealandが少し前に出てからScrumが崩れたため、Argentineがコラプシングの反則を取られました。
組み直しの間に、レフリーからArgentine 3番 Lucio Sordoni選手が組み合った後に肘を上げるように指摘を受けています。
1st Scrumは右半身が傾いていたため、Scrumを崩す要因になっていると判断されています。
組み直しのScrumでは、その部分の改善は見られたものの、右肘が地面に対して垂直方向に向いており、相変わらずScrumを崩す可能性が残っています。
また、指摘があった事で1本目よりも右肩の位置を下げる事が出来ず、New Zealand 1番TAMAITI WILLIAMS選手に潜られて押される結果となりました。
外側に割れるのではなく、内側に押し切った点が良かったですね。
完全に姿勢を崩した状態で、Scrumが落ちたためArgentineの反則となりました。
崩れてしまいましたが、多くの1番の参考になる押し方でした。
Best Scrum 20:31~
気になるBest Scrumは20:31~です。
New Zealand陣ゴール前5m、New ZealandボールのScrumです。
11点リードの状況でしたが、このScrumで反則すればリードが縮まる可能性がありました。
結果は、組み合った後New Zealand 1番TAMAITI WILLIAMS選手主導に前へ押し切り、イリーガルホイールの反則を獲得しました。
この場面で、反則を取るまで押し切れるのが素晴らしいですね。
セットアップは1st Scrumと同じでした。
強いて言うなら、New Zealand No.8ARDIE SAVEA選手の引き方が強かったです。
対するArgentineも、1st Scrumから相手の重さを感じている影響か、前のめりにセットしています。
バック5も、フロントローが後ろに下がらないように膝を伸ばしています。
そのため、バインド時に圧力を受けず均衡を保てています。
このようにして、楽器をチューニングするように、Scrum全体の感覚を擦り合わせていきます。
試合の中で、相手の組み方に対してセットアップや力を掛ける方向を修正出来る力は物凄く大事です。
欲を言えば、New Zealand 1番TAMAITI WILLIAMS選手の左足が外側に流れているので、そこも修正したかったですね。
足首や股関節の動きを見ていると、柔軟性が高い選手だと感じたため、良い位置に足を置けたらもっと楽に組めるはずです。
組み合った後は、内側の足から前に出せているため、割れにくい押し方が出来ています。
左半身が外側に流れている状況なので、左足から前に出てしまうと、Scrumが回転するか相手3番に内側へ入られます。
それを踏まえた上で、右足から前に出ているので相手3番からすると、内側への圧力が高くなりやり難くなります。
また、押す際に左肩を下から上に動かす事で、相手3番の身体が浮き上がりました。
映像を見ても、右腕のバインドが外れています。
今回のように右足から出て、Scrum全体が45°回転すると、組み合った時にはみ出ていた左半身が前側に来ます。
そのタイミングで、アングルを変えて真っ直ぐ進むだけでイリーガルホイールを獲得出来ます。
まだ研究段階ですが、Springboksの1番 Ox Nche選手のScrumがこんな感じで前に出ているシーンが多いです。
勿論、HO同士の駆け引きがあったり、3番側の状態も影響しますが、理論上は1番主導でペナライズしやすい組み方です。
強い1番がいる場合は、試してみる価値がある組み方ですよ。
もし、試されたチームがありましたら管理人まで連絡をお願いします。
終わりに
本日は、南半球4カ国対抗戦ザ・ラグビーチャンピオンシップ2024 New Zealand vs Argentineの試合を解説しました。
8月は菅平合宿の試合とSAKURA15、パシフィックネーションズカップの更新を予定しています。
Scrum Love Clubでは引き続き、JAPANの 超速ラグビーの要となるScrum研究に邁進していきます。
管理人としては、読者の皆さんがScrumをもっと理解して、ラグビー観戦がもっと楽しくなるように発信していきます。
また良かったら拡散をお願いします。
本日もご覧頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
コメント